カカロニ栗谷がマヂラブ野田に“宣戦布告”「潰しますよ(笑)」(さんまのお笑い向上委員会)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『さんまのお笑い向上委員会』(4月1日放送)

向上ゲストは初登場の四千頭身。ひな壇側には『アメトーーク!』年末SPでさんまと共演したカカロニ栗谷が初登場。そのときはさんまに宣戦布告をしたきり沈黙してしまったが、「今日はやっちゃいますよー」と微笑むも「どうやっちゃうねん?」と聞かれると栗谷はさっそく口ごもり、ひと言。「リクエスト募集中!」。

この番組におけるさんまへの対処法を、初登場の四千頭身に伝授する流れになり「なんだかんだニコニコしてればなんとかなる」「さんまさんは優しいんで、『ほいで』も無視すれば大丈夫」とザ・マミィ酒井が言えば、「さんまさんが笑ってればこの番組成立するんでそんな怖がらなくていい」と林田もつづける。さんまはそれらにツッコんでいくのだが「芸人が多いとはしゃぎ過ぎちゃって、さんまさんが」と都築が痛烈なひと言。四千頭身の中で一番強い言葉を持っているのは、意外にも普段飄々としている都築。さらに「70歳直前でノリツッコミやってる人って怖いじゃないですか」と言い放つ。崩れ落ちるさんまに、村上「一生懸命なんだよ!」野田「がんばってんだよ!」村上「必死なんだよ!」野田「かわいそうだろ!」と、マヂラブのふたりが“悪い”ガヤ。村上のガヤは声がよく通るし、番組の流れを作っている。

そうして盛り上がっているなかで「さんまさん、栗谷が全然動かないんですよ」と村上が絶妙のタイミングで指摘。「わかってない。今じゃないから!」という栗谷に野田が「モニター横行け!」と言うと、栗谷「潰しますよ(笑)」。

『家、ついて行ってイイですか?』(4月2日放送)

高円寺の駅前でライブ終わりのそいつどいつ・市川刺身に遭遇。「家、ついて行ってイイですか?」の問いに「あー全然いいですよ」と即答。2021年に『キングオブコント』の決勝に行く前は、築60年の木造アパートに住んでいたそうだが、現在は家賃9万2千円の2Kに。「減るもんじゃないんで」と言って源泉徴収票なども躊躇なく見せていく。本棚にはマンガが並び、「嫌なこととかがあってもユーモアでおもしろおかしくできたらなって学びもある」と、特に『コジコジ』が好きだそう。

寝室の寝床の頭上には『キングオブコント』ファイナリストのTシャツが飾ってある。「優勝した人以外、なんにも残らないんですよ」と悔しさをにじませる刺身。2021年はマヂラブ、ニューヨーク、空気階段、そいつどいつと、(当時)コンビの一方が高円寺に住む芸人がそろった決勝。戦いを終え、高円寺の路上でみんなで「おめでとう」と乾杯したときに「芸人の第1章終わったな」と思ったそう。「うれしいけど、めっちゃ悔しくて」「あー、勝てなかった空気階段に」「もう二度とそのメンバーのキングオブコントはない」「二度と返せない」と寝る前にTシャツを見上げて思うのだという。まさに青春の瞬き。残酷で切なく美しい。

そんな刺身が芸人を志したきっかけも、とてもよかった。福生で育った彼は中学校に入るとヤンキー文化一色。それに迎合するように誘われ断ると、次の日から激しいイジメが始まってしまう。そんなとき『爆笑オンエアバトル』で佐久間一行の「ヤマンバに友達のよっちゃんが連れていかれたから助けに行く」というひとりコントを観た。その瞬間、「逆行ってみようかな」と思った刺身。「めっちゃ痛いけど、『気持ちぃ~』って言ったんですよ。そしたら見て見ぬふりしてたまわりのやつがちょっと笑って、やってもやってもウケちゃうからそこからイジメられなくなって」。

そうしてそのままお笑い芸人になったと。彼の「余裕~」という決めギャグもそんなところから生まれたのかもと思うとスゴい。「お笑いってなんでも勝てる。失敗してもおもしろいし、成功してもすげーとかなったりするし。それでいてお笑いやってる人っていい人ばっかり。お笑い始めて友達めっちゃできたなって」と言う刺身は、「自分にとってお笑いとは?」という質問にこう答えた。「宝ですね。宝物」。


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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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