お笑い芸人・かが屋の加賀翔と放送作家の白武ときおが“エロチシズム”にまつわる自由律俳句を詠み合う企画「エロ自由律俳句」。今回のゲストは、バキバキ童貞こと春とヒコーキ・ぐんぴぃ。これまでの出演者とはひと味違う、ネットの文脈から引き出されるエロスにホストのふたりが翻弄される。
加賀 翔
(かが・しょう)1993年生まれ、岡山県出身。賀屋壮也と2015年に「かが屋」を結成。『かが屋の鶴の間』(RCCラジオ)レギュラー出演中。QJWebでは「カメラ部」企画で自身が撮り下ろした写真も公開中。
白武ときお
(しらたけ・ときお)1990年生まれ、京都府出身。放送作家・YouTube作家。『みんなのかが屋』『しもふりチューブ』『ざっくりYouTube』(YouTube)、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ)、『かが屋の鶴の間』(RCCラジオ)などを担当。【ツイッター】@TOKIOCOM 【メール】[email protected]
ぐんぴぃ
(ぐんぴぃ)1990年生まれ、福岡県出身。春とヒコーキのボケ担当。2019年に『ABEMA NEWS』で放送された街頭インタビューがSNS上で拡散され、フリー素材化。巧みなトーク力を武器にマルチな活動を見せる。バキバキ童貞。【ツイッター】@Mugen3solider
おもしろ過ぎたネットの住人
ぐんぴぃさんのラジオやYouTubeを観ていると、僕とは情報のソース元が全然違うなと感じるんです。
僕もそれめっちゃ思います。高校時代にぐんぴぃさんと出会ってたらまた違う人生になってましたよね。
2ちゃんの情報に毒された加賀さんはかが屋のコントが書けるんでしょうか(笑)。
僕や僕のまわりの人とも会話の出どころがまったく違うのでその理由にとても興味があります。
ネットの人間だからですかね? テレビとかのメインストリームで無視されてきた文化を僕だけがまだ追っているのかもしれません。ついには自分がネットのおもちゃになってしまいました。
それまで見てきた人たちのジャンルに仲間入りしたわけですもんね。
恐ろしいもので(笑)。
サービス精神でおもしろいことを言っちゃったばっかりに。
でも、ネットミーム側でここまでおもしろい人っていうのが珍しいじゃないですか。
確かに、こんなにおもしろい人いませんよね。
まあまあまあ(笑)。
ネットのおもちゃでありながら自分からエンタメを提供できる初めての人間。革命的な存在ですね。
白武さんにそう言ってもらえたらうれしゅうございます。
それでは後半も始めていきましょう。
加賀の5句
【加賀の句①】
泊まる日が増えて枯れてた
なし崩し的に相手の家に泊まる日が増えていった女性、ですね。久々に服を取りに帰ると、自宅の観葉植物が枯れていた。
は〜なるほど。
自分たちの関係はうまく進んでいるんだけど、その間に家のガジュマルはちょっとずつしおれていたという。
等価交換なんですね。
そうかもしれません。植物は枯れましたが……。
恋の萌芽はあったというか。
なるほど等価交換か……なんでしょう、皆さんはエッチなことに対してうしろめたい気持ちがあるんですか?
どうなんでしょう。
うしろめたさがあるんでしょう?
FBIのプロファイリングみたいなことしてます? 「……ということは人を殺したことがあるんでしょう?」みたいな。
「いや、ただ気持ちいいだけですよ」って言うやつがいたら、そいつが一番怖いですね。
ねえ、どうなんですか?
でもうしろめたさ……どこかに背徳感みたいなものはあるのかもしれませんね。
【加賀の句②】
氷を背中に置いてみる
背中じゃなくてお尻でもいいかなと思ったんですけど。
お尻?
置く場所ということですか?
はい、うつ伏せに寝転がってる背中に氷を置くと、ひやっとなるじゃないですか。そのときに氷はどっちに飛んでいくんだろうっていう。
……どっちに飛んでいくかなんですね。
……お尻?
