Netflixで配信中の『トークサバイバー!〜トークが面白いと生き残れるドラマ〜』。全話観終わってしばらく経つが、いまだにこの番組のことを考えている自分がいた。テレビプロデューサー佐久間宣行と千鳥、この3人が手を組んだ時点でただのバラエティではないと思っていたが結果、本当に意味がわからなかった。
息もつかせぬ極上サスペンスドラマの合間に、突然ブチ込まれるトークと大喜利、「本当にこれが全世界で配信されてるんですか?」と心配になる話を次々と披露する出演者。にもかかわらず、最後まで観終わったときには腹が千切れるほどの笑いと謎の感動すら覚えた。私は何を観ていたのだろうか、いったい『トークサバイバー!』とはなんだったのか。
どの番組よりも「シビア」な世界
再生ボタンを押すと、いつものテンションの大悟とノブが出てきたのでホッとしたのも束の間、目が焼かれるほど美しい映像、映画かと思うほどのエキストラの多さ、『名探偵コナン』並みの大爆破、突然現れる間宮祥太朗。およそこれから爆笑トークが始まるとは思えないほど手が込んでおり、その「金のかかり具合」に腰を抜かしそうになった。これが世界のNetflixか。見届け人ノブのツッコミがなければ、およそこれがバラエティだとは信じられなかった。
そんな張り詰めたピアノ線のように緊張感漂うドラマパートを、いい意味で一瞬で「無」に帰す大悟をはじめとした芸人たち。ブレザーの制服に身を包んだ彼らの姿はNetflixではなく完全にテレビ東京。いや、テレビ東京どころかどう見ても高校生に見えない大人が高校生役を演じているという異常さは学園モノFANZA作品のそれだった。
しかし、トークパートの中身は真剣そのもの。そして俳優たちから容赦なく出されるムチャ振りに次ぐムチャ振り。「学生役」「刑事役」のていがあるからこそ全員の立場がフラットなのがとても新鮮で、100%その人のトークを味わうことができるのだが、それゆえにどの番組よりも「シビア」な世界が広がっていた。
トークに失敗し「脱落」と判断された人間は、ベテランだろうが若手だろうが容赦なく始末されていく。一日中のロケを期待していた出演者がたった数時間で帰ることになったときの絶望的な表情が忘れられない。出演者のひとりでもあるヒコロヒーの「私が学生時代にこれ見てたらお笑い目指さんとこうと思ってたか、絶対お笑いやりたいと思ってたかの2択です」というツイッターのつぶやきからもその過酷さが伝わってくる。
ドラマパート→トークパート→ドラマパート→トークパート……この繰り返しによって、ほかの番組にない緩急が生まれていた。175キロのストレートのあとに2キロのチェンジアップを放り込まれているかのような展開に脳が破裂しそうになった。しかし、回を重ねるごとにおもしろさが増していき、共にしている芸人たちにどこか一体感のようなものを感じた。
どう転ぶかわからないこの番組を、何がなんでも成功させてやろうという気概、誰かを蹴落とすのではなくお互い高め合いながらよりおもしろい話を引き出していく、敵味方を超えた「チーム感」がそこにはあった。そして、そんな状況の中「覚醒」ともいえるほどの爆発力を見せた芸人がいた。5人紹介したい(ネタバレ注意)。
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