コロナ禍で不倫は増えている
トリッキーな構成のドラマに見入っていたのだが、途中でドラマの中に登場するさまざまなリモート画面は、どれも自粛生活の中で普段見ているものばかりだと気づいた。会社の人たちとリモートで会議をして、離れた家族とリモートで会話をし、メッセージアプリでやりとりをする。あとからこの特別編を見れば、「ああ、このときは確かにこういう生活をしていたな」と思い出す人も多いんじゃないだろうか。ドラマが一種の生活の記録になっている。
リモートワークがつづくことによる家庭の閉塞感も表している。明彦と真理子は夫婦仲が冷え切っているにもかかわらず、外出できずに24時間ずっと顔を突き合わせているわけだから、そりゃ息も詰まるだろう。明彦は不倫にうつつを抜かすダメ男だが、彼がバーチャル背景を使って妻を騙して浮気相手の部屋に転がりこむことに成功したときの雄叫びは、閉塞した家庭から脱出できた喜びのほうが大きかったはず。
現在、アンジャッシュ渡部の不倫騒動が話題になっているが、実はコロナ禍中での不倫について興味深いデータがある。総合探偵社MRが不倫をつづけている男女128人に対してアンケートを行ったところ、コロナ以前に比べて浮気相手と会う頻度が増えたと答えた人は全体の18.0%に及ぶという。また、この時期に浮気を始めたという男女は13.3%もいた(『女性自身』6月8日)。明彦がいそいそとコロナ不倫にいそしむのはリアリティのある話だったのだ。
もともと『ミタゾノ』というドラマは、さまざまな時事ネタを突っ込みながら人々の秘めた欲望や本音をあけすけに語る(ミタゾノが暴いてしまう)作品なわけで、それをリモートドラマでも貫けば、自然と視聴者のリアルのキワキワに触れることになる。コロナだからといって取ってつけたような前向きなメッセージを打ち出すわけでもなく、思わず無言になってしまうエンディングを用意しているのも、いかにも『ミタゾノ』らしい「神回」だった。
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