右に回転するか、左に回転するか。氷の行方を見るという戯れです。
──加賀さん、ちょっと怖いかもしれないです。
SMってろうそくのイメージが強いと思うんですけど、それが炎属性のSだとしたら氷属性のSはこういうことをするのかなって思ったんです。闇属性だったらたぶん目隠しとかしますし。
前回の「シーツにピノの転がった跡」じゃないですけど、加賀さんの句は温度がリアルに感じられて素敵だと思います。
エロ自由律俳句において温度や湿度は重要視していきたいです。
冷たいかどうか、みたいな見えないものを表現するのがかが屋のコントっぽいなと思いました。
ありがとうございます。でも編集のフクダくんは小っちゃい声で「怖っ」って(笑)。
怖いですよ。
そりゃ怖いです。
怖いですか?
超人を目の前に、怖過ぎて怖いって言えてないだけですよ。右に行くか、左に行くかなんて思いもしません。
せめて女性の反応を見るぐらいの話かなと思ったら、氷の行方に思いを巡らせるなんて。
エロディーラーですね。
エロいパーティーを開きそう。
そんな欲望はないです。やばいな、ちょっとどうしよう。次のは大丈夫だと思います。
【加賀の句③】
背中に回した腕で鼻かく
抱き締め合っている状態ですよね。お互いに行為に余裕が出てきて、こういうことができ始めちゃっている。余裕って関係の深さとニュアンスが近いと思うんです。
「でき始めちゃう」っていいっすね。
ありがとうございます。
ぐんぴぃさんは毎回すごくナイスなリアクションをしてくれますね。
助かりますよね。
これは想像しやすかったですか?
はい、さっきのに比べたら全然。
さっきのはちょっと……遠過ぎましたね。
そうですね(笑)。これはコミカルさもあって感情移入できました。
【加賀の句④】
ストローが逃げて追う舌
飲み物を飲んでるときに、ストローがカンって弾かれて口から離れちゃう。ストローを追いかけるときのあの何も考えてない顔といいますか。
ほうほう。
たぶんこうなるときって片手しか使ってないんですよ。ちゃんとグラスを持って、逆の手でストロー持って口に持っていく。最初からそうすればいいんですけどちょっと横着したばっかりにこうなってしまった。横着をするということの野生味にグッとくるんですかね。
日常でこんなエチー(エッチ)を見つけられるんすね。すげえなやっぱ。
ありがとうございます。ストローというのがちょっと直接的なのでどうしようかなと思ったんですけど。
普段からの観察力ですね。逆に自分がやってたら、蛙化現象というか嫌われる要因にもなり得ますよね。
次の句は実際に見た「こんなことあるの!」っていう光景なんですけど。
【加賀の句⑤】
酔ってないふたりだけで脱出
近所のコンビニに6人組の男女グループがいたんですよ。全員スーツを着てて歓迎会なのかそういうのがひと段落して集まってる同期っぽい人たち。そのうち4人はベロベロで「二次会しようよ! 何買う?」って騒いでて、あとのふたりはそんなに酔ってなくて「僕は大丈夫! 私も大丈夫かな」みたいな。酔っ払ってる4人がワーってコンビニに入ってったんですけど、その瞬間酔っ払ってないふたりが目配せしてその場から逃げてったんすよ。
おお!
コンビニから小走りで僕の家の前を通り過ぎていった。僕の家がそのふたりと4人組のちょうど中間地点にあったので、僕は応援するように「行って! 行って!」っていう気持ちで。4人組は全然気づかずにそのまま騒いでたんですけどね。最終的にふたりはそのままマンションに消えてって、こんな青春あるんだ!って思ったんです。
おお……。
そのときちょうど雨が上がって、アスファルトがギラギラと街灯を照り返してて、僕はその背中をずっと見てたんです。ふたりにとってあの瞬間は一生の思い出になったんじゃないかな。
いいですね〜。
こういうときに抜け出せる勇気を出せるかどうかって大事ですよね。あとから「あのときどうしたんだよ!」って言われるかも、と考えてしまう。
一瞬でも我を忘れられる人たちって強いですよね。
ふたりが酔ってないっていうのもいいですね、お酒の力を利用しないでこういうことができてしまう感じ。
脱出された側はめっちゃ嫌ですけどね、悔しかったよなあ。
テレビ局のスポーツ部かなんかの打ち上げで、2階のパセラから酔っ払って飛び降りた人いましたよね。
ありましたね。
それも脱出ですよね。足骨折してましたけど。
あれはちょっと違うと思います(笑)。『ダイ・ハード』みたいな脱出だったんで。
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