都築拓紀(四千頭身)「僕を認めてくれた母」に、自分を肯定する生き方を教わった
子供のころから、都築拓紀はゲームやアニメ、マンガが大好きだった。そんな都築少年に、母は「好きなことを仕事にしなさい」と言いつづけた。
悩み抜いた末に選んだのは、お笑い芸人の道。「絶対なんとかなると思ったんです、僕は自分で自分を肯定できるんで」。自信に満ちた表情でそう語る、芸人・都築拓紀のルーツを辿るインタビュー後編。
学校のひねくれ者がお笑いの道へ
──そもそも、どうしてお笑い芸人になろうと思ったんですか?
小学校6年生のときに、母親から「高校卒業するまでに、大学入学以外の道を決めてくれ」と言われて。「勉強好きじゃないんだったら、私たちはそれにお金を払っていられない」と。だから、やりたいこと見つけて独り立ちしてくれって。小学生ながらに……。
──かなり早いですね……。
そうなんですよ。そこから取り憑かれたかのように「自分は何がやりたいんだろう」って考えながら生きてきて。案の定、高校生まではしっかり迷走しましたね。
──その「やりたいこと」が見つかったのはいつごろだったんですか?
高校生のときは、けっこうひねくれたヤツだったんですよ。まわりの同級生とか先生にも反発して、ほんとにクソ人間でしたね(笑)。でも、2年のときの担任の先生が唯一、僕と真剣に向き合ってくれて。それで、もともとしゃべるのが好きだったんで「お笑いの道はどうだ?」と言ってくれたのがきっかけになりました。
──今の都築さんからはなかなか想像がつかないですね。
ほんとにクソでしたよ。学校でちょっとはしゃいでる連中とか、うぬぼれてる連中のことが全然好きじゃなくて。「たいしておもしろくもねえのに」って思ってました。
今、YouTubeのコメント欄で一番多い褒め言葉が「都築は優しい」っていうコメントなんですけど、それが高校時代の友達に見つかって「お前が優しいわけねえじゃん!」って言われましたから(笑)。
──芸人さんになって少しずつ変わっていったんですか?
いや、高校のときに「芸人になる」って決めてからですね。学校内にも僕のことをよく思ってない人が多かったし、敵も作りやすいタイプだったんです。でも、あるとき「お笑い芸人になるなら日本中の人を相手にしなきゃいけないんだな」と思って。うちの高校は1学年160人くらいで、だったらまずはここにいる160人、全員味方にできなくてどうする、って。
そうやってまわりの同級生と接してみたら、みんな意外とおもしろいヤツで。最初に毛嫌いしてたヤツらとも仲よくなって、そこから今も仲いいです。別に今も「人に優しいと思われたい」って意識してるわけじゃないですけど、まわりの人のことはすごい考えるようになりました。
「なんでネタやらなくちゃいけないんだよ」
──3人の中では一番、ほかの芸人さんとのコミュニケーションにも積極的な印象です。
人としゃべるのが好きだし、やっぱり好きなことを仕事にしたいから芸人になったんですよね。母親からも「お前は好きじゃないことは全然やれないし、ストレスでおかしくなっちゃうから、好きなことを見つけなさい」ってよく言われてたんです。じゃあ、俺はしゃべることだろうなと思って。
だから、「ネタをやりたい」とかは全然思ってなかったんですよ、最初は(笑)。M-1も、テレビをつけてたまたまやってたから観る、くらい。養成所に入ったときは「なんでネタとかやって段階踏まなきゃいけないんだよ」って思ってましたね。まだちょっとひねくれてたかも(笑)。
──では最初は、ネタをやるのもしんどかったんですか?
もうネタは一切作れなかったんで、一番最初の自己PRで目立っていた後藤くんに真っ先に声をかけました。「こいつネタ書けそうだな」と思って。たぶん、自分が目立ちたいとかはなかったんですよね。
──しゃべることは好きだけど、一番目立ちたいわけではなかったんですね。
自信家なんで、後藤くんが目立ってても別にいいやと思って。本当に、ムダに自信だけはあるんですよ。養成所に入ったときも「絶対どうにかなるだろうな」と思ってましたし。めちゃめちゃスベっても、自信を失ったことはなかったです。
──すごいですね……。もともとそういう性格だったということですか?
性格もあるんですけど、うーん、育てられ方ですね。母親からの影響がめちゃめちゃデカいんです。うちの母親、自分の子供に絶対の自信を持ってて。「うちの子なんだからすごいに決まってる」って聞かされつづけて育ったんで、自分で自分を肯定できるようになった。僕も、弟も妹も、みんな自信家です。妹は僕の2歳下で、弟は12歳下なんですけど、いまだにガチでケンカしますしね。
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