Netflix配信中の『アンという名の少女』は、原作『赤毛のアン』の世界を圧倒的な映像美で創出しながら、ジェンダーや民族問題などの現代的解釈を加えた刺激的な作品である。NHKで先週放送された第1話「運命は自分で決める(前編)」を中心に、『日本翻訳大賞』運営委員も務めるゲーム作家・米光一成が考察する。
製作総指揮は『ブレイキング・バッド』のプロデューサー
ドラマ『アンという名の少女』が素晴らしい。原作は、ルーシー・モード・モンゴメリの『赤毛のアン』シリーズ。
2020年9月13日、NHK(夜11時〜)で放送スタートし、「ええドラマや」「アンがピッタリ!」「アンを読んだときの気持ちがよみがえった」と大人気である。
カナダCBCとNetflixの共同制作で、Netflixではすでにシーズン3まで配信されている。
だが、打ち切りが発表。シーズン4制作の嘆願運動が起こり、100万の署名を集めている(『FINANCIAL POST』2019年10月8日)*1。
なぜ打ち切りなのか理由ははっきりしない。が、CBCの社長が「カナダ産業を阻害するNetflixとの協力をやめる」と発言しているのだ(『ET CANADA』2020年7月26日)*2。Netflixの影響力を植民地主義になぞらえ「文化帝国主義」と非難しており、これはまさに『アンという名の少女』がシーズン3で描いた問題とシンクロしている。なんということだろう。
製作総指揮は『ブレイキング・バッド』のプロデューサー・脚本家のモイラ・ウォリー=ベケット。めちゃくちゃ『赤毛のアン』のファンとマニアが集結して作ったでしょう!っていうぐらい「アン愛」が込められた作品である。
カンガルーを飼うほうがまだマシ
1880年ごろのプリンス・エドワード島。アヴォンリー村のグリーン・ゲイブルズに住むカスバート家の兄マシューと妹マリラは、孤児院から男の子を養子に迎えることを決める。
だが、駅にいたのは11歳の赤毛の少女。マシューは、放っておけずアンを馬車に乗せる。
アンは、猛烈におしゃべりをし、「私、しゃべり過ぎ?」とマシューに尋ね「構わんよ」と言われて喜ぶ。
一方、マリラは、友達のリンド夫人に孤児を引き取る話をする。「信じられない。カンガルーを飼うほうがまだマシだわ」とリンド夫人。「孤児を養子にしたら夜中に家に火をつけられた」「孤児が井戸に毒を入れた事件があった」とリンド夫人は偏見を煽るおしゃべりをする。
毒を入れたのは「女の子だけど」というリンド夫人に、マリラは「うちは女の子じゃない」と反論する。
だが、やってくるのは女の子。マリラは送り返すと言い張る。
翌日、マリラはアンの生い立ちを聞き、引き取ろうとするブルエット夫人がアンを労働力としてしか見てないことに気づいて、マリラは「引き取らないと決めたわけではないの。手違いを確認しにきただけで」と言い出すのだった。
「引き取ると言ったのは私の妄想かしら」とアンがマリラに聞くと、「確かに言ったわよ」と答え、ふたりはグリーン・ゲイブルズへ戻っていく。
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