ヨネダ2000やマユリカを下し、こんにちパンクールが優勝! 国内最大級の大喜利賞レース『AUN』の熱戦をレポート
コンビで大喜利を行う『AUN~コンビ大喜利王決定戦~』の第8回大会が10月26日(土)に一ツ橋ホールで開催された。8、9月の二度にわたる予選『新呼吸』を経て、総勢16組が挑む過去最大規模となったこの大会を振り返る。
目次
タイムリミットの中で戦うAブロック
『AUN~コンビ大喜利王決定戦~』第8回大会。過去7回のうち5回優勝の真空ジェシカが不在とあり、どのコンビが優勝するかまったく予測できない今大会では、実に5時間にわたり大熱戦が繰り広げられた。
そんな大会の冒頭から、思いがけない「補足」がMCであるバイク川崎バイク(BKB)と奥森皐月から告げられる。Aブロックに参加するヨネダ2000が飛び出しで学園祭に向かわなければならないというのだ。タイムリミットのあるこのブロックでは『AUN』の醍醐味のひとつである各自の登場ボケが一切触れられることなく、BKBの「座って!」の号令でさっそく大喜利に突入。
プリズンクイズチャンネル、オッパショ石、9番街レトロなどの単語を並べるYes!アキト&サツマカワRPGに、ゼンモンキー、Conva(※警備員の所属するコントユニット)、人間横丁で対抗する十九人。飛んだ発想の答えの合間にピッツァマン、ですよ。を交えるヨネダ。そこに、エバースが正統派の回答で立ち向かう。
途中、ヨネダの回答にアキト&サツマカワが「答えをパクった」と因縁をつけて揉め始めたり、「しりとり大喜利」でしりとりが成立していなかったり、「たぶん150cmくらいのものしりとり」というお題でラブレターズが多用されるなどの起伏を一気に駆け抜けたAブロック。勝敗が決したあと、ハケ際に奥森が十九人の扮装に触れるという素晴らしいパスを出し、今日の彼らが「おじいちゃんとおばあちゃんの若いころ」であったことが判明する。
『研修テレビ!!』再来のBブロック
Bブロックは普段から共演が多く、関係の深い4組がそろう。ほんの少しだけ衣装を変え、「その先は出たとこ勝負」(檜原洋平)と運命を場に委ねたママタルト、ぐんぴぃが『DEATH NOTE』の思いがけない登場人物に扮した春とヒコーキ、『研修テレビ!!』(※)を再現するひつじねいり。そこに『新呼吸』から勝ち上がってきたフランツは馬場が「笑いの神(インドタイプ)」として登場。
※2023年10月から2024年9月までテレビ朝日の『バラバラ大作戦』(木曜第3部)で放送されたバラエティ番組。出演者は、テレビ朝日の若手アナウンサーと、ママタルト、ひつじねいり、令和ロマン、春とヒコーキ。
フランツが回答の速さと数で点を稼いでトップに躍り出ると、ママタルトが2ポイントを重ねて追いつく。そこに独特のカラーの答えを放り込む春とヒコーキ。合間にはひつじねいり松村祥維がMCさながらほかのコンビの回答にひと言添える。「謝罪会見大喜利」で自身が『M-1グランプリ』で2回戦敗退(※その後追加合格)したことに絡めた謝罪を披露したフランツと、フランツとは師弟関係でもあり因縁の関係にもあるママタルトが準決勝へと駒を進めた。
Cブロックの暗すぎる前説大喜利
休憩空けのCブロック。「女ゴルゴ&短い龍」で登場したオダウエダに対し、「(こういうノリを)ゆっくりなくしていきたい」(ヤス)「全員が宣材写真の衣装で出るライブにしてやる!」(中野なかるてぃん)と語るナイチンゲールダンス。永田敬介&鈴木ジェロニモの永田は「今日は(別の)いい仕事が来ていたのに」とさっそく愚痴をこぼす。マユリカ中谷がまっすぐ「負けられない」と意気込みを語ると、なぜか阪本がビンタを食らわす。会場に響き渡るその鋭い音を開始の合図のようにして大喜利がスタート。
