『AUN〜コンビ大喜利王決定戦〜』絶対王者・真空ジェシカにサツマカワRPG&Yes!アキトが牙をむく

2022.1.27

文=安里和哲 撮影=向後真孝 編集=福田 駿


コンビ大喜利のイベント『AUN~コンビ大喜利王決定戦~』の第4回大会が、1月22日にニッショーホールにて開催された。

大喜利イベントにもかかわらず、芸人が大いに暴れ回ることで、注目されるこの大会。「大喜利で暴れ回る?」と首をかしげる向きもあるだろうが、『AUN』はそういう大会だ。芸人の入場からお題が出るまでは、フリースタイル。道具の持ち込みはもちろん、ステージを駆け回るもよし、寝転がるもよし、観客に銃口を向けるもよし。この自由演技で会場の空気を掌握したコンビやユニットが、その勢いのまま大喜利でも活躍するのが『AUN』だ。

今回の出演者は、常連組の真空ジェシカとカナメストーンに加え、初参加のサツマカワRPG&Yes!アキト、ガクヅケ、パンプキンポテトフライ、ぶるファー吉岡(紺野ぶるまとルシファー吉岡)、納言、ラパルフェの計8組。次世代の大喜利スターが誕生する大会となった。

アーカイブ動画の視聴チケットは1月29日(土)20時まで販売中です


ふたりで答えればもっとおもしろい!AUNの発明「コンビ大喜利」

大喜利における最大コンテンツ『IPPONグランプリ』(フジテレビ)は、息の詰まるような緊張感が魅力のひとつだが、お題に対して真剣に悩む芸人の表情は、ともすると彼らの「バカバカしさ」をそいでしまう。

その一方で、『AUN』はバカバカしい熱気に満ちている。大喜利以外の時間は、芸人を自由にさせることで、大喜利のシリアスな競技性を中和していく。ここが従来の大喜利と一線を画すポイントのひとつだろう。

自由に動き回るカナメストーン

そして最大の『AUN』の特徴は、大喜利にふたりひと組で回答するという点だ。その名のとおり、相方と共に「阿吽の呼吸」で大喜利に答えていく。

第1対戦カナメストーンvsサツマカワRPG&Yes!アキトより

たとえば「浪人生あるある『3浪あるある』と『26浪あるある』を教えてください」というお題では、「3浪あるある、カンニングをしている」「26浪あるある、カンニング竹山さんのオンラインサロンに入っている」(Yes!アキト&サツマカワRPGの回答)といったように、フリとオチが効いた回答が飛び出す。

もちろんふたりの回答の文脈が飛んでいても構わない。ふたりでやるからこそ、表現の幅が圧倒的に広がるのだ。

仲よしvs殺伐。ギャガーユニットが会場を完全掌握

トーナメント形式で行われる『AUN』の第一回戦、最初の注目カードは「カナメストーンvsサツマカワRPG&Yes!アキト」。

常連のカナメストーン。山口(誠)に首根っこを捕まれ、天井を見上げさせられた(東峰)零士は「なんで天井、鏡なの!?」と絶叫。会場であるニッショーホールの天井にある“謎鏡”への言及だ。ステージから客席中央に伸びる花道も闊歩し、いきなり会場全体を使ってボケていく。

会場を大きく使うカナメストーン

対する「サツマカワRPG&Yes!アキト」は、サツマカワが客席に拳銃を向けながら「どんぐりー!」と叫び入場。つづくアキトはタオルで鼻と口を覆い、「『AUN』はどんぐりを返せ」と書かれたプラカードを持ち、全共闘運動を思わせるスタイルで現れる。「怪奇!YesどんぐりRPG」で共に活動するどんぐりたけしが今回ブッキングされていないことを逆手に取り、どんぐりが『AUN』に拉致されたというストーリーをでっち上げたのだ。

