『あざとくて何が悪いの?』は臆病者たちの背中をそっと押してくれるバイブル

2020.12.2

文=かんそう 編集=鈴木 梢


特番として3回の放送を経て、この秋からレギュラー放送になった『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日)という番組がおもしろい。「あざとさ」というある意味で諸刃の剣でもある性質をここまで深く掘り下げた番組は初めてではないだろうか。

「あざとさ」を揶揄せず、全肯定する

さまざまな俳優が異性を落とすための「あざといテクニック」をショートドラマ形式で演じ、スタジオの南海キャンディーズの山里亮太、フリーアナウンサーの田中みな実、テレビ朝日アナウンサーの弘中綾香が、次々と披露されるテクニックをリアクション、解説していく番組だ。

まず、この3人がとても素晴らしい。「あざとさ」を知り尽くした田中みな実と弘中綾香がその言動を博士かの如く細かく分析し、「すべての男の希望」山里亮太は披露されるあざとテクに100%素直に反応し翻弄される。バランスがとても絶妙だ。

この『あざとくて何が悪いの?』が今までの番組と違う点、それは「あざとさの全肯定」。たとえば異性の気を引くために不思議キャラを装ったり、ボディタッチを多めにしたりと、今まで「あざとい」とされてきた言動は、ある意味「揶揄されるもの」だったと思う。

しかし『あざとくて何が悪いの?』では、そんなあざとさに対して、けっして意味なく馬鹿にしたり叩くようなことはない。時には「今度使う」「これは私もやってる」と全乗っかりし、そしてまたあるときには「これやる必要ある? だって~」ときちんと理由をつけて疑問を呈する。そして最終的には「あざとさ」を「身につけるべき武器」とでも言うように純粋なテクニック論として紹介している。

たとえば、10月17日放送回で青柳文子が演じた「サブカル不思議系女子」。

初対面同士の交流会で

「小籔千豊が私の愛する人」
「お肉検定の勉強してる」
「おいしいものを食べるとリズムに乗る」
「King Gnuの昔のライブハウス行ってた」

と、ちょっと変わっている自分を出し切って場を盛り上げる女子に対し、山里亮太やゲストのDJ松永が「もうちょっとサブカル好きです感が濃かったらめちゃくちゃ嫌だけど、あの子は絶妙なライン」「あのラインだったら好きでいてくれそう」「1回の食事で感動できるのはいい」と大絶賛。

それに対し、田中みな実と弘中綾香は「結局自分が注目を浴びたいタイプ」「変わった子認定されたいから人と違うことをしますっていう」「ああいう子に浮気されるのが一番ヤダ」と厳しく指摘しつつも、「(交流会のような)ああいう場に慣れてる男性は港区女子を相手にしてる人が多いから、ちょっと変わった子に『おもしろい、何この子』って引き込まれちゃうワケですよね」「私たちとは対極にいるけどライバル。合コンとかに絶対いてほしくない」と、素直に白旗を揚げ相手のすごさを認める。この気持ちよさ、潔さがほかの番組にはない魅力だと思った。

「あざとさ」は社会を強く生きていくための処世術

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