永田の着眼点と鈴木のワードがうまく噛み合い、点数を重ねる永田&鈴木。さまざまな方向からの回答を量産するナイチンゲールダンス。BKBが思わず「うまいなぁ」とこぼすマユリカの大喜利。オダウエダは小田結希の「おもしろくない」で植田紫帆の回答が却下される場面も。
前説大喜利では、百戦錬磨の前説王であるBKBが「こんな暗い前説でこんなに盛り上げてるの見たことない」とこぼした永田&鈴木の前説が異彩を放っていた。
Dブロックの伏線回収
Dブロックには第6回のチャンピオンである、ぺるとも&警備員が登場。寺田寛明&トンツカタンお抹茶はかりんとうの車(横向き)による煽り運転で現れる。登場VTRではパンプキンポテトフライ谷拓哉がケビンスを「改造人間とモラハラのコンビ」と表現し、「仁木(恭平)さんが(山口)コンボイの足ガーン踏んでターボかけて2位」と予測する。
「なんでおもろいねんこれ」とBKBが言う回答を出すパンポテ。「アンミカが言ってた気がする言葉と言ってなかった気がする言葉」というお題の、「言ってた気がする言葉」の段階で笑いを生み出すお抹茶。ぺるとも&警備員は2ポイントを連発。ケビンスはコンボイのキャラクターが活きる回答で点を重ねる。
続く前説大喜利ではお抹茶が自身に起きたトラブルに絡めた回答を披露。ケビンスが本ネタと見紛うほどの密度の前説を行い、物議を醸すシーンも。最後までケビンスにつっかかったパンポテ谷が「コンボイ、それでええんか」と呼びかけると、仁木がコンボイを前に出しつつ、満を持してコンボイの足を踏み、それがスイッチのようにチョキピースが発動するという見事な伏線回収が行われた。
エバースとマユリカが勝ち上がる敗者復活戦の激闘
敗者復活戦は各コンビにそれぞれ異なるお題が与えられ、2分間に積み上げた点数を競うスタイル。ABブロックでは学祭帰りのヨネダ2000やハンマーブロス(春とヒコーキ)、カールじいさん(ひつじねいり)に混じり、翌日に『NHK新人お笑い大賞』を控え、空き時間はひたすらネタ合わせをしているというエバースが正当派の実力を発揮。CDブロックは全組がものすごいスピードでいい回答を連発する戦いとなったが、「鼻フックあるある」というお題に「鼻フックをやった回数ベスト50には入ってる」(中谷)と自負するマユリカが最多得点を獲得し勝ち上がった。
5組で戦う準決勝、大接戦の決勝
5組が対戦し1組が勝ち抜ける準決勝の第1対戦では、「世間知らずのお嬢様と説明が足りなすぎるじいや」のお題に対し、十九人が当てられるたびに物語が進む壮大な回答を披露。第2対戦ではぺるともが内容のみならず文字の書き方でも笑いを増幅させるなか、永田&鈴木が叫ぶお題で恥ずかしくて叫べないというハンデも発覚。
死闘を勝ち抜いた十九人vsぺるとも&警備員の、5時間の大会を締めくくるにふさわしい決勝の大激戦はぜひ配信で確かめていただきたい。
今回の『AUN』では、4組ずつのトーナメント&敗者復活戦という構成になったことにより、どのコンビも必ず2試合は観られることになった。そのおかげで、各コンビの色を存分に楽しむことができた。既存コンビのタッグ感。今回のために組んだコンビの、思いがけない相乗効果。中でも予選である『新呼吸』から勝ち抜いてきた2組の活躍が目立った。フランツは一答にかける熱量がずば抜けて高く、その長文回答には何度も笑わされた。ほかのコンビが回答している隙に2答目、3答目を準備している十九人のファイティングスピリッツと物語性の高い回答のギャップは魅力的だった。そして、それぞれに強みを持った15組を下した、ぺるとも&警備員の回答の量と質には目を見張った。大喜利自体のおもしろさと、登場時のボケ、回答時のコンビ同士の絡み。さまざまなおもしろさが詰まった第8回『AUN』は、何度も振り返りたくなるシーンの詰まった、大喜利賞レースと呼ぶにふさわしい大会だった。
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