子供じみたネーミングセンスの理由
真希と真依による呪術師御三家・禪院家(ぜんいんけ)の落ちこぼれ双子姉妹対決、私悟ってます系女子・西宮桃vs欲望にまっすぐ系女子・釘崎野薔薇(くぎさき・のばら)など、記憶に残るバトルがいくつもあった交流戦。その中でも印象深いのが、人型ロボットである究極メカ丸(アルティメットメカまる)と、何もかもよくわからないしゃべるパンダの戦いだ。
人外対決のふたり、一体何者でどういう経緯で動いているのか、どちらもこれまでに説明は一切されていなかった。もうこのままパンダとロボットで押し通すのかと思った矢先、ふたりのバックボーンが語られる戦いが始まった。
人型ロボットのメカ丸は、京都校の2年生。性格はわりかしクールなほうだが、技の名前が「ウルトラスピン」「ウルトラキャノン」とネーミングセンスが子供(そもそも名前が究極メカ丸)。ここらへんは芥見下々の茶目っ気というか、なんとなく“ダサい”で統一されたキャラクターなのかと思ったが、これもすべて生い立ちが関係しているといえそうだ。
メカ丸は、生まれながらに不自由な身体と月明かりでさえ焼かれる弱い肌を持っており、その代わりに広大な術式の範囲と強力な呪力を授かっていた。ロボットの体は遠隔で操作する人形で、本体は別の場所で生命維持装置のようなものに浸っていた。外に出たくても出られないメカ丸は、圧倒的に人生経験が足らず、おそらく感性が子供のまま止まっているのだろう。ダサいネーミングセンスは悲しみから生まれたものだった。
パンダの謎判明するも、結局は意味不明が続行
一方のパンダは、東京校学長・夜蛾正道(やが・まさみち)が作った呪骸(人形に呪いを留まらせたもの)で、その中でも特殊な感情が持って生まれた“突然変異呪骸”だということが発覚。まぁ平たくいえば、人形に魂が吹き込まれたみたいなことだろう。
これまで意味不明な生物だったパンダのバックボーンは、ある意味では想像の範囲内だし、よくある設定といえばよくある設定だろう。しかし、メカ丸とのバトル中に追加で明かされた設定は、パンダの中にお兄ちゃんとお姉ちゃんがいるという意味不明のものだった。
メカ丸とのバトル中にパンダは、お兄さんであるゴリラの核(心臓の代わりになる物)を使ってゴリラに変身する。これで思いっきりゴリラになれば、「なるほど。3つの動物に変身できるのか」と納得できるが、見た目はパンダがちょっとゴリラっぽく筋肉質になっただけ。その名も「パンダ ゴリラモード」。性格も元のパンダそのまんまだ。お兄さん要素は今のところ見当たらない。
「こいつ結局はなんなんだよ!」となるが、パンダ自身は冷静に頭の中で着々とメカ丸を倒す算段をつけている。賢い人(パンダ)なので、なんというかツッコミを許してくれない雰囲気なのだ。さらに今回は登場しなかった「照れ屋のお姉さん」もいるという。
お兄さんとお姉さんというのはただのもののたとえで人格など存在しないのか、それとも兄からゴリラの力を借りたというかたちなのか、何もかもわからない。せっかく背景が説明されたのに、それによりさらに謎は深まってミステリアスな魅力は保たれたままとなった。
全人類をバカにするパンダ
メカ丸vsパンダは、パンダがメカ丸の隙をついて勝利する。恵まれない環境を嘆くメカ丸に、同じく不遇に見える幼少期を送ってきたパンダが優しい言葉をかけるのだが、パンダのそもそもの考え方が誰よりも男らしい。
「だって人間気持ち悪いじゃん」
まわりの人間と何もかもが違ったパンダだが、人間を羨ましいと思ったことはないという。コンプレックスどころか人間をしっかりと別の生き物と捉えていて、全人類総まとめで「気持ち悪い」呼ばわりだ。世界で一匹しかいない超ハグレ者のくせに、自分の基準が正しいと信じて疑っていないのだ。
その上で、人間界にうまく溶け込んで常識人のような振る舞いをするパンダ。こいつの究極の平等主義により、メカ丸はいつか本当の姿で外の世界に出ようと決意する。
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