『日本の路線図』で全国149社の路線図を見比べる……もう、それは旅だ
『日本の路線図』(三才ブックス)はストイックな本だ。テキストに依らず、路線図そのものから旅情を受け取る不思議な感覚。コロナで家から出られなくても、路線図がある。好きな場所に旅立てるし、いつもの通勤電車の新しいルートが見つかるかもしれない。著者のひとり、井上マサキが『日本の路線図』ができるまでをじっくり解説する。
路線図は「みんな違ってみんないい」
2020年3月14日。JR山手線に49年ぶりとなる新駅、高輪ゲートウェイ駅が開業した。同時にこの日は、首都圏の路線図が一斉に更新された日になった。
JRや私鉄、地下鉄が網の目のように走る東京の路線図に、「高輪ゲートウェイ」という8文字(!)を違和感なく挿入させないといけない。路線図のデザインは鉄道会社ごとに異なる。華々しい新駅開業の裏で、新駅を入れるパズルと格闘していた人々がいたはずだ。
さて、路線図のデザインがさまざまなのは、何も東京に限った話ではない。日本全国の鉄道会社、みんなそれぞれ路線図を作っている。駅数も路線数も、色も、デザインも、わかりやすさの配慮も、比べてみると全部違う。
とはいえ、旅先で路線図を確かめようにも、コロナウイルス感染拡大防止のため遠出は難しい。そこでご紹介するのが、47都道府県の149社(路線)分を収めた『日本の路線図』である。著者は宮田珠己/西村まさゆき/井上マサキ。僭越ながら「路線図マニア」の筆者も本書に携わっている。
許諾を得た路線図を「そのまま」掲載
『日本の路線図』の最大の特徴は、実際に駅で使われている路線図を「そのまま」載せていること。コメントを極力廃して、「路線図の図鑑」として鑑賞できるようにしている。