YouTubeはさらに双方向へ。動画の隆盛とチャンネル成功理論|お笑い第7世代の仕掛け術


YouTubeは双方向になる。動画の隆盛とチャンネル成功理論

YouTubeチャンネル『しもふりチューブ』や『みんなのかが屋』を手がけ、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ)の企画・構成にも最年少で携わる29歳の放送作家・白武ときお。彼の書籍『YouTube放送作家 お笑い第7世代の仕掛け術』(扶桑社)が業界内外から注目を集めている。

“お笑い第7世代”と共に仕事をすることが多く、テレビやYouTubeといったメディアの枠を超えた仕事ぶりで、おもしろいコンテンツを次々に生み出している白武。本書には彼の視点から「YouTubeの隆盛と芸能人参入」、「第7世代論」、「コロナ禍のエンタメ事情」、「エンタメ業界で必要とされるスキル」などが語られている。

本記事では、その書籍の内容を一部抜粋して紹介。今回は「YouTubeの隆盛と芸能人チャンネルの成功理論」について書かれたパートを掲載する。

※文中の表記等はすべて本書のまま掲載していますが、一部の見出しや要約部(グレー部分)などはQJWeb編集部による追記です。

YouTuberも「第7世代」

お笑い第7世代のように、YouTuberも世代で区切られることがあります。チャンネル登録者数400万人超の人気チャンネル「水溜りボンド」のトミーさんが動画内で発表した世代分けでは、第1世代にはヒカキンさん、MEGWINさん、瀬戸弘司さんなどが入っています。10年以上クオリティの高いチャンネルを運営し続けているベテラン勢ですね。

続いて第2世代には、はじめしゃちょー、アバンティーズさん、フィッシャーズさんなどが登場。僕にとっては「自分と同世代の人もやり始めているな」といった感覚が出てきました。第3世代には、東海オンエアさんやおるたなチャンネルさん。トミーさんは言及していませんが、このあたりにラファエルさんなども入りそう。

水溜りボンドさんは2014年に始めていて、ヒカルさん、すしらーめんさんなどが同世代とのこと。第3〜4世代のゾーンがかなり厚く、名前を知っていたり動画を見ている人も多いのではないでしょうか。成功者が多い世代だと思います。

第5世代にはアーティストとしてメジャーデビューもしているスカイピースさんなど。第6世代になると、男女二人組のヴァンゆんさん、そしてカジサックさんに朝倉未来さんなど、芸人や格闘家として有名なYouTuberが挙げられます。第7世代がパパラピーズさん、土佐兄弟さんなど、TikTokなどでも人気の最新チャンネル。お笑いと比べると歴史は浅いため、世代の移り変わりが非常にタイトです。

ちなみに、YouTubeには黄金世代があるそうで、それが1994年生まれだとか。水溜りボンドさん、フィッシャーズさん、パオパオチャンネルさんの主要メンバーや、ゆうこす(菅本裕子)さんなどがそれに当たります。

彼らの世代は中学生でYouTubeに出会っているはずなので、高校生のときには投稿しようと思ったらやれる環境にあったと思います。いまの中高生が学校でクラスメイトとTikTokを撮影するぐらいの感覚で、日常のなかにYouTubeがあった世代なんですね。

視聴時間もチャンネルも増え続ける

芸能人のYouTube進出に関しては、カジサックさん以前と以降で潮目が大きく変わりました。カジサックさんがチャンネルを開設したのが2018年。翌年7月に100万人を突破。これを機に、多数の芸能人がYouTubeの可能性に気づきます。

まさに破竹の勢いでYouTubeを開拓している芸能人チャンネルですが、そのすべてが盛り上がっているわけではありません。成功するかしないかの分かれ目はどこにあるのでしょうか。

まずひとつに、「照れがない」ということの大切さが挙げられます。テレビの世界からYouTubeに“下りていった”みたいな空気が感じられると、視聴者は敏感にそれを感じ取って離れていきます。

たとえば、宮迫さんがYouTubeを始めたとき、人気YouTuberのヒカルさんとコラボしたことに対して、ネガティブなコメントもありました。しかし、スタートダッシュを切るには最良の手です。普通に始めてもなかなか話題にならないし、視聴者もどう見たらよいのかわからない。YouTubeのご意見番的な立ち位置を確立しているヒカルさんのディレクションは鮮やかでした。

