霜降り明星せいや、ヒコロヒー、オズワルド伊藤に共通する理想の番組とは?(ボクらの時代)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『ボクらの時代』(4月9日放送)

霜降り明星せいや、ヒコロヒー、オズワルド伊藤の鼎談。せいやとヒコロヒーは同じ近畿大学出身の同期(ちなみに近畿大の同世代にはほかに、ナダルや川瀬名人、ニッポンの社長・ケツも)、伊藤は1期後輩でふたり共と仲のいい間柄。

せいやは小学4年から学校の「お笑いクラブ」に入り、6年のころにNHKの漫才コンテストでテレビ出演。漫才を終え舞台袖にはけたときに、MCの陣内智則から「自分らおもろいな」と言われ「芸人なりたいって一発目、あそこで思った」という。『R-1』ではコントにこだわって挑戦しつづけたヒコロヒー。ラストイヤーはコロナでビデオ審査になり準決勝敗退という「ざんない終わり方」をした彼女は、今、賞レース向けではないネタを単独ライブで作れるようになって「楽しい」という。伊藤も「去年がピーク」だという。「『M-1』熱が?」と驚くせいやに「優勝したいし、出ますけど、『M-1』の旬というか、みんなが応援してくれる時間はもう去年でいったん終わった」と冷静に分析する。夏に旅行へ行こうと思ったり、ドラマのオファーが来ても、今までは「でも『M-1』を優勝してから」と思っていたと。「それだけを考えて生きていくと、人生がつまらなくなっていく」と思い始めたそう。「めっちゃわかる!」と共感するふたり。せいや「みんなが思ってるより、毎日『M-1』のこと考えてるよな」。

そんな3人の理想の番組がそろって「トーク番組」というのが興味深かった。「いろんな演芸ある中で、トークが一番好き」と言うせいやに「まったく一緒」と声をそろえるふたり。せいや「伊藤がめっちゃおもろい話した。ほんなら自分の引き出しが開くねん。俺もこういうことあったわって、自分でも思ってない話が飛び出して、その瞬間が一番おもろい話できる」。とかく漫才やコントなどの価値を上位にする風潮があるが、3人がそろってトークが一番好きと話していたのがなんだかうれしくなった。

「お笑いない現場を嘆くより、なんかおもんない現場を自分の力でおもろくするのが楽しい」というせいや。伊藤も投げられた企画で「あいつがいたらおもしろくなる」と言われたいと語る。「その信用よね」とうなずくヒコロヒー。3人が同じ方向を見ているのが心地よかった。

『水曜日のダウンタウン』(4月12日放送)

第3回となる「30‐1グランプリ」。審査員は『R-1』審査員を務める直前のバカリズム、小籔、フット後藤、出川、そして松本人志。「ヒドい話ですよ。安っすいギャラで審査員やらされる」とグチる松本に「審査員がギャラいいって感覚、僕ないですよ」と小籔。松本「バレてもたー!(笑)」。『R-1』と比べて「どっちが夢あんのかわかんないですけど」と松本が言うとすかさず出川が「夢だらけ!」とフォロー。

733組から40組が選ばれA~Eブロックにわかれて対戦。Aブロックから激戦。キンタロー。をどう評価するかで意見が分かれるも、「30秒で見るのに一番適している」と松本に評価され、決勝進出。

B、Cブロックも接戦で決勝進出組が決まる中、Dブロックは「京都の学校」で強烈なインパクトを残したぶったまが全員一致で進出。「普通待つじゃないですか、ビジュアル(ボケ)を。すぐに放り込んできたから」とその斬新な構成を評価し、バカリズムも「表情も100点満点」と絶賛。本当に今大会で一番笑った。

つづくEブロックのななまがりも全票獲得し進出。だが、このブロックで強烈なインパクトを残したのは「もう一回見たい1本」にも選ばれた牧野ステテコの「手肛門」。もうこれからはあのポーズをした人を見ると「手肛門」と思ってしまうのだろうなと思うほど強烈だった。

優勝は、1本目は「刑事ドラマで犯人を追い詰めるも、静かな芝居過ぎて大事なところが聞き取れない國村隼」、2本目は「先輩と店員を行ったり来たりする人」と本格派なネタを見せたオキシジェン。30秒だからインパクト重視かと思いきや、過去も含め意外としっかりとしたネタが強い傾向がある。賞金30万を現金で渡され「夢ありますね!」と素直に喜びを爆発させる光景がステキだった。


この記事の画像(全1枚)


この記事が掲載されているカテゴリ

てれびのスキマ

Written by

てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

CONTRIBUTOR

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森田美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。