ボケの純度が異常なラジオ、『囲碁将棋の情熱スリーポイント』

囲碁将棋

文=かんそう 編集=鈴木 梢


「今一番好きなラジオは?」と聞かれて真っ先に思い浮かぶのが、2020年の10月からラジオアプリ『GERA』で始まった番組『囲碁将棋の情熱スリーポイント』。イカレにイカレ切ったネタ職人(通称:シューター)から放たれるネタメールの数々と、それを軽々と超える囲碁将棋のトークは、どのラジオ番組とも被らない異様な雰囲気を醸し出している。配信される火曜20時が毎週楽しみで仕方ない。

特筆すべきは番組全体の「ボケ」の純度。徹頭徹尾「ウケしか狙いにいってない」番組構成は「強過ぎる」としか言いようがない。「つまらないメールは読まない」と文田大介が豪語するように、番組内で読まれるすべてのメールがフルスイングでボケまくるネタメールのみで構成されており、囲碁将棋自身も名前を伏せてメールを投稿し、不定期で行われるイベント『情熱スリーポイント対抗試合』でも特に採用率の高い「エースシューター」を招き本気のネタメール対決を実施するなど、パーソナリティとシューターが真正面から殴り合うストロングスタイルをどこまでも貫いている。

「佐古賢一」の重要性

そもそもこの『囲碁将棋の情熱スリーポイント』は、「元男子プロバスケットボール選手であり現在はB.LEAGUEのプロバスケットボールチーム・レバンガ北海道でヘッドコーチを務めている“ミスターバスケットボール”こと佐古賢一さんがかつてパーソナリティを務めていたラジオ番組『情熱スリーポイント』をそのまま居抜きで継続させている」という設定で行われている。この文言だけ聴いてもまったく意味がわからないと思うのだが、佐古賢一と囲碁将棋の関係性は「東京靴流通センターとハローマック」のようなものだと考えてもらっていい。佐古賢一と囲碁将棋はいわばニコイチなのだ。毎回オープニングで行わる佐古賢一の架空の目撃情報を募るコーナー「佐古目撃情報」を聴けば、『囲碁将棋の情熱スリーポイント』がどういう番組なのか、そしてこの番組にとって「佐古賢一」という人物がどれだけ大事なのかがすぐにわかるだろう。

花束をガードレールに置いてめちゃくちゃ事故が起きてるように見せかけていた(#30 1日天下り)、コンビニで店員に「表面に『これで現金を送れはすべて詐欺です』って書いてあるやつなんでしたっけ?」と聞いていた(#43 ホンダのロゴ)など、毎週次々と目撃情報が届き、シューターのみならず、囲碁将棋自身も「カラオケでMr.Childrenの「名もなき詩」の歌詞「絶望、失望(Down)」の「Down」をちゃんと言ってた(#16 虎はなにゆえ強いと思う?)」、「電車でつり革の上の棒にバスケでダンクしたままひじでぶら下がる掴まり方してた(#32 Mattの耳)」と魑魅魍魎ともいえる佐古賢一の数々に、佐古賢一を知ろうが知るまいがリスナーの頭の中では「佐古賢一」という人物がどんどんふくらんでいく。しかも最近ではネタメールの合間に「映画『燃えよ剣』とレバンガ北海道のコラボポスター『燃えよ賢』が完成」など「本当の佐古賢一情報」まで寄せられるので、ますます佐古賢一に対する認識がおかしくなってくる。こんなラジオ番組はほかに知らない。

また、根建太一のツッコミフレーズ「いねぇって!」を引き出す「いねぇって!」のコーナーでは、「ペットで犬を飼い始めた初日に風俗行くやつ」「メスのケンタウロスとセックスするとき馬のほうのおっぱいを揉むやつ」「バズレシピを紹介しているのに墓参りの作法を知っているやつ」(#53 とり3兄弟)など、ただひたすら根建に叫ばせたいという執念でもはや偏見ともいえないレベルに歪み切った思想のメールが届く。このネタにかける異常な執念が『囲碁将棋の情熱スリーポイント』の唯一無二の中毒性を生み出している。

個人的に囲碁将棋の好きなところが、「たとえのピンポイントさ」。この番組だけでなく囲碁将棋が関わるすべてにいえることなのだが、B’z、ドラゴンボール、スラムダンク、幽☆遊☆白書、花の慶次、キャプテン翼、古畑任三郎など、同世代であればどうあがいても笑ってしまうたとえの話が異常に多く、自分のツボだけを狙って直接撃ち抜かれているような感覚になる。令和に「古畑任三郎の山口智子犯人回」「ロートこどもソフトのCMで目が赤くなる悟空」を話す番組は1980年代生まれにとってヨダレしか出ない。加えて「日常に潜むエロく聞こえる言葉」(お名前、満車、おなじみ、甘んじる、フエラムネなど)で何周も盛り上がるなど、いい意味で本当に下品でくだらなくおもしろい。「ずっと何言ってんの?」と言いたくなる頭カラッポにして聴けるラジオの究極系が『囲碁将棋の情熱スリーポイント』。佐古賢一に怒られない程度に一生つづけてほしい。

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かんそう

1989年生まれ。ブログ「kansou」でお笑い、音楽、ドラマなど様々な「感想」を書いている。