芸能人がYouTuberとコラボするのはダサい、美学に反するという気持ちもわかります。ただ、他の戦略を見つけられないまま、ダラダラと迷走しているほうが、結果的にはダサく見えてしまいます。

ウケようと寄せにいくより、熱量のある動画

江頭2:50さんのように、一人で圧倒的に駆け上がっていくのは確かにかっこいい。それができる人だったら、何も問題はありません。でも、そうでないのなら照れている場合ではないんです。

最初にネガティブな反応をされたり恥をかいたりしても、成功してしまえばみんなすぐに忘れてしまう。宮迫さんのYouTubeチャンネルは大成功なんです。

芸能人はどんな動画を上げれば人気チャンネルになるのでしょう。よく、そういう相談も受けますが、こればっかりはやってみないとわかりません。何がウケるかわからない。

僕としては、ウケようと思って寄せにいっている動画よりも、本人がこれが面白いと思ってやっている、熱量のある動画が好きです。ハリウッドザコシショウさんのチャンネルは、常軌を逸しています。あれこそ芸人さんの真のフルスイングだと思う。

今年に入って、とあるアイドルのチャンネルも担当するようになったのですが、先日、旅動画を出してみたらもの凄い反響がありました。リハ動画やコンサートのバックヤードのような「アイドルの裏側」を公開するのはK-POPからの流れですが、「芸能人のオフ」を見ることができるのは強いと思います。日本のアイドルもどんどんやるようになっているので、今後もこの流れは進んでいくでしょう。

「芸能人のオフ」でいえば、川口春奈さんのYouTubeも面白いですね。「ここまで見せるのか?」っていうような場所も平気で映している。テレビだったらどう編集されるかはオンエアまでわかりませんが、YouTubeなら、実家で撮ったセルフィー動画を、自身が編集権をもって配信までもっていくことができます。

カジサックさんに続く第二波として、中田敦彦さんが「YouTube大学」で教育系YouTuberとして、政治や社会情勢、歴史などに関する解説動画で注目を集めています。

ホリエモンこと堀江貴文さんは、時事ネタ解説動画でNewsPicksを読むようなリテラシーの高い視聴者、大人のお客さんをYouTubeに引き込みました。

彼らの動画をきっかけにYouTubeに足を踏み入れた視聴者は、自分の趣味に合った動画にも辿りついていきます。

たとえば「きまぐれクック」や「釣りよかでしょう。」、ヒロシさんのキャンプ動画といった、ピンポイントに細かく刺さるような動画を見はじめると、オススメ動画として次から次へと自分の趣味嗜好に合ったものが出てくる。そうして、僕たちがYouTubeを見る時間はどんどん増えていくのです。

YouTubeのチャンネル数は宇宙のように膨張し続けていくでしょう。もしかしたら、今後はTwitterやInstagramのように、誰でも一人1チャンネルを持って、気軽に動画投稿することが当たり前の時代になるかもしれません。

YouTubeとしても、今後は“SNS化”を目指しているように思います。投稿者とチャンネル登録者が直接交流できるコミュニティという機能を作ったほか、インスタストーリーのような機能もできました。

「エンゲージメント」というコミュニティに対してのリアクションもチャンネルの評価になっていて、ここで活発にコミュニケーションが行われていると思われれば、高い評価となって動画の広告単価につながっていく。

いまYouTubeは、よりインタラクティブ(双方向)なコミュニケーションに向かっているのではないでしょうか。

YouTube放送作家 お笑い第7世代の仕掛け術

『YouTube放送作家 お笑い第7世代の仕掛け術』

【収録内容】

地上波番組の放送作家として、またYouTubeの放送作家として媒体を越境しながら働く白武氏が、YouTubeとテレビの最前線の現状を分析。メディア論にとどまらず、エンタメ業界で必要とされるスキルや、白武氏が実践しているライフハックなども紹介。実践に基づいたカルチャー&ビジネス書となっている。

第1章:YouTube 革命(YouTube年表収録)
第2章:お笑い第7世代の仕掛け術(かが屋×白武 座談会収録)
第3章:テレビは時代遅れか?という議論には意味がない
第4章:コロナ禍のエンタメ事情
第5章:裏方人生
第6章:第7世代的仕事論


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