「テレビ」を使って遊び尽くす『クイズ☆正解は一年後』。「本人歌唱を装った謎のカバーCD」を出演者たちの歌唱で発売(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『クイズ☆正解は一年後』

1月収録の出題ブロックでは、有吉チームの春日とケンコバチームの嶋佐はコロナで欠席。春日「自分がパネルになってたことも知らなかった(笑)」。

恒例の「結婚」問題では、有吉や小木があからさまにカンニングする流れを“発明”。それを司会の淳は「見られるほうが悪いからね!」というとんでも理論であと押し。小木は屋敷を「NYやしき」とカンニングしたため、リリーとまったく同じ表記で回答。そこから「LAアパート」(フジモン)→「OK牧場」(有吉)→「CR美空ひばり」(RG)という流れがおもしろかった。「マリック娘と米兵」というくっきー!のボケ回答までカンニングして先に回答する小木に屋敷「ポイントだけじゃなくて笑いも泥棒してますよ!(笑)」。

そんなふざけまくるなかでも「御嶽海」のような鋭い予想で正解を出す有吉がさすが。

番組インスタグラム企画は「インスタ指名手配」。芸能界とはまったく関係のない都内で暮らす一般の女性に番組インスタグラムの運用を任せ、定期的にアップする写真をヒントに居場所を特定し「逮捕」するというもの。見つけた場合、「おい、小池!」ならぬ「おい、一年後!」と声をかけるというのがルール。どこか『謎の日本人サトシ~世界が熱狂した人探しゲーム~』を思わせるワクワクする企画。

始めのうちは本人が映らず風景や店などを上げていたが、途中から本人含め場所がわかるような写真を、終盤には花屋の写真を多く投稿。実は彼女は新宿区で花屋を営んでいた。最初に確保したヒコロヒー「めっちゃおもしろかったですよ! 捕まえたあと、喪失感ありましたもん」。

淳の次女(1歳7カ月)と春日の長女(1歳8カ月)で徒競走対決も。「なんて幸せな企画」と有吉。「春日のDNAが入ってますから」と自信満々の春日だが、ゴール直前でふたりとも止まってしまう。1才児にはゴールテープの概念がないため、テープが怖かったよう。顔を隠していても伝わるかわいらしさで本当に幸せな企画だった。

腕相撲企画で有吉チームから選出されたタイムマシーン3号の山本が勝利したこともあり、接戦を制し優勝した有吉チーム。優勝チームが正解すると100万円獲得となるチャンス問題「カバーCDチャンス」は、「本人歌唱を装った謎のカバーCD」がサービスエリアなどで販売されているが、それを番組が制作。出演者たちがカバーし、誰が歌っているか表記せずに高速PAで販売。その購入者が何人、生放送中にTBSまでやってきてくれるのか?というもの。誰の曲をカバーするかは、1月の段階では、ブルーハーツを第1候補に交渉中だった。淳「最悪の最悪は『ロード』各章(笑)」。

なんとブルーハーツから許可が出て(そういえば、ヒロトはカバーの許諾を断ったことがないとインタビューで語っていたのを読んだことがある)販売。しかし、生放送中に購入者が現れることはなかった。が、「0人」と予想した有吉チームは見事正解。10年目にして初めて100万円獲得に。「有吉チームってことも今日知りました」と言っていた春日はほぼ何もせずに賞金を獲得することになるラッキーな展開。

番組最後は恒例の「2022年あるある」。昨年、亮のギター演奏がひどかったため、その「尻拭い」で淳が生演奏。RGは黒目コンタクトをした大江裕顔で歌う。有吉「淳さんの努力が薄まるんだよ!」。

淳は本当に亮のダメさはなんだったんだと思わせるくらいしっかり演奏。そんななかで「突然、大金手にした老人行方くらましがち」と「老人」でこそなかったものの阿武町の事件を“予言”するかのようなあるあるでほぼ的中。すご過ぎるのだが、そのあと、淳はソロパートも見事に弾き上げ、逆に淳のギター演奏のスゴさでRGのあるあるのスゴさが薄まってしまっていた。

エンディングでは突如、優勝に貢献したのに賞金をもらえない山本とまったく貢献していない春日と「勝ったほうが25万」の腕相撲対決に。敗れた春日だが、最後まで「負けてない! 負けてない!」とゴネているのがいかにも春日らしくて最高だった。

今年は一年の通し企画が多めだったが、そのどれもが名企画でずっとワクワクさせられた。

「テレビ」で遊ぶというのはこういうことだというのを見せつける放送だった。

『不夜城はなぜ回る』

埼玉・秩父の不夜城がスゴかった。家の主は70歳の逸見雄一。不夜城の正体は民家の模型を見せる博物館。展示しているのは手作り古民家模型だというが、その古民家模型が想像の何倍も凄まじい。たとえば、野口英世の生家を完全再現したものでは、現地まで行き泊まり込みで壁の凹みや色合いも調べ、板の枚数も幅も全部同じ。中にあるはた織り機も動くという。

福島県塩川村は村ごと作るスケールの大きさ。土も現地のものを使い、石垣は土木作業員に教わり本物同様に組み、瓦を作るために瓦屋で修業、仏壇を作るために仏壇屋で修業、ほんの数ミリの箇所で使う色を再現するため外国まで行くこだわりっぷり。完全に「変態」だ。

18歳のころ、実家の取り壊しをきっかけに古民家模型作りを開始したという彼の思いに聞き入ってしまう。東野も「出ましたよ、今年イチ出ましたね!」と絶賛。現在は、最後の作品に取り組んでいるという。それは、初のオリジナル作品。自分の理想の古民家を作っているという。めちゃくちゃ見てみたい!


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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