福井俊太郎(GAG)連載「指が輝いてる人はピザ食べた人」第18回【御茶ノ水×ランチョン×大宮の師匠になりたいかなニャハハハッ】

文・撮影=福井俊太郎(GAG) 編集=福田 駿


福井俊太郎(GAG)による連載「指が輝いてる人はピザ食べた人」。総武線沿線の旨いグルメを、福井お得意の“決めつけ”を挟み込みながら紹介していく決めつけグルメ連載だ。今回降り立つのは御茶ノ水駅。御茶ノ水の街並みで見つけた“偏り”から、福井氏の身近でもっとも偏った人物・SJ氏を思い出す。自分に正直に生きるSJ氏のように振る舞ったからこそ出会った旨グルメが御茶ノ水にありました。

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券売機の筋肉をほぐす??

どうもぉ総武線の御茶ノ水駅は、、神保町よしもと漫才劇場に行くのに、、お茶の水橋口から降りて通うのが便利が良いというご縁がありまして、、長きに渡り利用させてもらってるのですが、、改札を降りた付近で振り返って駅を見ると、、いつも頭の片隅にうっすらと感じることがあるんですよね(もちろん少しだけ、、いや全然違うのはわかってるんですが、、私だけが、、)

御茶ノ水駅・外観

天下一武道会のイメージは
「天下一武道会 ドラゴンボール」で検索‼︎

「御茶ノ水駅の看板」と「ドラゴンボールの天下一武道会の看板」が被るんですよね、、もしかしたら、、オモシロ芸人が凌ぎを削る「神保町よしもと漫才劇場」と一番強い奴を決める「天下一武道会」がどちらも厳しい戦いの場という共通項からくる先入観かもしれません、、そういえば一度、、御茶ノ水にある二郎インスパイア系ラーメンの用心棒さんにGAG・安田ファニー氏と食べに行く約束をしてて改札から出てきた安田さんが、、天下一武道会に他人の体を借りて出場した神様(シェンさん)に見えた事もありましたね、、

安田ファニーさん

シェンさんの詳細は
「シェンさん ドラゴンボール」で検索‼︎

それでは、、恒例の、、OPV(オープニングVTR)の代わりとなるOGP(オープニンググルメピクチャー)を、、椎名林檎さんの「丸の内サディスティック」が流れているイメージでどうぞ!

♪ 報酬は入社後並行線で 東京は愛せど何も無い リッケン620頂戴 19万も持ってない居ない 御茶の水 ♪

カリーライス専門店エチオピアさん

何店舗か調べてお邪魔させていただくお店さんを迷ったのですが「エチオピア」のグラフィックデザインが格好良すぎて、、グルメジャケ買い、、させていただきました、、もちろん初めての訪問だったので、、入ってから粛々と券売機に向かい、、迷わず押したボタンは、、

このタイプの券売機

グルメ券売機界で、、一番信頼の置ける、、左上ボタン、、この左上ボタンは、、サッカーでいう背番号10番、、野球でいう背番号1番、、ホストの街宣車でいう一番顔が大きく写ってる人、、なんですよね、、

とにかく、、こいつがダメなら今日はダメ、、ってチームメイトに思わせるのが、、券売機の左上ボタン、、なので、、券売機の筋肉をほぐす事で良いパフォーマンスに繋がるというグルメオカルトを信じ、、整骨院の指圧のイメージでゆっくり深くボタンを押して席に着きました、、すると出てきたのが、、

チキンカリー(エチオピア)

この風格は勝ち確ぅぅぅぅぅ(低くねっとりした声で)

じゃがいもが付いてくる形式のカレーは「鬼に金棒」みたいに「カレーに皿じゃがいも」って旨ことわざになってもいいと思うぅぅぅ(低くねっとりした声で)

私は辛いの苦手だから辛さが一番低いのにしたけど甘すぎず辛すぎずでコクがあってルーの塩梅が最高でしたぁぁ(低くねっとりした声で)

食べた後、、水を飲みながらフと、、「カレー」、、と、、「カリー」、、の違いって何なんだろう、、との疑問が湧きまして、、一旦は自分で仮説を立ててみることに、、

「はいはい、、文字を書くのに【レ】は1画で【リ】は2画だなぁ。リの方が書くのに手間を取るよね。という事はカリー表記のお店は、ウチのはカレーより手間をかけているんだわぁ、というアピールで、カレーの方は、旨けりゃなんでもいいんだよぉパッと食ってパッと帰りやがれ、って思想なのかも。じゃあカローになると【ロ】は3画になるからより一層こだわってるんだけど材料にお金かけすぎて出れば出るほどマイナスになって、商売上がったりだよぉ、状態になって利益が上がらずに潰れていったのかもしれない」

に辿り着きました、、そしてこの仮説を検証、、ネットで調べてみると「カリーは英語圏の発音でカレーは日本の発音」との事だけでした、、うんうんうん、、しらけてしまいそうになりました、、でもこういうしらけそうな瞬間に、、お笑い芸人はその場を盛り上げる魔法の言葉を持っています、、良かったら皆さんも使ってみてください、、それがこちら、、

拍手ぅぅぅぅぅぅぅ!!!(自分も拍手しながらシンプルに大きい声で)

