写真を撮ることにこだわりを持つアーティストや俳優・声優による連載「QJWebカメラ部」。
土曜日はアーティスト、モデルとして活動する森田美勇人が担当。2021年11月に自身の思想をカタチにするプロジェクト「FLATLAND」をスタート、さらに2022年3月には自らのフィルムカメラで撮り下ろした写真をヨウジヤマモト社のフィルターを通してグラフィックアートで表現したコレクション「Ground Y x Myuto Morita Collection」を発表するなどアートにも造詣が深い彼が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
親の教え
第54回。
朝起きてカーテンを開くと、きらきら光る水玉模様。
やたらと騒いだような跡。
そんなあとの静けさは小鳥の声がよく響く。
湿ったコンクリートの冷気が肌に気持ちいい。
どことなく充満する緑色の匂い。
そんな日は決まって外に出る。
体を伸ばしながら多感な道を歩く。
嵐の去った晴れの日が大好きだ。
黒々とした雲がはけていく。
ものすごいスピードで陰と陽が時間を演じる。
希望に満ち満ちた光が差し込む。
花はそんな嵐の日も、去った晴れの日も変わらず笑っているよう。
みずみずしく、晴れ晴れとした姿。
雨の日も晴れの日も。
きっとすべてが養分なのだろう。
だからひたすらに伸びるのであろう。
そうありたい。
枯れるということは偏ること。
大切なのは自然なバランス。
心は花のよう。
濡れる日あれば照れる日もある。
大事なのは腐らないこと。
これは親の教え。
そう繰り返して生きていよう。
中山莉子(私立恵比寿中学)、セントチヒロ・チッチ(BiSH)、長野凌大(原因は自分にある。)、東啓介、森田美勇人、南條愛乃が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。