どんぐりたけし奪還に燃えるサツマカワRPG&Yes!アキト

会場に遅れてきた観客にも容赦なく「なんで遅れた!」と銃口を向けるサツマカワと、その横でまったく表情を崩さないアキトのツーショットには痺れた。このふたり、やけに画になる。

サツマカワRPGが観客に銃を突きつけるひと幕

カナメストーンの和気あいあいとした仲よしコンビと、鬼気迫るサツマカワ&アキトの好対照な戦いで、今回の『AUN』は幕を開けた。

普段はショートコントやギャガーとして注目されるサツマカワ&アキトだが、大喜利もお手のもの。互いの回答をしりとりでつなぐ「しりとり大喜利」のお題「韓国のバラエティでありそうな罰ゲームしりとり」では、「ヨン様のパンチ」(アキト)「徴兵」(サツマカワ)と切れ味鋭い回答を見せた。

自分たちの回答に爆笑するカナメストーン

一方のカナメストーンは自分たちの回答に爆笑したり、相談する声が大きく相手側の回答ターンを邪魔してしまい、MCのバイク川崎バイク(BKB)にたしなめられる。仲のよさが仇となったか、結果は8対3でサツマカワ&アキトの圧勝に終わった。


『M-1』ファイナリストとして帰還した真空ジェシカの貫禄

1回戦、もうひとつの注目カードが「真空ジェシカvsラパルフェ」だ。

初回から3連覇中の絶対王者・真空ジェシカは、今回もニッチェ江上イジリで登場。過去大会では、川北(茂澄)だけが逆ニッチェ(髪の部分が顔で、顔の部分が髪)や、インフィニッチェ(阿修羅像のようなニッチェ江上)に扮したが、今回はガクもニッチェに取り込まれてしまった。江上の写真を中央に挟み、上裸・裸足で並ぶ真空のふたりは、江上のチリチリツインテールの両側に擬態。

真空ジェシカはこの形態を「2ニッチェ」と言っていた

大喜利時には被り物を取ったふたりだが、上半身は裸のまま。結局この日の真空ジェシカは、エンディングまで上半身を晒しつづけた。ふとした瞬間に「なんでこのふたりは上裸で大喜利してるんだっけ」という脳内ツッコミが行われるたび、真空ジェシカの回答の威力が増幅するのを感じた。

真空ジェシカと戦うのは、都留(拓也)の“阿部寛モノマネ”で脚光を浴びたラパルフェ。2021年の『M-1』予選でもそのキャラを生かした漫才で、『M-1』運営に楯突いた。その暴れん坊ぶりを『AUN』でも発揮するかと思いきや、なぜか都留はヒャダインで登場。舞台袖に戻り阿部寛で再登場するも、大喜利が始まると早々にモノマネを止めて、ラパルフェ都留として回答をするのだった。

人のよさが伝わるヒャダインの笑顔
ラパルフェの見事な回答に川北も拍手

序盤は劣勢に立たされたラパルフェだったが、ショートコント大喜利「ばったり芸能人大喜利」で覚醒する。「エレベーターでたまたま隣に左右別の靴を履いてきてしまった加山雄三とばったり」というお題。ここでは「雄三さんすげぇ! 左右別の靴履いてんだけど!」と、はしゃぐ尾身(智志)に、都留が「バカ! それどころじゃねぇ、死んでんだよ!」とツッコみ、爆笑をかっさらう。これには対戦相手の川北も拍手を送っていた。

しかし結果は7対6で真空ジェシカの勝利。「ばったり加山雄三」で『M-1』のエレベーター演出を再現した真空ジェシカ。『M-1』ファイナリストだからできる回答に『AUN』王者の貫禄を見た。

コンビ大喜利大会で、トリオユニットが優勝を喜ぶ大団円!