しらけそうになったら一択ですよ、、拍手を煽りましょう、、

♪ 毎晩寝具で遊戯するだけ ピザ屋の彼女になってみたい そしたらベンジー あたしをグレッチで殴って ♪

偏った街並み・偏った芸人

御茶ノ水、、とにかく駅前に楽器屋さんが多いんですよね、、初めて来た時は夢かなと思うくらい楽器屋さんだらけ、、春の河川敷のたんぽぽくらい楽器屋さんが並んでいる、、勝手な決めつけですが、、バランス型の街ではなく、、一点突破型の街、、偏った街並み、、印象としては大阪に住んでいた頃に電気屋さんばかりが並んでいる日本橋電気屋街と同じ印象、、なので、、御茶ノ水楽器屋街、、とでも呼ばせてください、、でも偏ったものって魅力ありますよね、、その歪さが美しいとも受け取れる、、お笑い芸人でもいるんですよね、、こういう偏った人間が、、僕が会った芸人さんの中でも群を抜いて偏っているぞと思わせてくれる男がこちら、、

GAG SJ

お笑いトリオGAGのSJ氏です、、私にとっては大阪NSC27期生で同期の相方なんですが、、彼ほど偏った芸人はいないです、、まずどんな偏り方かと言いますと、、彼の口癖が、、

吉本以外の芸人さんを芸人やと思ってないねんっニャハハハッ(明日の事すら考えてない目の前の楽しさだけを追いかけている声で)

怖い発言ですよね、、初めて聞いた時は一回無視しましたからね、、だって、、芸人は吉本興業に所属している人達のことだけを指す、、という偏り過ぎた思想ですからね、、一度はスルーしたものの再度その発言がありましたのでこれはもう放ってはおけないぞと、、真意を詳しく聞いてみると、、SJ氏が吉本の芸人と一緒にいすぎて違う事務所の芸人さんと接した時に異業種に思えるらしいです、、なので真実としては、、

「吉本芸人」と「吉本ではない事務所のお笑い芸人」っていうジャンル分けかなニャハハハッ(広島出身だけど大阪に10年いて東京に10年いるから彼にしかできないマーブル色のイントネーションで)

正直私は理解できませんでした、、お笑い芸人さんは全員お笑い芸人ですからね、、一体この人は何を考えているのだろう、、そしてただの興味本位から、、鶴の恩返しで家主が襖を開けるように恐る恐る、、SJさんは50歳60歳になった時にどんな芸人になりたいの?、、と質問してみたんですよね、、すると返ってきた台詞が、、

まあ別にないけどっ強いて言うなら大宮の師匠になりたいかなぁニャハハハッ(別にどうでもいいけど一応聞かれたから答えた声で)

……

いやいや大宮の師匠って何ぃぃぃ???聞いたことない役職を作り出してるぅぅぅ(低くねっとりした声で)

まず大宮の劇場ってそんな何十年も健在なのかなぁぁぁコントやってる師匠って吉本興業内でも前例がないしぃぃぃそれに自薦で師匠なりたいって言ってる中堅芸人も聞いたことないしぃぃ後さぁニャハハハって40歳過ぎた大人の笑い方ちゃうやろぉぉ(低くねっとりした声で)

などとツッコミどころ満載の一切バランスを取らない答えをカマされました、、そういえば若手の頃、、俺一生お笑いのゲームコーナーをやって食っていきたいねんっニャハハハッ、、という、、大木こだま師匠が聞いたら、、そんなやつおらへんやろぉ、、と言ってくれそうな別角度の目標を掲げていたこともここに記させてください、、だってお笑いのゲームコーナーって学校生活で例えると休み時間のドッヂボールみたいなものですからね、、あくまで本分ではないという認識です、、

それでもたまに、、ほんのたまにですが、、彼の発言を聞いていると、、周りの目を気にせずに生きているなぁ、、と羨望を抱くこともあるんですね、、私にも空気を読まずに自分が正直に思ってることを言えた時の爽快感ってやっぱりあるので、、最近もこんなことあったんですよねぇ

ふぉわあんぉわんふぉわんふぉわんふぉわわわわぁん(回想シーンに入る音)

ランチョンさん(神保町)

福井の心の声:ここがランチョンさんかぁ御茶ノ水(神保町)で明治時代からお店を構える老舗洋食店なんだよなぁよぉしお店に入ろうカランカランッすごい歴史のある雰囲気だぞぉうわぁ全席埋まってるぅ人気だなぁあれ?みんなステーキランチか本日のランチを頼んでるぅそれがランチョンの基本なのかぁ僕もみんなと一緒でステーキランチか本日のランチを頼んだ方が良さそうだなぁうんうんうん空気を読んでねぇうんうんうんキッチンの人もそれの方が仕事しやすいよねぇ(メニュー表を見る)あれ、、んぅ?これは?

店員さん:ご注文は?

福井:あ?、、あのぉ、、ハヤシライスでっ!

(10分後)

ハヤシライス到着

空気読まなくて良かったぁぁぁ(低くねっとりした声で)

激旨ぁぁ味が濃ゆいぃぃ旨みが強いぃぃ実家の味が薄味の子だったら気を失っちゃうくらい強い旨みぃぃ(低くねっとりした声で)

大宮の支配人がランチョンのハヤシライス最高ですよって次にくる若手芸人を教えてくれるみたいなテンションで教えてくれたことにも感謝っすぅぅぅ(低くねっとりした声で)

フウフウフウ、、空気を読まないことも時には必要ですね、、そして、、空気を読んで、、本日のランチにした同行者の方の写真なんですが、、

本日のランチ チキンソテー&サワラフライ

空気を読むのも良いねぇぇ(低くねっとりした声で)

好きなようにするのが一番ですね!!

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福井俊太郎(GAG)

(ふくい・しゅんたろう)お笑いトリオ・GAGのネタ作り担当。『キングオブコント』では過去4度決勝進出を果たす。2023年から「福井俊太郎(GAG)プロジェクト」始動。GAG活動は「GAG福井」、個人としての脚本・執筆活動などは「福井俊太郎(GAG)」として活動する。低くねっとりとしたボイスが持ち味。

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