テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。
『週刊フジテレビ批評』
ドラマ『silent』を特集。村瀬健プロデューサーが「『週刊フジテレビ批評』さんですからディープな話をしていいですか?」と言うように、かなり深い話が聞けた。
紬(川口春奈)が、想(目黒蓮)の耳が聞こえないとわかる第1話のラストシーンは、一番最初にこの企画を立ち上げたとき、脚本の生方美久から渡されたペラ1~2枚の概要にあったシーンだという。村瀬P「そこからこのドラマは始まった」。
4話の想が、33秒間の無音のあとに湊斗(鈴鹿央士)の名前を呼ぶ印象的なシーンについては「音が聞こえてないという世界をしっかり伝える初めてのシーンだった。これは勇気のいる演出だけど、絶対にこれが正解だなと」と振り返る。6話での冒頭でも7分49秒間、音楽を入れなかったが、『silent』は音楽、音の演出が大事。不意に音がなくなったり、音がバツンと切れたりするアイデアは音楽プロデューサーの谷口広紀から出てきたアイデアだという。監督、プロデューサー、音楽プロデューサーで「音打ち」と呼ばれる話し合いで細かく決めていくのだという。
本作の脚本を手がけたのが「ヤングシナリオ大賞」を獲ったばかりの29歳の生方美久だというのは話題になったが、監督も31歳の風間太樹。そのふたりの若い感性が恋愛シーンのリアリティにつながっているため「僕、おっさんなので自分の恋愛観を押しつけたらアウト。恋愛の言葉に関しては、脚本の生方さんと風間監督に任せている」と村瀬Pは言う。このあたりの任せるところは大胆に任せるという決断が、新しさを生んでいるのだろう。
通常の恋愛ドラマでは、いわゆる「当て馬」的な役割になってしまう湊斗についても「ふたりにとっては恋敵かもしれないけれど、当て馬と呼ばれる人にも人生があって、それを嫌な感じに描くんじゃなくて、嫌なやつだからジャマになるんじゃなくて、優しくて本当に愛している人だから困るみたいな三角関係の構造を作りたかった」というのは共通認識だったという。そのため、異例の5話まるまる1話分かけて別れが描かれた。また通常、電話のシーンは別撮りで行われるが、本作5話の電話シーンはすごく大事だから同時に撮りたいと監督は言い、同じスタジオ内の離れたところでそれぞれカメラを構え撮ったのだという。また7話の予告はすべて手話。そうした数多くのチャレンジが行われているが「この物語をちゃんと描こうとしたら、結果、何かしらチャレンジしていることになる」と村瀬Pは語るのだ。
本当に丁寧に考え抜かれて繊細に作られていることがよくわかるインタビューだった。やはり、いいドラマは演出・脚本・演者・プロデューサー、すべてが噛み合い化学反応を起こしているのだなと改めて思う。
『有吉ぃぃeeeee!』
ワールドカップで日本がコスタリカに敗戦し、どんよりした気持ちになっているところで始まったこの番組。オープニングではいつものように「男塾名物・直進行軍」などマニアックな悪ノリで盛り上がるなか、サッカーゲーム『EA SPORTS FIFA 23』をプレー。
「有吉JAPAN」初加入は岡崎体育とEXILEのNESMITH。岡崎は自ら番組のツイッターに「やりたいです!」とリプを送ったことから出演が実現。『FIFA』歴は5年にのぼり、プロクラブモードのチームも持っている実力者。チームではセンターバックをやっているとのことで、いつもはボランチを担当しているトシをトップ下に上げて、岡崎に1ボランチを任せ、「セミプロCPU」と対戦。随所でいいプレーを見せる岡崎に有吉「やっと名波さんの代わりが見つかった!」。しかし、ドーハの悲劇を再現するかのような終盤での失点で敗れてしまう。トシが攻撃シーンで不甲斐なかったことから、次のJ3の「アスルクラロ沼津」との対戦では、トシをボランチに戻し、岡崎をトップ下に。すると開始早々、トシがこぼれ球を鮮烈なミドルシュートで先制する意地を見せる。そのトシのゲーム上のキャラ造形がハゲているのが可笑しかった。
さらに高橋ひかるの追加点で前半2-0で折り返す。このまま楽勝かと思いきや、後半に入り立てつづけに2点返され同点。やっぱりサッカーは白熱した展開になる。が、最後まさかのプレーで結末が訪れるのもいかにもこの番組らしくておもしろい。
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