クイズ王・古川洋平は「なんでもできる人」じゃない
しかし、時代の変化というのは我々にとって必ずしも有益なことばかりとは限らない。実際、最近になって『勇者ああああ』スタッフのもとにこんな悲報が舞い込んできた。
古川洋平ダイエットに成功!39kgの大減量でイケメンに!?

「ブルータス、お前もか」である。あんたまでシュッとしてどうすんだ。
「どんなにイジっても平気なクイズ王」として、これまで番組が佐渡島のトキの如く手厚く保護してきたクイズ王・古川のまさかの裏切り。このままでは「メガネでぽっちゃり」というステレオタイプのクイズ王が本当にテレビ界から絶滅してしまう。それにこのまま痩せつづけてしまったら次回の収録台本に書かれている
平子「プライム枠に上がったのでクイズ王も別の人に変更しました」
酒井「いつまでも豚メガネをメインにはしておけないっすもんね」
のオープニングトークが成立しなくなってしまう。とはいえ今から元の体重に戻すのは到底できっこない話。フォアグラ用のガチョウぐらいのペースで強制的に古川に食事をさせない限りは、こちらのイジり方を根本的に変更せざるを得ないだろう。それにこちらも保護団体としてそんな乱暴なやり方はしたくない。
これまで『勇者ああああ』でも八面六臂の活躍を見せてきたクイズ王、古川洋平。当然クイズは強いし、トークもできるし、歌もうまい。十八番は「堂本剛のものまね」で、その美声とビジュアルのミスマッチがなんとも言えないおもしろさを醸し出す。
SNSなどを見ると、そんな彼のことを「なんでもできる人」と評する人がいる。が、僕はこれに異を唱えたい。正確に言うなら古川は「なんでもできるように努力をする人」である。そうじゃなきゃ39kgも減量できるわけがない。先述した「堂本剛のものまね」にしても、本番の1週間前からカラオケボックスに通って歌声を仕上げてきたことを僕らは知っている。
以前、『生勇者ああああ』という有料生配信イベントで、料理研究家の園山真希絵と「マル・マル・モリ・モリ!」を歌うという、クイズ無関係なイロモノコーナーに登場したときも古川はすごかった。どの出演者よりも早く現場に来て稽古を始める古川。自宅でも動画を観ながら練習を重ねてきたようで、すでに歌とダンスは完璧である。あまりにしっかりしたパフォーマンスに僕も思わず「ここまで練習してくるタレントさん、なかなかいないですよ!」と賛辞を送ると古川はこう答えた。
「たぶん園山さんは何も把握してないと思うんで、せめて僕だけはちゃんとやらないとグダグダになっちゃうんじゃないかなと……だからめちゃくちゃ練習してきました」
その30分後に園山真希絵がヘラヘラした顔で現場入り。案の定、振付はおろか自分が呼ばれた理由すら理解していなかった。さすがクイズ王、“問題を先読みする”能力には長けている。
番組の演出意図を即座に汲み取り、現場が盛り上がるなら自分が雑にイジられることなどまったく厭わないクイズ王・古川洋平。各局がスクールカーストの上位にいる美男美女のクイズ王を推していくというなら、テレビ番組カーストの2軍、いや、3軍に位置する我々は“バラエティに必要な能力のみにステータスを全振り”した「痩せメガネ」をこれからも推していこうと思うのである。
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#【連載】『勇者ああああ』芸人キャスティング会議
アルコ&ピース平子祐希が番組内で「むせかえるほど安いギャラ」と公言する、テレビ東京の低予算ゲームバラエティ『勇者ああああ』。
予算がなくたって、テレ東には「金がないなら企画を考える、有名人が出せないなら素人をおもしろく撮る」の伝統芸能がある。
この連載では、同番組の演出・プロデューサーを務める板川侑右氏が、過去に呼んだ芸人や今呼びたい芸人と、その理由などを明かす。
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