2021年6月に『アメトーーク!』(テレビ朝日)で「大学お笑いサークル芸人」が特集され、9月には現役の学生芸人にスポットライトを当てた『大学お笑いMONSTERS』(テレビ東京)が放送されるなど、お笑いサークル出身者や近しい関係者だけでなく、徐々にお笑いファン全体にも知られるようなってきた「大学お笑い」。
認知度が高まる一方、今の大学お笑いのライブシーンの情報は少ない。プロのライブと違い、名の知れた出演者、宣伝力のあるメディアで紹介されることがほとんどない大学お笑いのライブは正直足を運びづらいが、甲子園にプロ野球とはまた違った魅力があるように、現役の学生芸人が出ている大学お笑いのライブにはプロのライブとはまた違った魅力が詰まっている。
そこで今回は、「大学お笑いってちょっと気になるけど、詳しくないしなぁ……」というお笑いファンに向けて、おすすめの大学お笑いのライブを紹介したい。
「大学お笑いサークル芸人」で“スーパースター”が集結。意外な関係性や繋がりに、胸が躍るエピソード満載
目次
まずは「あなたの好きなお笑いライブのタイプ」を診断
友達におすすめの飲食店を聞かれたとき、まずその子が好きな食べ物のジャンルを聞くだろう。同様に、この文章を読んでくれているあなたに大学お笑いライブを紹介する前にまず、「どんなお笑いライブが好きですか?」と問いたい。
ひと口にお笑いファンといっても、ライブはネタだけ観たい人もいれば、コーナーライブのわちゃわちゃ感が好きな人、ストイックな大喜利が好きな人など、趣味嗜好はさまざまだと思う。お笑いライブ検索サイトで調べると、東京では平日でも一日に20公演以上のお笑いライブが開催されており、細かく分けていったら那由他通りくらいのタイプがあるかもしれないが、今回はフローチャートを作成したので、まずはぜひ自身の好みに近いタイプを見つけてもらいたい。
A:王道タイプ
診断結果が「A:王道タイプ」になったあなたは、テレビや雑誌といったメディアにも露出があり、思わず出待ちをしたくなってしまうような華がある芸人が好きなのではないだろうか。
「A:王道タイプ」のライブはお笑いライブの入口的な存在でもあり、テレビやYouTubeをきっかけにお笑いにハマった人が最初に行きやすいものが多い。具体例を挙げると、ヨシモト∞ホールで開催されているネタ+コーナーの週末拡大版ライブ『ワラムゲ!SP』や、西新宿ナルゲキ(K-PRO運営)で開催されているネタ+トークの休日ライブ『K-PROプレミアムLIVE』など。4タイプの中で特に誰にでもおすすめできるライブがたくさんある。
私自身もお笑いライブに行き始めたころは、ヨシモト∞ホールでかつて開催されていた『MUGE∞NETA』という王道タイプのライブによく行っていた。誰にも見せることのない自分のためのライブレポートを見返すと、2012年10月7日に開催された『MUGE∞NETA』のメモには、「(パンサーやシソンヌを生で観て)メンバーが豪華だからか、立ち見が出るほど人が多くてびっくり(゚д゚)!またライブ行きたーい( *´艸`)」という、お笑い好きJKの感想が書いてあった。そんなJKにもおすすめできるのが「A:王道タイプ」のライブである。
B:ネタ特化タイプ
診断結果が「B:ネタ特化タイプ」になったあなたは、芸人自体というよりも、ネタを観るのが好きなのではないだろうか。
特定の芸人の活動を応援するというよりも、おもしろいネタが観られると評判のライブや、『M-1グランプリ』や『キングオブコント』といった賞レースの予選に足を運ぶことが多いイメージがある。出演している芸人の層も、明るくてポップな芸人だけでなく、いぶし銀芸人や、芸歴をある程度重ねた実力派も多いかもしれない。
