テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。
『X年後の関係者たち あのムーブメントの舞台裏』
1986年に誕生した東京のお笑いの“聖地”『ラ・ママ新人コント大会』(以下、ラ・ママ)を特集。大会を立ち上げた渡辺正行、その第1回から出演(というより、ラ・ママ出演のためにダチョウ倶楽部を結成した)肥後克広、そして「後継者」と目されるスピードワゴン小沢という『ラ・ママ』を語る上でこれ以上ない3人が集結。
このライブの最大の特徴であるコーナー「コーラスライン」について小沢は「ネタ見せに知らないおじいちゃんとか来てた。で、(リーダーは)受からせてた」と証言。これに対してリーダーは「そういう人たちにもおもしろさがあるんですよ!」と弁解しつつ「いろんな笑いがある。わざわざ名古屋から深夜バスで来るんだよ。出さないわけにいかないじゃん」と笑う。冗談半分で言っているものの、多様な笑いを肯定する・出る人を制限しないというリーダーの哲学が垣間見える。カズレーザーも「王道が見えないところが東京の一番いいところ」と語る。
お笑い第3世代ブームでお笑いがビジネスになると気づいた芸能プロダクションがお笑い部門を創設し、東京のお笑いの裾野が広がっていったが、そのころはネタ番組がほとんどなかった。エネルギーが溜まっているところに『ボキャブラ天国』の「ヒットパレード」が始まる。そんなボキャブラブームの下地になっていたのがラ・ママだったとお笑い評論家の西条昇が解説。しかし、1999年に『ボキャブラ天国』が終了。『ラ・ママ』も観客が激減した上、各事務所でも事務所ライブが開催されるようになったことから「役目が終わった」と感じ、やめようかとも思ったが、一回終わるとまた始めるのは大変だと説得され継続。
そのころに上京してきたのがスピードワゴン。98年12月11日に上京するも、12月31日に銀座7丁目劇場が閉館。しばらく劇場がないので仕事がない人は好きにやってくださいと言われ、出演したのが『ラ・ママ』。そこで渡辺と宮原社長に「よかったらウチに来ないか?」と誘われM2カンパニー(現・ホリプロコム)に所属したという。だからスピードワゴンを形作ったのは『ラ・ママ』だと言っても過言ではないだろう。
リーダーは今年行われる「400回」を区切りにして、小沢が一緒にやりたいと手を挙げたため「小沢くんに禅譲しよう」と考えていると言うと、小沢は「リーダーとやればやるほど、リーダーは辞めてはいけないって毎回感じるのよ」「リーダーがいるからみんなふざけられる。リーダーっていい意味で、ですよ、上手に舐められてる。リーダーがいないと『ラ・ママ』じゃなくなる」と反論。肥後も「俺も代理MCをやったことがあるけど、俺がMCをやってると単なる普通のライブになる。渡辺正行がいるから『ラ・ママ』。『ラ・ママ』っていうのは渡辺正行の人生だから。最後までやってほしい」と語る。まさに“渡辺正行=ラ・ママ、ラ・ママ=渡辺正行”。そう思わせるまでになったのは本当に偉業以外の何物でもない。
『全力!脱力タイムズ』
みやぞんでこの番組といえば即興ソング。今回は悩んでいる人たちに向け、みやぞんが即興ソングで応援という企画。
最初は「役者の夢がくじけそう」という真っ当な悩みだったもののふたり目から様子が一変。「親の財布から拝借するお金で一発逆転のギャンブルの大勝負を賭ける」男がやってきて、みやぞんは罪悪感で「ちょっと待って、降りてこない」と歌えない。それでも再度促されると「行くな行くな絶対負けるから~♪」「カイジ観ろ~♪」と見事に返す。そのあとも明らかに結婚詐欺をしている女性や枕営業をしている女性への“応援”ソングを歌っていくみやぞん。この番組でのみやぞんは毎回、即興ソングはもちろん、捨てゼリフのように呟くツッコミのひと言ひと言が的確でおもしろい。実はクレバーなのがよくわかる。
終盤はみやぞんを応援したいと本物の川崎鷹也が登場し、みやぞんのために作ったオリジナル曲を歌ったのを振りにして、最後にお見送り芸人しんいちが登場。いつもの「〜好き」の歌をみやぞんバージョンで「間接的にあらぽん切ったみやぞん好き〜♪」「静岡でやってる自分の番組では本気手前でやってるみやぞん好き〜♪」「その笑顔が逆に怖いみやぞん好き〜♪」などと歌う。「ひど過ぎるでしょ!」と言うみやぞんだが「悔しいけどちょっとホントのところもある」と“自白”する。「静岡ね、確かに全力じゃないとこ、ありますよ(笑)」。
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【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)
毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。
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