非日常を求め、鮮魚専門スーパーでなじみの薄い魚介類を買ってみる。気分は漁港(パリッコ)

2020.5.15

買ってきた鮮魚を堪能し尽くす夕べ

なんとか準備が整い、今日も非常にいい天気なので、ベランダで飲み始めることにする。酒はもちろん日本酒。ワサビは、せっかくだからと隣のフレッツで本ワサビを買っておろした。ちなみに、今日買ったどの魚介類よりも高い680円だった。

苦労の末の絶景

まずは労作のイカ刺し。これが衝撃的うまい。歯ごたえがもう、プリプリを通り越してパツンパツン。それを噛みしめると、濃厚な甘みと、どこかつかみどころのないような、だけど近年妙に好きでしょうがない、イカ独特の風味が広がる。おろしたてのワサビのピリピリと心地よい刺激と、まるで花のような香りにも感動する。いつもより手をかけただけあって、イカ刺し1品だけでも、ものすごい満足度だ。コウイカ、一気に自分の大好物上位に食いこんできたな。

甘エビはなんというか、こんな薄っぺらい感想しか出てこないことが恥ずかしい限りなんだけど、とにかく甘い。甘い甘いエビ。卵のプチプチもよいアクセント。それが心ゆくまで堪能できる頼もしい量がうれしい。

エンガワはあらかじめ出汁醤油で漬けにしてみたんだけど、40代の自分にはちょっと脂っこ過ぎるかな。ひと晩酌に2、3切れでいい感じ。

ひとしきり堪能していたら日が暮れてきた。キッチンでイカゴロ焼きを作り、ダイニングに移動して第2部を始めよう。

1杯で楽しませてくれすぎじゃないだろうか。コウイカよ

刺身はうまい。絶対にうまい。けれども、短時間に食べつづけていると突然、体がそれを欲しなくなるタイミングがやってくる。美しいサシの入った高級肉などと共通していて、パワーがあり過ぎるのだ。そこで温かいものがうれしい。バターと醤油で炒めたイカの、なんと味わい深いことか。さっきとはまた食感が違い、ブリンブリンだ。

あっという間に食べてしまうと、当然「イカの旨味汁」が器に残る。それを再びフライパンに戻し、白米を加えて軽く炒め、器に戻す。

最終的にこういうものが一番うまいという結論に達しがち

生命力あふれるコウイカの、キモとスミ。それから、バターと醤油。煮詰まって濃厚になったその汁が、白米と絡み合う。見た目はそんなによくないけれど、これ以上うっとりできるシメはなかなか見つからないんじゃないだろうか。とんでもないうまさだった。

この日はこれでもう大満足。晩酌は終了となったわけだけど、買ってきた食材はまだまだ残っている。

翌朝、残しておいた甘エビの殻で出汁を取って味噌汁を作り、残っていた漬けのエンガワは、炊きたてのご飯の上に並べ、バーナータイプのチャッカマンで炙りを入れてみた。

味噌汁、大変贅沢な味わい。昨日の美しき思い出がフラッシュバックする。

それから、エンガワを食べてみてかなり驚いた。前日は確かにあったコリコリとした食感が消え失せ、米とともにかっこむと、ジュワッと旨味だけを残して消えてしまうのだ。その味が染みたご飯のうまいことうまいこと……。この変化はどういうことだろう? 漬けて1日置いたから? 炙ったから? 米に乗せたから? もしくはそれらの複合的な結果? もしかしてこれ、新しい絶品料理を生み出してしまったと言っても過言ではないんじゃないだろうか?

新料理「消滅するエンガワ丼」
マスの身もまだたっぷりとある。最近、焼魚はもっぱらホットサンドメーカー
延々と飲めてしまう一品が完成。これがまだ何ターンか分残っている

今回買った魚介類の合計は、1660円だった。そこに本ワサビを加えても2340円。それでこれだけ楽しめてしまった上、まだマスのカマもワサビも残っている。

いつもとちょっと違うスーパーへ行ったり、ちょっと違うものを買ってみて、せっかく時間があるのだから、ちょっとだけ手をかけてみる。それで得られる非日常感は、なかなか楽しいものだった。

ちなみに今夜、晩酌のシメに、ご飯にワサビ、カツオ節、醤油をかけた「ワサビ飯」を食べてやろうと思っていて、今から楽しみで仕方ない。

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