ニューヨーク嶋佐『キングオブコント』準決勝の過ごし方。賞レースがすべてじゃないけど「みんなに届けてえ」

文=嶋佐和也(ニューヨーク)


10月2日に放送される『キングオブコント2021』決勝戦。昨年は準優勝だった嶋佐和也&屋敷裕政のニューヨークは2年連続の決勝進出となり、チャンピオンの有力候補とも言われている。

しかし、そんな彼らも思うように結果を残せず、くすぶっている時代があった。『M-1』『キングオブコント』共に準決勝までしか進出できずにいた2017年に、嶋佐和也が『クイック・ジャパン』に寄稿したコラムを掲載。4年前に綴られたこの思いを経て、今年の決勝ではどんなネタを披露してくれるのか、王者という悲願には手が届くのか注目しよう。

※この記事は『クイック・ジャパン』vol.134に掲載のコラムを転載したものです。
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「自分たちが本当におもしろいと思ったことやりてえんだ」

どうも。ニューヨークの嶋佐和也です。ご縁があり今回クイック・ジャパンでコラムを書かせていただくことになりました。

その前にあのー、ニューヨーク知ってます? お笑いコンビなんですけど、知らない? 同期が横澤夏子、おかずクラブ、デニス、マテンロウとかなんですけど……それは知ってる? ああ、知ってる。でもニューヨークは知らない? あ……。知らない~、まあまあでもこんなん言いましたけど、知らない人のほうが普通ですたぶん(笑)。

ちなみにニューヨークの石丸謙二郎に似てるほうが僕です。これを機に覚えてやっていただきたい次第でございます。

今回『キングオブコント』をテーマにコラムを書いてほしいとお話をいただいたのですが、僕らは毎回準決勝止まりで今まで一度も決勝に行ったことのない身なので正直このテーマについて書くのは大変恐縮でありぶっちゃけ酷です(笑)。

なので興味ある人が少数かもしれませんが、『キングオブコント』準決勝の舞台の裏側を書きますネ☆

『キングオブコント』の準決勝の会場は、東京の赤坂BLITZです。コントなんでリハーサルがあるんですが、毎回リハと本番までの間が4時間くらい空くんです。その間、芸人たちはそれぞれ思い思いの過ごしかたをします。ほかの出演者と楽屋で談笑して過ごす者、寝る者、タバコを2箱近く吸う者(さらば青春の光森田さん)、近くの神社にお参りする者(3年前のシソンヌじろうさん)、キックボクシングジムに行く者(今年の僕)などさまざまです。

ニューヨーク・嶋佐和也
水タバコと私

いざ本番がスタートしてからは、なんとも言えない独特の緊張感が楽屋を包みます。あのコンビがウケたとかあのコンビはあまりよくなかったとか、みなさんなんとなく気にしながら自分の出番を待ちます。全員の出番が終わったら、いよいよ決勝進出者の発表です。

結果発表前の楽屋では、毎年たいがいキングオブコント決勝常連のさらば青春の光森田さんが決勝進出者を勝手に予想して勝手に本人に報告してきます。ちなみに、今年僕らは森田さんに「お前ら決勝あるぞ」と言われましたが落ちました。まあ当たり前なのですが落ちるのは嫌なもんです。初めのころは素直に「悔しい!」とか思ったものですが、もうここ数年は腹立ちます。「なんでだよチクショー! もう出ねえ!」みたいな(笑)。

「また来年だね」と言われても「誰がまたキングオブコント出るっつったんだよコノヤロウ!」と、アウトレイジのごとく言い返したくなります。でも結局またエントリーしちゃうのですが。

今の時代は普通じゃない奴じゃないと普通に売れないから俺たちみたいな普通のコンビはなんだかんだ言いつつ賞レースで結果出すまでやるしかないんだと。で僕たち漫才もするんで『M-1グランプリ』にも毎年出てるんですよ。堂本剛じゃないですが正直しんどいですよ(笑)。

決して賞レースがすべてじゃないし、むしろそうじゃない今で言う「バズる」ようなネタを考えたほうが売れる近道かもしれません。でも、俺らやっぱ自分たちが本当におもしろいと思ったことやりてえんだよね。それをみんなに届けてえから。まあ、やるだけっスね。まあ、見ててよ。

ヤダ~気づいたらなんかスゴイ恥ずかしいこと言ってるぅ~(>_<)ヤダ~もう寝るね~ニューヨークのベストネタDVD出てるから買ってね~☆

『クイック・ジャパン』特集「ニューヨーク on the road 『芸人』を生きる」
ニューヨークを特集した『クイック・ジャパン』vol.153(2020年)より

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