ハライチ岩井、「恩人」坂下千里子の仕事術を“毒と愛”をまぶしてプレゼン(私のバカせまい史)

イラスト=おさく

編集=菅原史稀 文=てれびのスキマ


テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『私のバカせまい史』(4月27日放送)

バカリズムも珍しくイジられた、鬼越トマホークによる「プロ野球始球式盛り上げ方史」やヒコロヒーの「ザ・たっちの人体実験20年史」もおもしろかったが、ハライチ岩井の「坂下千里子の裏立ち回り史」が岩井の真骨頂だった。

坂下千里子といえば、岩井がくすぶっていた時期からその魅力に気づき助言していた「恩人」であることは、自身のラジオなどでも何度となく話題にしている。が、その「恩人」に対して、「みんなの印象に残らない理由」を「切れ味鋭いコメント言わない」「代表作がない」「群を抜いたビジュアルでもない」「ファンだってたぶんいない」とこき下ろしたり、岩井らしく毒と愛をまぶしたイジりをふんだんに盛り込みつつプレゼン。

97年、坂下千里子は『王様のブランチ』リポーターに抜擢。初ロケでディレクター平賀渉から「スタッフは名前で呼べ」と指導されるとそれを守り、「裏立ち回り人生」が始動したという。2002年から始まった『もしもツアーズ』は、バス移動の時間が長いそうだが、移動中もカラオケをしたりして場を盛り上げていた。『キョコロヒー』で勝俣州和が「休憩中こそ仕事」みたいなことを言っていたことを思い出した。バカリズム「スタッフ受けはいいかもしれないけど共演者受けは悪い(笑)」。

2012年以降は「池上彰の“隣”」というポジションを確立。フジ、テレ朝、テレ東各局の番組で多数共演する「プロ生徒」だと。それは、学習意欲は高いがすぐ忘れるから。よく話を聞く→忘れる→よく話を聞く→忘れるの無限ループで「新鮮なリアクションの永久機関」だと岩井。

さらに現在『ノンストップ!』のレギュラーを務める彼女。なぜ起用されたのか。その理由のひとつが、『もしツア』のADだった人物がチーフプロデューサーになっていたから。よく「ADを大事にしろ」といわれるがまさにそれを実践し証明したかたち。思えば、くすぶっていた岩井も気にかけたからこそ、いまこうして岩井が話題に上げるのだから「裏立ち回り」の大事さ、というか、誰に対しても思いやりを持って接することが回り回って自分のためになる、つまりは「情けは人の為ならず」を現代で証明している。

『かりそめ天国』(4月28日放送)

久々の四千頭身・後藤ファミリー企画。高校生の妹・まりもちゃんの進級祝いを兼ねた倉敷・岡山ツアー。すっかり垢抜けたまりもちゃん「ディズニーのほうが楽しい(笑)」。

車内では「なんだよ」とマツコが思わず吹き出す家族ならではのとりとめのない会話がつづく。母リクエストで車中に流した曲はさだまさしの「防人の詩」。なんだかよからぬことを決意してその現場に向かう一家のよう。有吉「やめろよ、そういう車に見えるだろ!」。

ギリシャ料理を家族一同「ビッグマックの味」と表現したり、楽しかったことを振り返るときもフワフワしていたりする一家。有吉「全員小学生なの? 感想がさ(笑)」。この脱力感が本当に癖になるし、まりもちゃんの成長を見るのも楽しいから、今後も適度な間隔で定期的にやってほしい。


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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