「地獄にいる皆さんに捧げます」おげんさんたちによる最高の夏の宴(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『おげんさんといっしょ』

6回目となる今回。第2回以来の夏に生放送ということで、おげんさんの家を飛び出しセットを一新。夏祭りの会場に。おげんさん(星野源)がギター、お父さん(高畑充希)と雅マモル(宮野真守)が歌う「PLASTIC LOVE」からスタートする夏らしい感じ。

来年の大河ドラマ『どうする家康』に本人曰く「レギュラーエキストラ」として撮影中の豊豊さん(松重豊)は緑山スタジオからビデオ通話で出演、隆子(藤井隆)は「深夜バイト」に行っているということで、ふたりが不在。「その代わり」に登場したのが、寅さんの風貌をしたおげんさんの兄「めっちゃん」(飯尾和樹)。まったくこのファミリーに入って違和感がない。

「昔のお笑い、バラエティは音楽とセットだった」という話から、小松政夫と伊東四朗の「電線音頭」や、「SAKEROCK時代から私を知る人はどれだけ影響を受けているかわかるでしょう? 植木さんのギターの持ち方までまねしてますから!」と星野がいうジャズバンドとしてのクレイジーキャッツの映像を紹介。さらに1976年のザ・ドリフターズの貴重な生演奏映像も。めちゃくちゃカッコいい! 星野「やっぱエンタテインメントっていうのは、(ジャンルに)分けることもできるけど根底につながっているんだって」。

隆子の深夜バイトVTRでは、『ラジオ深夜便』を完全パロディするなど藤井隆の「好き」を詰め込んだやりたい放題っぷりが楽しい。

圧巻だったのが、三浦大知と菅原小春によるダンスショー。星野源の「喜劇」に合わせて即興で踊る。「会話してるみたい」とねずみ(宮野真守)が感想を述べたように、「肩」「頭」などと声をかけ、それに応じて踊っていたそう。おげんさん「俺たちは今、すごいものを見たぞ!」。

そして最後は「ちょっとこの間まで寝込んでたんだけどね、こんなぴったりな曲はないと思って。地獄にいるみなさんに捧げます」と前置きされて歌われた「地獄でなぜ悪い」。星野源はコロナ療養明けすぐ。こんなに今ぴったりな曲はない。この曲を聴くと僕は無条件に泣けてしまうのだけど、「生まれ落ちた時から 居場所などないさ」の「居場所」に強いアクセントをつけて歌っていたのもさらに胸に響いて、泣けて泣けてたまらなかった。「喜劇」から「地獄でなぜ悪い」の怒涛っぷり。祭りのあとの清々しさと共に、寂しさも感じてしまうほどの最高の夏の宴だった。

『おげんさんのサブスク堂』

豊豊さん(松重豊)が甲本ヒロトとバイト仲間だったことはよく知られているが、そのころのことを回想。THE BLUE HEARTS結成のとき、「今度のバンドはこんな名前じゃ」とヒロトに教えられ、「ブルー? カッコ悪りぃなあ、その名前! 青い心? なんじゃそれ」と言ってしまったと。三谷幸喜とも一緒にやっていたが才能ないと思って一度離れた松重「基本的に見る目がないんですよ(笑)」。

松重は星野源について「音楽好きだった人が、大人計画の門を叩くというのがすごい。その変態性が、なんで?って」と疑問を呈する。もともと演劇と音楽を同時期に始めていた星野源は、共通点は感じず、それぞれ分離して活動していたという。当初はSETや劇団扉座など比較的大きな劇団の芝居しか観ていなかったが、小劇場が気になり出して観たのが松尾スズキの芝居。これにカルチャーショックを受けた。

そのほぼ同時期に、音楽では細野晴臣にやはりカルチャーショックを受けた星野。そんな好きなものを深掘りしていくなかで、松尾の先輩には宮沢章夫がいて、彼はラジカル・ガジベリビンバ・システムに参加していたことを知る。そこでは細野が参加したYMOの楽曲が使われており「つながった!!」ということが起きたのが19~20歳のころだと。好きがつながる瞬間を大事にする星野源らしいエピソード。松重「みんなどっちかで棲み分けてるから、それを同時進行でやる人が、革命なんだよね」。

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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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