JPの“ものまねレパートリーの多さ”に、番組予算が尽きるハプニング発生(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『上には上がいる!』

ものまねニュースターの中からレパートリー数最多は誰なのかを調査。

推薦を受けたレッツゴーよしまさ、JP、よよよちゃんに加えて、「2兆個」のレパートリーを誇るザコシショウが参加。ものまねの重鎮たち3人が審査し、ふたり合格で認定。3回連続で不認定だと脱落というルール。

ザコシショウは1本目に「最近の長州力」の誇張ではないものまねで認定を受けるも、古畑任三郎、吉幾三、Mr.シャチホコと笑いに走ってしまい、審査員は爆笑するも「×」を上げ、早々に脱落。バイきんぐとかファミコンものまねとか認定されそうなのはたくさんあるだろうけど、ザコシらしい選択。

本命のJPは、松本人志、ナダル、小籔といった芸人ものまねから、『夫婦道』の武田鉄矢、哀川翔、竹内力といった俳優、ポルノグラフィティ、GACKTなどの歌まねなど、多様な引き出しで順調に認定されていく。

よしまさも得意のドリフものまねはもちろん、小林幸子、美川憲一の素のしゃべり、郷ひろみ、尾崎豊、やしきたかじんといった懐メロで認定を重ねていく。

一方、歌マネのよよよちゃんはLiSA、YOASOBI、緑黄色社会、椎名林檎、中島みゆきなど得意のものまねで認定を受けるも、篠原涼子が「そこはファルセットではない」と不認可。つづく中島美嘉、中森明菜も厳しい審査となり、認定されたものまねが37個で脱落。

JPとよしまさの一騎打ちになると、よしまさは沢田研二、近藤真彦、木山裕策で立てつづけに不認定となり、56個で終了。

よよよちゃんにしても、よしまさにしても「やってる人が多いから、高いレベルじゃないと不認可」というのは、ものまね自体の審査としてはいいけど、レパートリーとして認定するかの審査としてはどうなんだろう?とは思った。

ここからはJPの独壇場。ランプから出てくるジーニー、トトロ、キングギドラ、ドラえもん、ウシ、ゾウ、イルカ、ヘリコプター、蛇口、エスプレッソマシン、ピヨピヨサンダル、蓄音機から聴こえてくる美空ひばり、ゴジラ、線香花火、スズムシ、水銀で動くからくりぜんまい時計、小鳥のさえずり、雪の上を歩く音、しずちゃん、稲田、あのちゃん、椿鬼奴……と、芸人、俳優、アニメ、歌、擬音、動物など多種多様なものまねをやりつづけ、ついには進行役だった会社員の良原アナも帰宅。

なんと12時間、朝6時までつづけ、JPのネタが尽きる前に番組予算が尽きたと、キリのいい500個目「『ガキの使い』音声越しに聞こえる藤原」で終了。凄まじい。

そのレパートリーの多様さに、雌伏(しふく)の時間の長さと試行錯誤の歴史を思わせる。けっして途中でやめないのが、ものまね芸人らしいメンタリティだなと思った。

『アリベガス』

有吉がディーラーを務める「人間性カジノ」。芸人の人間性を探るトラップを仕掛け、黒か白かを予想する番組。

「スポンサーからお車代を受け取るか」の検証では、ほかの芸人が押しの強い社長に渋々受け取ってしまうなか、草薙は「いやいやいや」と拒否。

それでも「一度出したものを引っ込められない」「感謝の気持ちなんで、受け取るのも礼儀」と引かない社長に、「大丈夫です」「怒られる」と譲らない。

ついには「置いておきます」と机に置いて出て行こうとする社長の腕を掴み、お金の入った封筒を無理やり返し、追い出す草薙。

「リスク負ってまで取りにいくお金じゃない」と、面倒なことに巻き込まれたくない、怒られたくない気持ちが最優先な感じが、草薙らしかった。

「合コンで後輩が狙っているタイプの女性から猛アプローチされたら誘いに乗るか」という検証では、シュウペイもみちおも拒否。やはり芸人の先輩・後輩の関係性は強固。

けれど、みちおの誘われたあとの振る舞いも人間らしくてよかった。「抜け出して飲みに行きませんか?」とメールが来ると、突然立ち上がって「頭あちー」となったり、踊り出したり、見るからに混乱するみちお。

迷いつつも、メールではなく直接行って「うれしいんだけど、またみんなで飲みに行こう」と告げ、タクシーを停めてあげる紳士な振る舞い。みちお「めっちゃ行きたかったですけど、今日“は”やめとこうと思って」。


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。

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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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