伊集院光も「さすがゴールデン進出。感動的」と絶賛する“バカせまい”ものまね裏面史(私のバカせまい史)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『私のバカせまい史』(4月20日放送)

ゴールデンレギュラー化初回、変わらぬ濃密さだった。さらば森田がプレゼンする「箱の中身はなんだろな史」で、「箱の中身はなんだろな」の起源を1191年の安倍晴明に求めるのもバカバカしくもアカデミック(つまりは“バカ知”)なこの番組らしさがあふれていたし、バカリズムがプレゼンした「カラオケビデオ俳優史」での「暗いところでナイフを持て余す女」「たまにこっちを見る女」「ずっと後手後手の女」「命がけで麻雀をする反社」「裸足の毒舌ラジオDJ」「ひとりで回る女」「沖縄にいるていの女」といった役柄の説明はいかにもバカリズムでおもしろかった。ゲストの渡辺満里奈も「河原に座る女」役で「贈る言葉」のカラオケビデオに出演経験があるという驚きの情報も!

そんな中で今回特におもしろかったのは、この番組の大得意分野「ものまね」から、せいやがプレゼンした「淡谷のり子の低得点史」。淡谷のり子は1987年3月から約7年(計781回を審査)にわたり『ものまね王座決定戦』の審査員を務めた。『ものまね王座』では暗黙の了解で8点が事実上の最低点。それを約2割の156回つけていた。低得点をつける傾向は、演歌、下ネタ、誇張しすぎ、知らないものまね、そして淡谷のり子本人のものまね。淡谷のり子が出した最低点は6点で、2回出しているが、いずれも淡谷本人をものまねした朝田昌貴へのもの。クオリティの高いものまねだが淡谷は「迷惑です」とバッサリ。7点も1度だけ出しているが、それは稲川淳二によるゴッホのものまね。せいや「なんの地雷も踏んでないのに7点だった(笑)」。

そしてやはり淡谷のり子といえば、vs清水アキラ。下ネタ嫌いの淡谷は8点を出しつづけたが、ついに1989年3月、セロテープ芸を“発明”した研ナオコ「夏をあきらめて」のものまねで笑わすことに成功。淡谷から10点を獲得し、100点満点。このシーンはハッキリ覚えているが感動的だった。清水「うれしかったねぇ、淡谷先生がいたから俺がああやって悪ふざけできたんだと思うよ。淡谷先生が8点つけてくれるのが俺にとっては生きがいだった。俺の満点は98点だから」。このプレゼンを聞いた伊集院も「さすがゴールデン進出。感動的だね」と絶賛。ものまねの歴史に確かに刻み込まれたバカせまい裏面史だった。

せいやは「トータルで一番恥ずかしいのは7点の稲川淳二さん」と締めたり、「知らないものまねのときは必ずこの方(生田悦子)がサポートしている。船場吉兆より前にささやいてた」と補足したり、随所に笑いを挟み込んだプレゼン力が冴え渡っていた。

『かまいガチ』(4月19日放送)

小芝風花と見取り図を迎えて「第3回コンコンダッシュ選手権」。小芝と濱家が仕掛けるターゲットは、おいでやす小田。が、持ち前の大声ツッコミも控えめでラジオセット、箱の中身はなんだろななどの仕掛けをやろうとしないのが逆におもしろかった。

見取り図のターゲットはアタック西本。シンプルにノックすると電気椅子を食らったかのような大きなリアクションで驚く西本。2回、3回繰り返しても音だけでビビる西本に山内「普段どうやって生きてんねん」。

スマホで動画に収めようとするもなぜか部屋の中から。ノックのあと追いかけるも、当然動画に映っていない。この意味不明な行動にここでも『世にも奇妙な物語』のBGMが流れる。ようやく外にスマホを仕掛けるも、不発。そこでドアにスマホを仕掛け隙間から外の様子をうかがう西本だが、やがて立ったままウトウトと寝てしまう。一つひとつの行動が規格外で赤ちゃんのよう。仕掛けほぼなしでおもしろかった。


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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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