同じボケをひたすら繰り返す「リフレインボケ」を見つづけて頭がおかしくなりたい

2020.8.26

文=かんそう 編集=鈴木 梢


壊れた機械のようにひたすら同じボケを繰り返す、いわゆる「リフレインボケ」のネタ。一度ツボにハマってしまうと文字どおり「永遠に」笑えてしまう。その言葉を発する芸人の発音が、仕草が、表情が、ネタを形成するすべてが中枢神経を刺激し、全身からドーパミンが吹き出て呼吸困難になってしまう。あの快感は何物にも代えがたい。それは一種の麻薬のよう。そんな「リフレインボケ」の代表格であるおすすめの3組を具体的なネタと共に紹介したい。

演技がうま過ぎて錯覚するジャルジャル

「リフレインボケ」の代表格といえばジャルジャルの名前を挙げる人も多いだろう。『キングオブコント』で披露された『おばはん』のワードを4分間繰り返すネタをはじめ、『M-1グランプリ』で大爆発した「国名分けっこ」「ピンポンパンゲーム」など、ネタのベースすべてがしつこいで構成されている生粋の「しつこニスト」。

ジャルジャルコント『変なキャラ練習させられてる奴』(ジャルジャルタワー JARUJARU TOWER)

そのしつこさがイヤらしくならないのは、ふたりのプレーンな出で立ちと類稀なる「演技力」にある。たとえば、YouTubeチャンネル『ジャルジャルタワー JARUJARU TOWER』にも投稿されている代表ネタ「変なキャラ練習させられてる奴」。

構造としては、「屁が臭ぇ!屁が臭ぇ!すっごくすっごく臭ぇでござんす!」という意味不明なセリフを福徳がひたすら練習させられているだけの単純でわかりやすいネタだが、うまくセリフを言うことができない福徳と、それを徹底的にダメ出しする後藤というふたりの関係性のリアルさによって、観ている人間に「これはジャルジャルだ」ということを忘れさせる。

舞台なのかドラマなのか。本当にそういう作品があり、それに本気で取り組む人間が実在してるんじゃないかと錯覚してしまうほどふたりの演技が「うま過ぎる」。頭をカラッポにして笑えるだけでなく、その裏に潜んでいるドラマすら感じさせるジャルジャルのしつこいコントは底なし沼のように深い。

チョコレートプラネットの狂気

関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ

Written by

かんそう

1989年生まれ。ブログ「kansou」でお笑い、音楽、ドラマなど様々な「感想」を書いている。

関連記事

有吉の壁

『有吉の壁』に見る、芸人たちのポテンシャルとMCふたりの存在の大きさ

ジャルジャル_リモートコント

ジャルジャルが状況を逆手に取った「リモートコント」の完成度の高さ

『勇者ああああ』芸人キャスティング会議

「パチンコ屋に行ってるような奴ら」から人気の芸人ふたりのキャスティング

ケビンス×そいつどいつ

ケビンス×そいつどいつが考える「チョキピース」の最適ツッコミ? 東京はお笑いの全部の要素が混ざる

「VTuberのママになりたい」現代美術家兼イラストレーターとして廣瀬祥子が目指すアートの外に開かれた表現

「VTuberのママになりたい」現代美術家兼イラストレーターの廣瀬祥子が目指すアートの外に開かれた表現

パンプキンポテトフライが初の冠ロケ番組で警察からの逃避行!?谷「AVみたいな設定やん」【『容疑者☆パンプキンポテトフライ』収録密着レポート】

フースーヤ×天才ピアニスト【よしもと漫才劇場10周年企画】

フースーヤ×天才ピアニスト、それぞれのライブの作り方「もうお笑いはええ」「権力誇示」【よしもと漫才劇場10周年企画】

『FNS歌謡祭』で示した“ライブアイドル”としての証明。実力の限界へ挑み続けた先にある、Devil ANTHEM.の現在地

『Quick Japan』vol.180

粗品が「今おもろいことのすべて」を語る『Quick Japan』vol.180表紙ビジュアル解禁!50Pの徹底特集

『Quick Japan』vol.181(2025年12月10日発売)表紙/撮影=ティム・ギャロ

STARGLOW、65ページ総力特集!バックカバー特集はフースーヤ×天才ピアニスト&SPカバーはニジガク【Quick Japan vol.181コンテンツ紹介】