VTuberのご意見番・たまごまごの連載第5回のテーマは「配信時間」。今でこそ四六時中誰かしらが配信している状況だが、ほんの3、4年前を振り返ると、VTuberの存在は珍しく、配信時間もそのスタイルもだいたい似たようなものだった。現在のように多種多様なVTuber表現が創成されるまでには、どんな進化の過程があったのだろう。「配信時間」を切り口にVTuber文化の歴史を考察。
目次
動画投稿が多かった黎明期
「VTuberの配信見てみたいんだけど、何時くらいにやってるの?」と聞かれた場合の模範解答は「主に18時から0時」だと思う。数だけでいえば、テレビのゴールデンタイムとほぼ大差ない。
しかし、正確に答えるとしたらこうなる。「1日中すべての時間」。どの時間にもVTuberはいる。そして時間帯が分かれていることには、ちゃんと意味がある。
2017~2018年初頭のVTuber黎明期、まだそんなにVTuberが存在していなかったころ、投稿はほぼみんな19時前後に行われていた。この時期そもそも配信メインだったのはときのそらくらいで、キズナアイ、ミライアカリ、電脳少女シロなどみんな動画投稿をする活動形態だった。個人のVTuberも生まれつつあったが、やはり動画での投稿が多かった時期だ。
YouTuberの文化では動画は基本的に短めなため、一定の時間に定期的にアップされないと見つけてもらいづらい。このころは「プレミア投稿(投稿された動画をリアルタイムでみんなで見て、コメントしたりスーパーチャットを投げられる仕組み)」もなかったため、なおさら定時投稿は必須、ずれたら死活問題、という状況だった。
当時のVTuberファンは飢えていた。おもしろい文化が始まったからもっと観たい、でも供給が圧倒的に少ない。19時くらいに投稿される動画を楽しみに、1日を過ごしていた。
にじさんじと配信文化の勃興
2018年2月、にじさんじ1期生がデビューし、「バーチャルライバー」という考え方が生まれてから、VTuberの活動スタイルは一変した。配信をメインに行う、という名目で誕生したので、1回の活動が主に1時間以上になった。
2Dで1時間以上、身体を動かさずしゃべっている状態は見慣れないものだったが、受け入れられるのも非常に早かった。動画文化は「バーチャルなYouTuber」の文脈に沿っていたとしたら、配信文化は「ニコニコ生放送」「ツイキャス」に近く、ノリを覚えたらすぐに楽しめただろう。特にニコ生との親和性は高く、あっという間にニコニコ動画側がVTuberを大型イベントに呼び、成功を収めるほどになる。ファン層の幅もこのあたりで一気に広がった。
こうなると、にじさんじ以外の個人配信もあいまって、ゴールデンタイムの18時から0時は誰かしらやってはいるものの、どこかでぶつかって譲り合うことも出てくる。トークやゲーム実況メインで活動する人たちの技術力が一気に上がり、時間の重なり合いがどんどん起き始めた時期だ。
気にしなければいいといえばそこまでだが、むしろ「時間帯をずらす」ことは新しい個性とウリにもつながる。時間帯の分散が始まった。
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