視聴者にはわかりづらい爆笑問題の“現場”でのスゴさ。霜降り明星せいやが熱烈プレゼン(刺さルール!)

『クイック・ジャパン』vol.156

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『刺さルール!』(5月2日放送)

3分間で「これ知らないの人生損してる!」と思うものの魅力をプレゼンする新企画。せいやは「芸人目線で語る爆笑問題のスゴさ」を熱くプレゼン。視聴者にはわかりづらい現場の爆笑問題のスゴさを「スカさない」ことだと解説。若手の目線まで降りてきてスベってくれる。「挑戦者の笑い」をしてる。だから共演する前は「めっちゃワクワクする。なぜなら一緒に戦ってくれるから」と。

さらに「田中さんもスゴい」とつづける。「コンビで収まりがよいものを人間は見ていられる」とドラえもんとのび太、トムとジェリーを例に挙げつつ、爆笑問題も「完成されたコンビ像」だと言うのだ。これを聞いていた太田は「うれしいんですけど、別にわざとスベっているわけではありません(笑)」。

ニューヨーク嶋佐は太田以外で唯一「刺さらなかった」の札を上げ「田中さん、太田さん以上にめちゃくちゃなときある(笑)」と、せいやが時間の都合で触れられなかった部分を補完。それも含めてとても爆笑問題の特異性と愛される理由が伝わってきた。

嶋佐は「これからの芸人界を席巻する新軍団」、田中はジュリーが天下を獲っていた時代の「1979年の『紅白歌合戦』」、ヒコロヒーは「『美味しんぼ』第1巻」をそれぞれプレゼン。いずれもそれだけで1回分いけるんじゃないかという濃密さ。

そして太田は「黒澤明の『どですかでん』」をプレゼン。戦後の貧しい人たちの生活を描いたこの作品で、特に感動したという喜劇役者・伴淳三郎が演じる男が会社の同僚を自宅に連れてくるシーンを再現する太田。まさに「黒澤落語」。しかし、思ったとおり時間を大幅にオーバーして強制終了。

「爆笑さんプレゼンしたの恥ずいですわ」とせいやは笑っていたが、場面再現力など、やっぱりふたりは共通するものを持っているなあと思った。この企画はつづけてほしい。

『水曜日のダウンタウン』(5月3日放送)

「みんなの説」スペシャル。吐き出し方がリアルな「ベロベロに酔ったふじいあきらを介抱していたらトランプを吐き出したとしても意外と受け入れちゃう説」や、まさかの「クワバタオハラの方」が飛び出した「『桑田と原』とだけ聞いて連想するの『サザンオールスターズ』と『読売ジャイアンツ』で半々説」、“モルモット芸人”ザ・たっちが挑戦し、「人体実験史」に新たなページを刻んだ「走幅跳『短すぎる助走』と『長すぎる助走』記録トントン説」など相変わらず切れ味鋭い小ネタが連発。ブリッジ的に入る「祠の定義、誰も知らない説」も可笑しかった。

そんな中、やはり一番笑ったのは「クールポコ。の背後に幽霊がいたら『なぁ~に~?』のところでネタ中止説」。もうタイトルだけでおもしろい。遠くだと気づかなかった小野まじめだが、幽霊が近づくと(もうその画が最高)、「なぁ~、な、な、な!」と最高のリアクション。せんちゃんに対して「あれ、見えてる?」とでも言いたげな表情も絶品だった。

こうした小ネタの中に突如挟み込まれた「温暖化で喜んでいる国もあるにはある説」もおもしろい。グリーンランドの市議会議員で産業・観光担当者に話を聞く真っ当でアカデミックな内容。それが興味深いぶん、違和感丸出し。松本「どっかに落ちてたん、V(TR)が?(笑)」。


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2023年のテレビ鑑賞記録。

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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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