「無冠の帝王」と呼ばれた大学時代。かもめんたる岩崎う大は、大学お笑いで何を得たのか?

岩崎う大

文=てれびのスキマ 撮影=長野竜成 編集=鈴木 梢


昨今、「大学お笑いサークル/学生芸人」出身芸人の活躍が目覚ましい。その理由はなんなのか、大学お笑いサークルとはどんなものなのかを知りたいと思い、QJWebでは2020年8月、『なぜ「学生芸人」「お笑いサークル」出身者は売れるのか?|“大学お笑い”の魅力を聞く』という記事を掲載した。

その記事に対し、かもめんたる岩崎う大が興味深い反応を示した。

「LUDO」とは、多数のプロ芸人を輩出している大学お笑いサークル「早稲田大学お笑い工房LUDO」のこと(参考:『早稲田大学お笑い工房LUDO」は、なぜ多くの人気芸人を輩出できるのか?』)。う大は同大学のお笑いサークル「WAGE」からプロデビューしたことでも知られる。

『アメトーーク!』(テレビ朝日)でも「大学お笑いサークル芸人」が企画され、より注目を浴びている大学お笑いサークルの世界。「WAGE」はそんないわゆるお笑いサークルの先駆的サークルのひとつだ。創世期のお笑いサークルとはどんなものだったのか、また「LUDOは、僕が作ったと言っても過言ではない」というツイートの真意とは何か、岩崎う大本人に話を聞いた。


「これくらいだったら俺にもできそうだな」と飛び込んだお笑いの世界

早稲田大学に岩崎う大が入学した当時、「WAGE」のほかに、日本で最古の歴史を持つといわれている「落語研究会」や、山田邦子やオアシズらを輩出したことで知られる老舗お笑いサークル「寄席演芸研究会」があった。そもそもう大は、どのような経緯で大学お笑いサークルの世界に足を踏み入れ、「WAGE」に加入したのだろうか。

岩崎う大
岩崎う大(いわさき・うだい)1978年9月18日生まれ、東京都出身。お笑いコンビかもめんたるのメンバーとして槙尾ユウスケと共に活動しながら、劇団かもめんたるの原作・脚本・演出も手がける。かもめんたるとしては『キングオブコント2013』優勝、劇団かもめんたるとしては2020年と2021年に岸田國士戯曲賞候補に選ばれた

岩崎 中学3年の夏から高校時代にかけて、オーストラリアに住んでたんです。もともとダウンタウンさんとかお笑いが好きだったんで、今ならYouTubeとかでいくらでも観られるんでしょうけど、当時は日本のお笑いっていうのを遮断されてツラかった。

たまに日本食屋さんでお店の人が録ったビデオを借りて観たりしてたんですけど、ちょうどその頃、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ)で「お笑い甲子園」という企画をやってたんです。それを観てたら「これくらいだったら俺にもできそうだな、作ってみたい」みたいな気持ちになって、3歳下の弟と俺が台本みたいなのを書いて、ふたりでやって録音したりしてました。「つまんねえな、なんだこれ全然おもしろくねえな」なんて言いながら(笑)。

当時日本は、『ボキャブラ天国』(フジテレビ)ブームで、よりお笑い芸人への間口が広がってました。NSCが東京にもできて、入ろうと思ってたんですけど、親から、「そういう仕事はひと握りの人しかなれない。お前は今、大学受験をするのが嫌でそう言ってるだけ」と言われて。でも、「大学に入ってお笑いの道に行くなら別にいい」とすごい譲歩してくれたんです。

お笑いだけを考えたら、みんなに遅れを取るっていうのがイヤだったんですけど、まだ誰とも自分のお笑いの力を競ったことがないなとも思って。「本当に自分に才能がなかったらどうしよう」っていう不安もあったから、親に言われたとおり大学には行こうと。それで早稲田大学に入学しました。

岩崎う大

そのころ、田代まさしさんと千秋さんがやってた『ブレイクもの!』(フジテレビ)という番組で毎週、ゴングショーをやってたんです。おぎやはぎさんとかカラテカさんとかも出てたと思うんですけど、ちょうど入学式前日の放送の回に、ハイデハイデっていうコンビが出てたんです。そこにテロップで「コントグループWAGE(早稲田大学)」って所属が書いてあって、こんな人たちがいるんだって思ってたら、翌日の入学式の帰り道にサークルの勧誘をしていたのが、ハイデハイデのふたり。のちに僕と一緒にプロデビューして今は脚本家になった森ハヤシさんと、TBSに入社する井手(比左士)さんでした。「昨日観ました」「じゃあ、けっこうお笑い観てるんだ?」って言われて「はい、プロでやりたいなぁって思ってて」って答えたんです。そのときは気持ちが前のめりになってて、今思えばそんなこと初対面の人に言うのはどうかと思うんですけどね(笑)。

それで新歓ライブを観に行ったんです。芸人になりたいなんて言ってるくせに、一回もライブを観たことがなかったんですよ。行ってみたら、ライブって感じがあまりなくて。小っちゃい視聴覚ホールみたいなところを簡易的にライブ会場みたいにして、照明とかも照明研究部みたいなところから借りてきて、見よう見まねで組んでるような会場。それでも「わー、なんかワクワクするな、この雰囲気」みたいに思いました。いざ始まったら、学生芸人なので当然観たこともない人たちなんですよ。でもすごいおもしろくて。あー、これが生の舞台なんだと思って。絶対ここ入ろうと思って入ったんです。それが「WAGE」でした。

岩崎う大

当時、落語研究会と寄席演芸研究会もあったんですけど、落語とか興味なかったし、寄席研もなんかちょっと古めかしいイメージがあった。けどWAGEはわりとテレビに憧れたお笑い志望の人たちで作ってるみたいなところがあって。そのときはWAGEが一番おもしろかったと思う。森さんや井手さんのほかにも、ホリプロスカウトキャラバンのお笑い部門でいいところまで行ったコンビもいたり、優秀な人が多かったですね。

「無冠の帝王」と呼ばれ、自分が「大天才」ではないと気づいた大学時代


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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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