『タモリ倶楽部』らしさが貫かれたレギュラー最後の「空耳アワー」(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。

『タモリ倶楽部』

星野源、松たか子らを迎えて少なくともレギュラー放送最後の「空耳アワー」。名作選ではなくほぼオール新作というのがこの番組らしい。星野はスタッフから「とにかく新作なんですけど自信がないです。期待しないでください」と口酸っぱく言われたというが「3才 何才? 1才」「霊長類」「閉園待ってんだ」などいい作品が続出。「言えない言えない言えない 言える」にはジャンパーも飛び出す。松が「私の好きな空耳俳優の方たちが……」とうれしくて涙ぐむように空耳VTR常連俳優たちも多数出演。

星野はVTRを観て「スタッフさんの隠れた努力」を讃えていたが、特別企画として2度3度VTRを撮影したもののボツになってしまった作品のVTRの変遷を観ると、同じ空耳でも映像の力で相当変わるのだと改めて思い知らされる。

最後に松と星野が過去4000本の中からの「ベスト空耳」を発表。松が選んだのはマイケル・ジャクソンの「パン・茶・宿直」。これに星野が「MVのワンカットものの先駆け」と笑う。その星野はプリンスの「農協牛乳」を選出。マイケルとプリンス、奇しくも永遠のライバルが並ぶ。タモリ「知る由もないだろうね(笑)」。

安齋肇のベスト空耳は自身もVTR出演したスティングの「間に合わないや~」。安齋「今日もギリギリ間に合いました(笑)」。

どこまでもいつもどおり。「空耳アワー」が今回で「最後」ということをひと言も言わず、次週最終回の予告でも「最終回」の表示は一切なく「1939回目もゆるーくやっていきます」というテロップ。最後だけを特別扱いしない『タモリ倶楽部』らしさが貫かれていてカッコよかった。

『劇団90001』

劇団ひとりとダウ90000によるNHKのユニットコント番組。3本すべて蓮見が脚本を執筆。ひとり「好きだねえ(笑)」。

そんな蓮見のコントについて「普通はこんだけいたらキャラクターショーにしたくなる。変な人にしないからスゴい」と評価するひとり。それに対して、それがまさに今の自分たちの「課題」だと蓮見は言う。賞レースでは時間が短いためキャラクターから入ったほうが強いので、主人公がいるコントが少なかったが、今年から書き方を変え始めたと。それを聞いて「素晴らしいね」とうれしそうに言うひとり。「『僕たちそういうの嫌なんです。そういうお笑いは嫌なんで』って言われたら俺はたぶん嫌いになってた(笑)」。

最後に蓮見が言った「コントのスカパラみたいになりたくて。メインボーカルを毎回呼ぶじゃないですか」という言葉に最も正しいダウ90000の目指す道がはっきり示されている気がした。

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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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