変態と怪物の兄弟愛
そんな呪胎九相図の1番~3番が、呪霊・真人(まひと)の手によって現代で呪肉(ここでは、人間の体を乗っ取るみたいな意味)する。これが、長男・脹相(ちょうそう)、次男・壊相(えそう)、三男・血塗(けちず)の三兄弟だ。ちなみに4番~9番の呪胎九相図が登場するかどうかはわからない。
次男の壊相は、生まれたばかりのくせにモヒカン頭、蝶ネクタイ、女性物のボディハーネス、Tバックを着衣した筋骨隆々の男。「退けば見逃しますよ、お嬢さん」などと口調はやけに紳士的で、そこがまた変態に見える。一方弟の血塗は兄と違って人型ではなく、丸い体に手足が生えた呪霊らしい風貌。しゃべりも化け物らしく、アホウ丸出しだ。7巻ではあまり登場しないが、長男の脹相も人型だ。
父(呪霊)似か母(人間)似かで風貌が決まるのか、それとも呪力が強いと人型になるのか。形状は違えど、呪物として150年の時を過ごし、愛のもとに生まれた3人の結束は強い。「三人で一つ」という言葉のもとに、生き延びるために悪の呪霊たちにつくことを決意する。
7巻では、次男の壊相と三男の血塗が、別件の任務に当たっていた虎杖悠仁(いたどり・ゆうじ)と釘崎野薔薇(くぎさき・のばら)と対峙した。
背中を見られないように戦闘
モヒカンTバックの攻めたファッションの壊相は、異臭を放つ(特殊能力が原因と見られる)不気味な顔のような背中の模様をコンプレックスに感じていた。しかし、「ムレる」(これも能力が原因と見られる)ため衣類は肌を露出したハーネスしか着用せず、野薔薇とは背中を見られないように戦闘する。
しかし、偶然通りかかった虎杖に背中を見られて激昂。紳士だった口調を忘れ、「バチ殺し」という彼オリジナルの罵倒文句を使い出す。血塗と共に自分たちの血を相手に浴びせて腐らせる呪術「蝕爛腐術」(しょくらんふじゅつ)で、虎杖と釘崎に襲いかかった。
血塗の血がかかった野薔薇は、「私との相性最悪だよ」と笑顔を見せる。ここで釘崎が使用した技は、対象の欠損した一部(毛や爪や血も含む)に呪力を打ち込み、対象本体にダメージを与える「共鳴り」。釘崎はこれで自分の身体ごと血塗の血を攻撃し、相打ちを狙う。実は「私との相性最悪だよ」と言い切れるほど相性がいいわけではなく、ただ、都合よく自爆技が使えるだけだった。野薔薇の男前っぷりが際立つ。
それでも自分たちに優位があると感じた壊相は、野薔薇と虎杖が腐敗するまで耐えることを決意する。しかし、痛みで動けないはずの虎杖が、超人的な痩せ我慢で血塗をボコボコに。壊相は、血塗の「兄者…」と救いを求める声に反応し、無意識で術式を解いてしまう。