窮鼠、さんかく窓……2020年BL実写化作品の魅力を、専門家が解説

2020.5.24

ハードな性描写も実写化『性の劇薬』

SM系のBLで、BL作品の中でもひときわ過激な作品が『性の劇薬』(2月14日映画公開済み)。人生に絶望し自殺を図るエリート・桂木誠。「捨てるなら……その命、俺によこせ!」と余田龍二に止められるも、緊縛拘束され、監禁ライフが始まります。俺様ドS、鬼畜、奴隷、調教、フェチ……と、エロティシズムを追求した本作。史上初の18禁の実写BL映画となりました。

映画「性の劇薬」 2020年2月14日より順次公開(予告編)

映画と原作では内容が変わっていますが、特筆したいのは、原作にはない展開のひとつとして印象的な“口笛”。映画の中では童謡「ハンプティ・ダンプティ」の口笛を吹くシーンがあります。

「ハンプティ・ダンプティ」の歌詞は、ハンプティ・ダンプティが塀の上から落っこちて、元に戻せなくなるといった内容。“自殺したら元には戻らない”とかけています。映画では余田の恋人が、終末期医療の仕事に病んで自殺してしまったという設定(原作では兄が事故で亡くなっている)。もともとは余田の死んだ恋人がよく吹いていた口笛を、引き継いで余田が要所要所で吹いています。

ただ性描写が艶美で濃密、というだけではないのが本作の一番のポイント。“生”を感じるほどの“性”という快楽を与えることに意味があるからこそ、性描写は過激でなければ伝わらない! 「原作と映画では内容が異なる」と事前の発表があったときは、ファンから心配する声もありました。しかし、この変更によって本作のテーマである“生”と“性”ふたつのつながりがより強く感じられ、高い演出力に拍手せずにはいられません! 心配は杞憂に終わり、映画ならではの味わいが増した実写化となっています。

これらのほか、昨年ドラマ化された『his〜恋するつもりなんてなかった〜』のその後を描いた映画も今年1月に公開されています。

こうして見ると、実写化されているBL作品は、「BL表現が少ない入門者向け作品」か「性的な刺激の強い作品」かで真っぷたつに割れていますね。次に実写化されるBL作品はどれか、皆さんもぜひ予想してみてください。筆者は『ワンルームエンジェル』または『ただいま、おかえり』シリーズが来るんじゃないかなあと……期待を込めて、ここに書き残します。



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ちるちる

BL漫画・小説・ドラマCD等、濃厚なレビューが集まる商業BLポータルサイト。カテゴリー検索や”地雷”と呼ばれる苦手な設定も検索できる。BL作品総選挙「BLアワード」、リアルイベント「ちるフェス」、声優朗読会「ちる箱」も。記事の執筆は編集部員むきゃが担当。

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