空中では恋人たちが永遠の愛を誓い、私はビールを飲む
ちなみに梅田スカイビルの写真を撮ろうと思った私がのぼってきたのは、風の広場から階段を上がった先にある「天空の農園」というスペースだ。ここにはさまざまな野菜が植えられていて、屋上大根、屋上ネギなどを見ることができて楽しい。
スマートフォンで梅田スカイビルのことを検索してみたら、オンライン予約限定のビールつきの割引チケットというものが見つかった。ビール2杯と入場料がセットになって2200円。まあ、たまにはいいだろう。
予約をすませて梅田スカイビルへ歩いていく。梅田スカイビルの中には映画館があって、わりと渋い映画が上映されたりするからそこには何度も来たことがある。しかし、今から展望台にのぼるぞと思って見上げると少しドキドキした。
エスカレーターで3階まで上がると展望台行きのエレベーターがある。ボタンの上に「空中庭園」と書いてある。今日の私は「天空の農園」から来て「空中庭園」へ行こうとする者である。
エレベーターは35階に着き、そこからまだのぼる。「死んだらこういうエスカレーターに乗せられるんじゃないか」と思うようなものに乗り、空を目指す。
このエスカレーターは、梅田スカイビルの上部の円形にポッカリ開いた穴を貫くように渡されているもので、「さっき下から見上げたあれに今自分が乗っているんだな」と思うと怖い。
エスカレーターを乗り継いで40階へ。さらにそこから屋上へと上がる。すると、ぽっかり開いた円形のフチの部分に出る。
この回廊をぐるりと歩けるようになっている。遮るもののない広い眺めだ。淀川の大きさを感じる。
さっき私がいた風の広場も見えた。あそこで「風どん」していたのか。自分がまだそこに座っているのが見えてもおかしくないような、なんだか不思議な気持ちだ。
回廊の内側もまたすごい。自分の姿が映り込むようにと、あえてすり鉢状に設計されたそうである。
「ハートロック」と名のついたスペースがあり、恋人たちが永遠の愛を誓ってハート型の鍵をかけられるようになっている。
さて、ビールだ。40階には「cafe SKY40」というスタンドがあり、世界各国のビールが並んでいる。私が持っているチケットで好きなものを選んで飲めるらしい。
お店の方にお薦めしてもらった「Leffe」というベルギーの修道院ビールとグラスを手に窓辺の席に向かう。ビール瓶とグラスを置いてみると、テーブルも透明になっているから酒が浮いているように見えて笑えた。