芸人たちが劇場への出演もテレビ番組の収録も封じられた時期に、大きな注目を集めたコンビがいる。『M-1グランプリ2019』決勝にも進出したすゑひろがりずだ。自粛期間中に彼らのYouTubeチャンネルの人気が爆発。復活したよしもと各劇場からの配信公演でも、ふたりが出るものはずば抜けてチケットが売れているという。芸歴15年目、コンビになって9年。「とにかく人気がなかった」と繰り返す彼らの大逆転のカギは「大宮よしもと」「大宮セブン」にあった。
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収益を見て、ちょっと怖くなった
——おふたりがYouTubeチャンネル『すゑひろがりず局番』をはじめたのは約1年半前(2019年2月)ですよね。最初のきっかけは?
三島 誘っていただいたんですよ。今も動画の編集をやってくれているカナメくんという若い子に。
南條 もともと、カナメくんは僕の知り合いだったんです。俳優をやってたんですけど、辞めて映像の仕事を勉強したいと。「ゼロからやってみたいんで、すゑひろがりずさんのYouTubeチャンネルをやらせてくれないですか」と声をかけてもらって。僕らなんの知識も技術もないんで、編集とか全部やってくれるならお願いしますと。
三島 最初から「絶対にバズりますよ」って言ってくれてましたねえ。でも……バズらなかったんですよ、全然(笑)。
南條 最初にちょっと動画をアップして、そのあと丸1年くらい放置してたんですよね。
三島 コントとか企画とか、10本くらいは映像を上げてたんかなあ。それが『M-1グランプリ2019』終わりでちょっと観られるようになって。サッカーゲームの実況だけ飛び抜けて再生回数が伸びてたんで、「これや、しがみつけ!」と。
——そこで今年の1月に『バイオハザード RE:2』の”狂言風実況”をスタートさせるわけですね。
三島 M-1後の登録者数が確か3000人くらいでした。『バイオ2』をやり始めて一気にわーっと増えて、終盤には8万人くらい。もう震えました。
南條 大成功や、もうゴールやなあと喜んでたんです。そしたら『あつ森』……『けも藪』(すゑひろがりず局番では『あつまれ どうぶつの森』を『集え!! けもの共の藪』と言い換えている)の最初の告知ツイートが爆発するように拡散されて。「あれ? これ、なんか様子おかしいぞ」って。
三島 『けも藪』をやりはじめたころはもう、視聴回数のグラフを見るたびに何千人かずつ増えていくんですよ。まさにうなぎのぼりで。
——そういうグラフもご覧になるんですね。
南條 見ました見ました、教えてもらって。動画を何人が観て、収益がいくらとか。収益が出たときに急に……。
三島 何これ、って。
南條 「こんなに?」みたいな。
三島 ちょっと怖かったのはありましたね。
——結果、今や登録者数は27万人に(2020年7月現在)。『どうぶつの森』というソフト自体の強さもあったと思いますが、おふたりは何がそこまで世間に届いたと?
南條 いやあ、わかんないですねえ。ただ、やる側としてはバイオハザードを先にやってたのはでかかったです。そこでやり方が固まって、『けも藪』にもすっと入れた感じはありました。
三島 カナメくんが動画を拡散する術をむっちゃ調べてくれるんですよ。告知のツイートひとつ取っても「この時間にこういう感じでツイートしてください」「予告動画作ったんでこれ載せてください」とか。僕らはマリオネット……操り人形(笑)。
南條 おじいちゃんふたりが孫の言うとおりにやってる感じ。彼が若いというのは大きいです。僕らふたりでは絶対辿り着けないようなことを提案してくれたりするんで。
三島 カナメくんの手伝いのさらに若いダイヤくん、アドバイザーの川出さんと5人のチームなんですけど、みんながどんどんアイデアをくれるから、僕ら基本「ほなそうしよう」しか……「御意」しか言うてない。彼らたぬきちですわ。
南條 そうやな。
三島 知識も圧倒的に彼らが上で、努力もめちゃくちゃしてくれてるので、まずは従ってみる。その上で反応を見る感じですね。
——「自粛期間中に『すゑひろがりず局番』を観て癒された」という意見もよく見かけました。
三島 よく目安箱(コメント欄)で見ますねえ。
——そんな意図は……。
南條 癒すつもりはまったくなかったです(笑)。
三島 もう単純に笑ってもらえればって。これまでの人生で僕ら、人を癒したことなんてないと思うんですよ。でも今は「仕事がなくなってしまって落ち込んでいたけど、すゑひろがりず局番を観てすごく元気が出た」とかコメントをいただいて。
南條 どういう状況!? いや本当、想像もしなかった感想がけっこう来るんでね。それはもう、思わぬ産物というか。
三島 こんなん観て、ちょっとでも元気出してもらえたら最高じゃないですか。
——「狂言風ゲーム実況」というキャラクターの部分もですが、おふたりの素もウケている感じがありますね。
南條 それがYouTubeをやって一番プラスな部分かもしれないですね。テレビとかで僕らの素を出すってなかなか難しいですけど、ゲームしてるなかで自然に自分らが出てるところを視聴者の方が観てくださってるのって、いい状態ですよね。
——次は『バイオハザード7』の実況をすると予告されていましたね。
三島 それも「やってみましょう」と提案をもらって。
南條 冬ごろに『バイオハザード8』が出ると聞いて。8やりたいから、それやったら7もやっといたほうがいいなあって。プレステ5も出るみたいなんで、それに合わせていろいろできたらと。『バイオ』にこだわらず、いろんなゲームをやっていいと思ってるんですけどね。まあおもしろいというなら一回やってみよかと。
——少しずつ劇場やテレビの収録が再開して、YouTubeに割ける時間が減っているかと思いますが。
南條 そうなんですよ。自粛期間はYouTube一本に絞って力入れてやれてたんですけど、今ちょっとバタバタし始めてるんで。これからどういうやり方をしていくか、まだ探っているところです。
三島 忙しいからといってあと回しになったらよくないなあとは思うんですけど。
南條 こっちの熱が、視聴者の反応になって返ってくると思うんで。そこはなんとか両立していきたいと思います。
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