そして決勝のカードは下馬評通り「サツマカワRPG&Yes!アキトvs真空ジェシカ」に。ラストはシンプルな大喜利対決「2on2」。ここではコンビそれぞれが独立して答えていく。いかにコンビでテンポよく回答していくかが勝敗の鍵を握る。

ここでは回答のおもしろさだけでなく、ゲームでの立ち回りにも、真空ジェシカのうまさが垣間見えた。お題が出た瞬間、お題とは無関係にボケることで、相手チームのタイミングをズラす川北。相手の緊張がふっと緩んだのを見逃さず、BKBのスタートの合図と共に、挙手して先制ポイントをゲット。試合巧者・真空ジェシカを相手に、手を挙げるもなかなかBKBに当ててもらえないサツマカワは、少し苛立っているようにも見える。しかし、絶え間なく回答を繰り出し食らいつく。

「ありスナさん、俺がとう」と真空ジェシカ川北

「店員も客もみんな動物の居酒屋で起こりそうなことは?」というお題で見せた、サツマカワの「『豚キムチあがったよ』『うわああああああ!』」、アキトの「店内のテレビから『ODD TAXI』が流れてる」、川北の「い~や! バイソンの量!」(©東京ホテイソン)、ガクの「初めて小動物料金を作った店がSNSでバズる」を筆頭に、両チーム4人共にハイレベルな回答を乱打する展開となった。

乱打戦は最高潮に

3つのお題で壮絶な大喜利の打ち合いを繰り広げ、一進一退の攻防の末、勝ったのはなんとサツマカワRPG&Yes!アキト。王者・真空ジェシカの牙城を、ついに破った。

今大会の物語を作ったどんぐりたけしが会場の主役になった瞬間

BKBに「優勝商品を渡したいんで……」と言われると、緑色のジャケットを手にしたアキトが「そんなのはどうでもいい、どんぐりを返せよ!」と言い放つ。「どんぐりー!」と絶叫するふたり。すると、どんぐりたけしが袖から走って登場するではないか。花道に立ったどんぐりが、優勝賞品を記載したパネルを掲げると、会場中が大きな拍手に包まれた。

コンビ大喜利の大会の舞台で、トリオとして優勝を誇った怪奇!YesどんぐりRPG。彼らは真空ジェシカから王座を奪っただけでなく、ふたりひと組というルールをも逸脱して、『AUN』を怪奇!のドラマに書き換えてしまった。大喜利力の高さはもちろんのこと、大会を自分たちのものにする演出力に圧倒されるばかりだ。

「ママタルトのジャンプ」で優勝の喜びを表現するふたり

サツマカワ&アキトだけでなく、ガクヅケ、パンプキンポテトフライ、ぶるファー吉岡、納言と、初出場組がそれぞれ健闘した今大会。『AUN』に吹き荒れ始めたニューカマーたちの息吹が、次回さらなる嵐を巻き起こすことだろう。新しい笑いが知りたければ、今のうちに『AUN』を観ればいい。『AUN』の先に、お笑いの未来がある。

第4回『AUN~コンビ大喜利王決定戦~』アーカイブ配信

コンビ大喜利王決定戦AUN2
コンビ大喜利王決定戦AUN

『コンビ大喜利王決定戦AUN』アーカイブ配信
1月22日(土)にニッショーホールにて行われた『AUN』の様子をアーカイブ配信でお届け!
■料金:配信 ¥2,500(税込・枚数制限なし)
■チケット:ZAIKOにて販売中
※チケット購入は1月29日(土)20:00まで。配信は同日23:59まで

■制作・企画:WLUCK 
■主催:クイック・ジャパン/WLUCK
■お問い合わせ:WLUCK([email protected]m)

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安里和哲

(あさと・かずあき)ライター。1990年、沖縄県生まれ。ブログ『ひとつ恋でもしてみようか』(https://massarassa.hatenablog.com/)に日記や感想文を書く。趣味範囲は、映画、音楽、寄席演芸、お笑い、ラジオなど。執筆経験『クイック・ジャパン』『週刊SPA!』『Maybe!』..

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