平成の小学生男子に愛された「BAD BOY」。復活の立役者が考えるファッションのこれから
90年代後半〜00年代初頭にかけて、主に全国の小学生男子の間で流行したファッションブランド「BAD BOY(バッドボーイ)」。睨みつけるような目をモチーフとしたロゴに覚えのある20〜30代も多いのではないだろうか。
「古い」「ダサい」といったイメージのつきまとう“ひと昔前のブランド”を2020年代の世に蘇らせたのが、株式会社ク・ラッチの小塩明日加氏である。
前編では小塩氏にBAD BOY復活の裏側とブランドの歴史について聞いた。つづく後編では、BAD BOYが親しまれた90年代後半〜00年代初頭に子供時代を過ごした世代から見た少し上の世代のカルチャーへの憧憬、また今の時代のファッションについて思うことを掘り下げていく。
90年代への憧れ、20年代への期待
――BAD BOYと同時期に流行していた、僕(1989年生まれ)や小塩さん(1992年生まれ)の世代のコンテンツが続々とリバイバルされていますよね。セーラームーンのコスメが出たあたりから続々と。ドラゴンボール、デジモン、カードキャプターさくら、ハイパーヨーヨーも形を変えてまた出てきている。
小塩 ミニ四駆もそうですね。僕がBAD BOYを選んだのも、そういう背景からインスパイアされた部分は大いにあります。平成初期のカルチャーが続々とリバイバルされている中にBAD BOYがあったら……って考えたとき、ごく自然だったんですよね。デジモンがまた来てるんだからBAD BOYがあってもいいよねっていう。
単に懐かしい、ノスタルジーに浸るっていうのもあると思うんですが、子供のころに触れたカルチャーってこう、なんて言うか、めちゃくちゃ大事じゃないですか(笑)。
――どうにも自分という存在からきれいに切り離し得ないというか、自己形成の深いところに結びついている。
小塩 そうですね。ある意味、自分があの時代を生きたという存在証明になり得ると思うんです。
――なるほど……。今でこそこういった我々世代のリバイバルが増えていますが、同世代のカルチャー好きって、少し上の世代に憧れがちというか、80年代から90年代にかけてのカルチャーへの憧憬が強い印象があります。
小塩 めちゃくちゃわかります。少し上の世代のパワー、憧れるんですよね。ファッションについて言えば、特に顕著だと思います。裏原ブームとか。
スマホもSNSもない時代、情報を得るには雑誌を隅から隅まで読み込んで、お店に通い詰めるしかなかった。情報への飢餓感が違いますよね。逆に言えば、情報が簡単に手に入る世の中だと、どんどん自分から情報に食らいついていかなくなって、わかりやすいほうへ流れてしまうっていうのはあると思います。
自分の世代には、「裏原ブーム」みたいなトガった大きな流行がなかったのが悔しいんですよね。「あのころはお客さんよりも店員のほうが立場が上だった」みたいな話を聞くと、なぜか興奮したり(笑)。
――藤原ヒロシ、NIGOといったファッションアイコンと呼べるスターが活躍していたり。我々より下の世代、彼らの何がすごいのかよく知らなかったりするじゃないですか。
小塩 そうですね。僕もUNDERCOVERの高橋盾さんにめちゃくちゃ憧れてましたよ。あの当時、実際にブランドをやっていた方から話を聞くと、やっぱりファッションへの熱意がすごいんですよね。それと比較すると、今の若い世代は比較的クールな感じ。
でも、それはそうだよなとも思うんです。これだけいろんな情報が錯綜している世の中だから、興味を持ったひとつのことに突き進むよりも、いろんなことに視野が広がる時代だもんなと。
ここ数年の間にあったファッションのムーブメントってなると、強いて言うなら「ノームコア」になると思うんですけど、僕は地味過ぎてつまらないなと思ってた人間。で、また徐々に次のカウンターが来ている気配があります。
――ここ数年でノームコアのようなシンプルなスタイルが定着した感がありますが、より直近のデザインのトレンドに目を向けると、ファッション畑ではないですがヴェイパーウェイヴをはじめとした新たな潮流も生まれてきているように感じます。サイバーな意匠や、今期のBAD BOYにもあるようなライムグリーンをはじめとした蛍光色の色使いなど。反動なのか、派手めな印象です。
小塩 ノームコアへのカウンターとして、今どんどん派手なほうへ進んでいこうとするエネルギーみたいなものは感じますね。
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