松岡昌宏『家政夫のミタゾノ 特別編』が暴いたリモートな不倫。コロナ禍で浮気は増加しているらしい

2020.6.12

コロナ禍で不倫は増えている

トリッキーな構成のドラマに見入っていたのだが、途中でドラマの中に登場するさまざまなリモート画面は、どれも自粛生活の中で普段見ているものばかりだと気づいた。会社の人たちとリモートで会議をして、離れた家族とリモートで会話をし、メッセージアプリでやりとりをする。あとからこの特別編を見れば、「ああ、このときは確かにこういう生活をしていたな」と思い出す人も多いんじゃないだろうか。ドラマが一種の生活の記録になっている。

リモートワークがつづくことによる家庭の閉塞感も表している。明彦と真理子は夫婦仲が冷え切っているにもかかわらず、外出できずに24時間ずっと顔を突き合わせているわけだから、そりゃ息も詰まるだろう。明彦は不倫にうつつを抜かすダメ男だが、彼がバーチャル背景を使って妻を騙して浮気相手の部屋に転がりこむことに成功したときの雄叫びは、閉塞した家庭から脱出できた喜びのほうが大きかったはず。

現在、アンジャッシュ渡部の不倫騒動が話題になっているが、実はコロナ禍中での不倫について興味深いデータがある。総合探偵社MRが不倫をつづけている男女128人に対してアンケートを行ったところ、コロナ以前に比べて浮気相手と会う頻度が増えたと答えた人は全体の18.0%に及ぶという。また、この時期に浮気を始めたという男女は13.3%もいた(『女性自身』6月8日)。明彦がいそいそとコロナ不倫にいそしむのはリアリティのある話だったのだ。

もともと『ミタゾノ』というドラマは、さまざまな時事ネタを突っ込みながら人々の秘めた欲望や本音をあけすけに語る(ミタゾノが暴いてしまう)作品なわけで、それをリモートドラマでも貫けば、自然と視聴者のリアルのキワキワに触れることになる。コロナだからといって取ってつけたような前向きなメッセージを打ち出すわけでもなく、思わず無言になってしまうエンディングを用意しているのも、いかにも『ミタゾノ』らしい「神回」だった。

『家政夫のミタゾノ 特別編』イラスト/たけだあや
『家政夫のミタゾノ 特別編』イラスト/たけだあや

この記事の画像(全10枚)




関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ

大山くまお

Written by

大山くまお

1972年生まれ。名古屋出身、中日ドラゴンズファン。『エキレビ!』などでドラマレビューを執筆する。

関連記事

2020年 五月の恋

吉田羊×大泉洋『2020年 五月の恋』は、リモートドラマの到達点

リモ止め

『リモ止め』『12人の優しい日本人』『でんぱ組.inc』NHK『テレワークドラマ』……進化するリモートエンタメの勢いを止めるな

王様のブランチ

ロケを封じられた『王様のブランチ』がリモートで大進化を遂げている

ツートライブ×アイロンヘッド

ツートライブ×アイロンヘッド「全力でぶつかりたいと思われる先輩に」変わらないファイトスタイルと先輩としての覚悟【よしもと漫才劇場10周年企画】

例えば炎×金魚番長

なにかとオーバーしがちな例えば炎×金魚番長が語る、尊敬とナメてる部分【よしもと漫才劇場10周年企画】

ミキ

ミキが見つけた一生かけて挑める芸「漫才だったら千鳥やかまいたちにも勝てる」【よしもと漫才劇場10周年企画】

よしもと芸人総勢50組が万博記念公園に集結!4時間半の『マンゲキ夏祭り2025』をレポート【よしもと漫才劇場10周年企画】

九条ジョー舞台『SIZUKO!QUEEN OF BOOGIE』稽古場日記

九条ジョー舞台『SIZUKO!QUEEN OF BOOGIE』稽古場日記「猛暑日のウルトラライトダウン」【前編】

九条ジョー舞台『SIZUKO!QUEEN OF BOOGIE』稽古場日記

九条ジョー舞台『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE』稽古場日記「小さい傘の喩えがなくなるまで」【後編】

「“瞳の中のセンター”でありたい」SKE48西井美桜が明かす“私の切り札”【『SKE48の大富豪はおわらない!』特別企画】

「悔しい気持ちはガソリン」「特徴的すぎるからこそ、個性」SKE48熊崎晴香&坂本真凛が語る“私の切り札”【『SKE48の大富豪はおわらない!』特別企画】

「優しい姫」と「童顔だけど中身は大人」のふたり。SKE48野村実代&原 優寧の“私の切り札”【『SKE48の大富豪はおわらない!』特別企画】

話題沸騰のにじさんじ発バーチャル・バンド「2時だとか」表紙解禁!『Quick Japan』60ページ徹底特集

TBSアナウンサー・田村真子の1stフォトエッセイ発売決定!「20代までの私の人生の記録」