Netflix配信中の『アンという名の少女』は、原作『赤毛のアン』に現代的解釈を加えた作品として注目されている。NHKで先週放送された第4話「若さとは強情なもの」(Netflix版3話)では、ついにギルバートが登場する。ゲーム作家・米光一成は学園生活の語りの構造が気になった。
「行こう、汚れがうつっちゃう」
10月11日(日)夜11時から第5話。アンが不登校になって、ルビーの家に大騒動が巻き起こる回だ。
アンがどうして学校に行かなくなってしまったのかは、第4話で描かれた。
第4話で、あのギルバートが初登場する。
初めて学校に行くアン。
原作では、実にあっさりと受け入れられ、なかなか幸先のよい学園生活をスタートさせる。
「ここの学校、好きになりそうよ」(『赤毛のアン』第14章・松本侑子訳/文春文庫)とアンは、マリラに語る。
「マリラが想っているほど難しくなかったわ。ダイアナと並んですわったの。席の窓のすぐ近くで、≪輝く湖水≫が見わたせるのよ。学校って、楽しい女の子がたくさんいるのね。お昼休みは、愉快きわまる遊びの時間だったわ。一緒に遊ぶ女の子がたくさんいて、すごく嬉しいわ」と話し出すと止まらなくなり、
「ルビー・ギリスは林檎をくれたし、ソフィア・スローンは、『お家にうかがってもいいですか』って書いてある可愛いピンクのカードを貸してくれて、明日返すことになっているの。それから(後略)」とクラスメイトも親切だ。
原作ではアンのおしゃべりで間接的に記されていた学園生活初日が、ドラマでは映像となって直接的に描かれる。
原作同様、アンはマリラに「すごくうまくいったし楽しかった」とポジティブに報告する。
だが、本当は散々なものだった。たとえば、初対面の女子たちにひどいことを言われてしまう。
ジョージー「流行遅れの服を着せられてる。みなしごだから仕方ないわね。わたしなら死んでも着ない」
ティリー「最悪ね。わたしならとても耐えられない」
ルビー「本当にかわいそうだと思う」
アンとダイアナは、フィリップス先生と最年長の生徒プリシー・アンドリュースの密会現場をのぞき見てしまう。ランチの時間、アンからその話を聞いて、興奮する少女たち。
ルビー「本当に先生のに触ってたわけじゃないよね?」
アン「ペットのネズミに!?」
ティリー「ふたりは本当に子供を作ってたの?」
グリーン・ゲイブルズに来るまでのアンが、子だくさん家族の子守として過ごした悲惨な生活の中から編み出したらしい「男の人はネズミをポケットに隠していて、奥さんがそれに触ると子供ができる」理論を聞きながら、きゃははうふふとかやってるうちはよかったのだが、「前の家の酔っ払いのおじさんは……」とアンは自分の過去を話し始め、そのハードな内容に不快を感じた女子たちは、アンが「ご主人もベルトで叩くから死んでホッとした」と話し出したところで、立ち上がり、「行こう、汚れがうつっちゃう」と去って行く。
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