さらば森田が紐解く“クイズ番組のおバカの歴史”。滝沢カレンには「あなた“奇妙枠”」(私のバカせまい史)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『私のバカせまい史』(5月4日放送)

和牛・水田による「パラパラチャーハン裏技史」につづき、さらば森田がプレゼンしたのは「クイズおバカ枠史」。

それによると、クイズ番組でおバカ枠が誕生したのは、1969年の『クイズタイムショック』。

正解が3問以下だとイスが大回転するルールだったこともあり、「おバカ」の存在が欲しいという制作陣の思いに応えるように登場したのが、俳優の大泉滉。69年の芸能人大会を皮切りに、700回大会、800回大会、最終回と節目に呼ばれつづけ、その都度回転したという。

1976年には、『クイズダービー』でレギュラーから「おバカ枠」が誕生する。解答者に賭けるというシステムだったため、必然的に「穴」「大穴」枠におバカが必要になったのだ。

篠沢秀夫教授や北野大といった頭が固い考え過ぎのおバカ枠から、井森美幸や山﨑浩子といった王道のおバカ枠、さらに現役時代のガッツ石松もここで伝説的なおバカ枠に。

その後、おバカ枠は「人気芸人おバカ」「アイドルおバカ」「アスリートおバカ」「黒船おバカ」と脈々と受け継がれていく。

そして2005年『ヘキサゴンII』で、それまではあくまでも脇役だった「おバカ枠」が主役に。やっぱり自分には『ヘキサゴン』は合わないなあと再確認しつつも、こうした変遷はとてもおもしろい。

そんなプレゼンを聞きながらすっとんきょうな発言を繰り返す滝沢カレンに、森田が「あなた、“奇妙枠”」と形容していたのが見事だった。

『アンタウォッチマン!』(5月2日放送)

テーマは「2013年のロバート馬場」。

幼なじみの秋山に誘われて芸人になった馬場は「何をやっていいかわからない」と苦悩。『はねるのトびら』でも「自分の居場所がない」と感じていた。

そして2012年、『はねる』が終了するといよいよ「自分は何をやったらいいんだろう?」「置いていかれている」と焦りは大きくなっていったという。

そんな馬場のコント芝居が好きな今田耕司は「大丈夫やで」と励ましていたそうだが、「NSC入ってからずっと辞めたかった」と告白する馬場に、悩みの深さを思う。

その馬場の料理を最初に称賛したのも今田だった。2013年には、さんまに「馬場ちゃん、料理うまいんですよ」と紹介。それがきっかけで『からくりTV』の料理コーナーに抜擢され、料理芸人の道に進むことに。

「芸人としてネタは考えられないけど、料理は考えられた」と言う馬場は、「これが秋山が言っていた、ネタを考えろってことなのか。料理でわぁ!と盛り上がったら、大爆笑の1個と数える」と意識を変えていったという。

ローソンのサンドイッチ開発を手がけると、『キングオブコント』優勝以上の反響があり、お店をやることを決意。

そうして馬場の口から、現在ロバートとしてネタをやっていない理由が明かされる。「店をやるからには店のことをやりたいから、ちょっと休ませてくれ」と申し出たのだそう。

芸人生活を通して自分の得意なことを見つけ、そこに舵を切ったのはやっぱりスゴい。「思い悩んだら違うことをやってみるのもアリ」と思わせる話だった。


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2023年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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