ギルバート・ブライス登場
2日目。
登校途中の森に突然現れるビリー・アンドリュースが「姉さんの悪口を言いふらしたそうだな」「思い知らせてやる」と脅してくる。怯えるアンを助けるというオリジナルエピソードでギルバート・ブライスが登場する。
かっこいい。
かっこよく描き過ぎなんじゃないかってツッコみたくなるほどだ。
原作では、教室で≪前にすわってるルビー・ギリスの長い金髪のお下げを、こっそり、いすの背に、ピンでとめつけようと夢中に≫なるようなイタズラっ子だ。
ドラマ版は、もう少し大人で紳士。ひとり孤立して座ってるアンに、農園のリンゴをあげようとする。「ギルバートとは話してはいけない」という女子の不思議な掟のためアンは口を開けない。
という展開があって「にんじん!」事件へ。話しかけても無視されっぱなしのギルバートは、授業中、アンの赤毛を引っ張って「にんじん!」と囁く。
原作では、≪石板をギルバートの頭に打ち下ろ≫すのだが、ドラマでは平手打ちの要領で頬にバシン!と一発。
怒るフィリップス先生に「僕が悪いんです」とギルバートは訴えるが、「かんしゃくもちのアンシャーリーです」と書かれた黒板の前にアンは立たされる。「Ann Shirley has a very bad temper」アンの綴りの最後のeはついていない。
学校生活の最初から受け入れられない状況の連続で、アンは追い詰められる。「ここまでハードにしなくてもいいのに」と思っちゃう原作ファンもいるだろう。
せめてもの救いは、マリラだ。
アンのネズミ話の顛末を知り、「あの子はとんでもないことをしてくれた」と怒るマリラ。
マシューが「心配だな」と言うと、「我が家の恥よ」とマリラは答える。
マシューは、我が家の名誉を心配しているのではなくて、「アンを心配しているんだ、わたしは」と返す。
「あの子は子供のくせに(あんな下品なことを言うとは)」と言いかけたマリラに、「子供だから。かわいそうでならないよ。まだ知らなくていいことを知らされる環境にいたんだ」とマシュー。
マシュー、かっこいい。
しかも、このちょっと前に「進歩的な考え方についてご意見は」とリンド夫人が皮肉っぽく言うのに対して、「何事も始めは進歩的だろ、古くなるまでは」っておしゃれに答えていて、マ、マシュー!ってなったばかりだ。
マシューの言葉に、はっとするマリラ。
「進歩的な母親の会(母親たちの女子教育についての勉強会)にもう来ないでくれ」と一方的に非難されたマリラ自身の気持ちとも重なり合って、アンのつらさを理解する。
泣いて帰ってきたアンを受け止めてくれるマリラがいて、よかった。
余談。原作の授業中の描写が実にいいのだ。フィリップス先生がプリシーに勉強を教えている間、ほかの生徒が好き放題やってる様子はこう描かれる。≪青林檎をかじる者、ひそひそ話をする者、石版に落書きする者、こおろぎに紐をつけて通路を散歩させる者もいた。≫ドラマ版は、ここまで野放図なクラスではなかった。特に「こおろぎに紐をつけて通路を散歩させる」おバカ男子がいなかったのが残念である、観たかったのにー。
『アンという名の少女』
原題:Anne with an “E” 制作:2017年 カナダ
原作:L・M・モンゴメリ
製作総指揮:モイラ・ウォリー=ベケット
キャスト
アン・シャーリー(エイミーベス・マクナルティ)(上田真紗子)
マリラ・カスバート(ジェラルディン・ジェームズ)(一柳みる)
マシュー・カスバート(R・H・トムソン)(浦山迅)
ダイアナ・バリー(ダリラ・ベラ)(米倉希代子)
ギルバート・ブライス(ルーカス・ジェイド・ズマン)(金本涼輔)
レイチェル・リンド(コリーン・コスロ)(堀越真己)
ジェリー・ベイナード(エイメリック・ジェット・モンタズ)(霧生晃司)
Netflixシーズン1から3まで配信中
NHK総合で日曜の午後11:00から全8回
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