個人的にはK-PROのバトルライブ『若武者』が好きなのだが、華があってネタも評価されている芸人が多いため、客層が幅広い印象がある。『若武者』は、「ネタ特化タイプ」と「王道タイプ」の中間的ともいえるライブだ。私は高校時代から通っており、メンバーの移り変わりはあるものの、いつ行っても客席はいっぱいで終始盛り上がっている。
2014年3月23日に行った『若武者』の写真を見返したのだが、『キングオブコント』決勝進出者のやさしいズや、しゅんしゅんクリニックPが以前組んでいたコンビ・フレミング、さらにはゲストに三四郎も出演していた。「ネタ特化タイプ」のライブに行くと、次の年あたりには賞レースで「あ!去年ライブでやってたネタだ〜」みたいなかたちで再び観ることも珍しくないので、お笑いに少し詳しい友達を連れて行くならこのタイプのライブがおすすめだ。
C:企画特化タイプ
診断結果が「C:企画特化タイプ」になったあなたは、お笑いライブに行く回数も重ねてきて、企画性や座組、ライブ自体のネームバリューによって行くライブを決めることも増えてきた人なのではないだろうか。芸人個人やネタというよりも、お笑いライブそのものが好きな人がこのタイプに当てはまることが多いと思う。
たとえば、お笑い芸人がお笑いクイズに答える『仲嶺のお笑いクイズランド』や、いかに見当外れなたとえを出すことができるか競う『全然ちゃう例え王決定戦』のようなライブ。さらに、「このメンバーはこのライブでしか観られない」といったブッキングに力を入れたライブも、広義で捉えれば企画のひとつといえるだろう。
「企画特化タイプ」のライブの中でも、私は主に下北沢や新宿を中心にライブを開催している、ライブマンとザクセスというふたつのライブ制作団体が好きで、よく観に行っている。ザクセスが制作している『グレイモヤ』というライブは、東京のお笑いファンが今一番注目しているライブだと思う。ネタのみなので「ネタ特化タイプ」のライブでもあるのだが、注目すべきポイントはブッキングのセンス。プロの芸人のみならず、事務所に所属していないフリーの芸人や学生芸人など、そのときおもしろいと言われている旬の芸人を呼ぶスピードが尋常じゃない。私も何度か観に行っているのだが、“その瞬間”でしか観られないものが『グレイモヤ』には詰まっている。出演者として、にゃんこスター、Mr.ドーナツ伝説 咳暁夫、ダウ90000が一堂に会することはそうそうあることじゃないと思う。
D:アングラタイプ
診断結果が「D:アングラタイプ」になったあなたは、おそらく相当数のお笑いを観てきたか、生まれ持ったセンスが抜きん出ているかのどちらかだと思う。
「アングラタイプ」のライブに出演している芸人の例を挙げるなら、虹の黄昏、ムラムラタムラ、モダンタイムス、あぁ〜しらき、魔族など。ライブ会場でいえば、SMA(ソニー・ミュージックアーティスツ)が持つ劇場・Beach V(びーちぶ)や、中野や阿佐ヶ谷にある小劇場など。ぺるともや冬の鬼、警備員といった大喜利職人たちが出演する大喜利ライブに足を運ぶ人もいるかもしれない。逆にまだ経験していないのであれば、これらをおすすめしたい。
私は大学進学が決まった高校3年生の春、頻繁に大喜利ライブに通っていた。中でも印象に残っているのが、2015年2月7日に開催されたK-PROの『転脳児杯予選』一日目。出演者一覧を見返すと、トンツカタン森本晋太郎、さすらいラビー中田和伸、サツマカワRPG、ガクヅケ船引亮佑、寺田寛明などの名前が並んでいた。今ならそのまま大喜利ライブを開催できるほどそうそうたるメンバーの中で、山本俊治というサラリーマンが無双していた。このとき、「世の中には、こんなに大喜利に強いサラリーマンが存在するのか」と衝撃を受けたのをよく覚えている。
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