コロナ禍の「リアル脱出ゲーム」がリアル過ぎる。自粛上等、事件は自宅で起きている!

2020.9.11


オンラインで話し合う体験こそがコロナ禍の「リアル」

『封鎖された人狼村からの脱出』の舞台は、人狼が紛れ込み外出が制限された村。自宅での生活を余儀なくされた村人たちは、不思議な水晶玉を使って“リモート会議”を行っている。プレイヤーは村人たちの会議に参加し、いったい誰が人狼なのかを解き明かす……というストーリー。

『封鎖された人狼村からの脱出』予告編

ゲーム内の映像では9人の役者が村人を演じ、リモート会議を繰り広げている。制限時間もなく、ひとりでも楽しめる作りなので、映像をじっくり観ながら謎を解くことになるのだが、だんだん自分も「人狼村」に取り込まれていく没入感がある。自宅にいるのに「リアル」なのだ。

『封鎖された人狼村からの脱出』より。村人たちのリモート会議をヒントに人狼を見つけ出せ
『封鎖された人狼村からの脱出』より。村人たちのリモート会議をヒントに人狼を見つけ出せ

『封鎖された人狼村からの脱出』は、その設定からもわかるようにコロナ禍を取り巻く状況も反映されている。特にリモート会議は、このコロナ禍ですっかり日常の風景になってしまった。9分割された画面で人々が話し合っている光景こそが、我々の「リアル」になっているのだ。

これまでリアル脱出ゲームは、会場を「潜水艦」「月面基地」「刑務所」などに見立て、その見立てに沿った謎解きを用意することで没入感を演出してきた。『封鎖された人狼村からの脱出』はコロナ禍の生活そのものが「見立て」として機能しており、オンラインでも会場公演のような興奮を生み出すことに成功している。

7月に公演がはじまった『青梅雨(あおつゆ)に届いた手紙』もまた、自宅での謎解きを「リアル」に変えてしまう。プレイヤーは在宅調査を専門とする「アットホームズ探偵事務所」の一員。ある日、ひとりの少女から「亡くなった父が残した宝探しの謎を、一緒に解いてほしい」という依頼が届く。父が残した謎は「仲間たちと解くように」とあり、ひとりでは解けないのだという。

リアル脱出ゲーム・デリバリー『青梅雨(あおつゆ)に届いた手紙』
リアル脱出ゲーム・デリバリー『青梅雨(あおつゆ)に届いた手紙』

『青梅雨~』は4~6人でのプレイが必須で、参加登録をすると自宅に「依頼人の少女からの手紙」を含む謎解きキットが届く。公演当日は、全員が公演用のZoomに参加して謎解きを行う仕組みだ。参加者たちは「同じ探偵事務所の仲間」として、ZoomやLINEを駆使して謎を解くほか、実際に依頼人の少女ともやりとりをすることになる。

ある少女からの依頼で始まる『青梅雨(あおつゆ)に届いた手紙』
ある少女からの依頼で始まる『青梅雨(あおつゆ)に届いた手紙』

ひとりでも参加できる『封鎖された~』とはまた異なり、『青梅雨~』は「オンラインでのコミュニケーション」と「手触り感のある謎」が在宅探偵の気分を盛り上げる。父が遺した想いが徐々に明らかになるストーリーにも引き込まれ、公演終了後も「あの子はそのまままっすぐ育ってほしい……」という感慨にしばらく浸っていた。

Zoomで他の参加者と協力しながら、家に届いた謎解きキットを解いていく(イメージ
Zoomで他の参加者と協力しながら、家に届いた謎解きキットを解いていく(イメージ)

オンライン謎解きはもう「ピンチヒッター」ではない

新しい生活様式によって、「自宅」が外とつながるリアルな場となった。それはすなわち、自宅が新たな物語を生む場になったとも言える。

となれば、オンラインの謎解き公演は、コロナ禍を乗り切るためのピンチヒッターではなく、可能性を秘めた荒野を開拓する存在になるはずだ。

『呪い鏡の家からの脱出』はまもなく公開予定
『呪い鏡の家からの脱出』は9月11日公開予定

今も開拓は着々と進んでいる。9月11日公開の新作、オンラインリアル脱出ゲーム×お化け屋敷『呪い鏡の家からの脱出』は、お化け屋敷プロデューサー・五味弘文との共同制作。怪奇現象が起こる廃屋に足を踏み入れた後輩「ウツミ」とリモートでつなぎ、実際にウツミに指示を出しながら廃屋を探索して謎を解くという。Zoomの荒い画面を通じて見る怪奇現象は、逆にリアルだろうな……と、想像するだけで震えるのだった。

『呪い鏡の家からの脱出』より。行方不明の先輩を探しに、後輩「ウツミ」はカメラを持って廃屋へ……
『呪い鏡の家からの脱出』より。行方不明の先輩を探しに、後輩「ウツミ」はカメラを持って廃屋へ……

この記事を気に入った方はサポートをお願いします。次回の記事作成に活用いたします。

この記事の画像(全9枚)


関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ



井上マサキ

Written by

井上マサキ

(いのうえ・まさき)1975年宮城県生まれ。ライター、路線図マニア。大学卒業後、システムエンジニアとして15年勤務し、2015年よりライターに転身。共著に『たのしい路線図』(グラフィック社)、『日本の路線図』(三才ブックス)、『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか? 日本の昔話で身につく税の基本』(..

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森⽥美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太