「スベる」も「ドヤ顔」も「グダグダ」も?松本人志がルーツの言葉(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『ダウンタウン vs Z世代 ヤバい昭和あり?なし?』

不幸の手紙、コックリさん、ぎょう虫検査、モーラー、睡眠学習など、昭和のヒット商品や風習をダウンタウンらの映像と共に振り返る番組で、ありがちといえばありがちだけど、提供クレジットも昭和風に作られていたり、とても丁寧で観応えがあった。

そんななかで終盤、「松本人志がルーツの言葉」を特集。たとえば関西芸人用語だった「スベる」(関東では「はずした」などを使っていた)をフリートークなどで使い一般に広めたのが松本だといわれている。「空気を読む」や「ダメ出し」、「ヘコむ」、「逆に」などの現在の使い方も松本が広めたものだという。また「ドSとドM」をポップな言葉にしたのも松本。

ほかにも「(会話の)引き出し」、「ドヤ顔」、「イラッとする」、「(ネタが)被る」、「絡みにくい」、「ドン引き」、「食い気味」、「週8」、「(セリフを)噛む」、「グダグダ」、「サムい」、「ブルーになる」、「ハードル上げる」などの言葉の解
釈や使い方、言い回しを現在のものにしたのも松本だという。

そのすべてが松本の“発明”かはわからないが、浜田も「前からある言葉でも全然使ってなかったから」「俺らチラッと大阪で聞いてたけどそっから聞かへんようになった言葉をええ使い方してた。ここでこの言葉使う?って」と証言。松本も「ない言葉じゃなくてあったんでしょうけど、あんまりそんなふうに使わなかった言葉」だったと言うように、松本がぴったりな場面でそれまでよりもしっくりくる言葉を繰り返し使ったことにより、急激に世間に浸透したのは間違いないだろう。「グダグダは普通グズグズって言ってた。でも俺の感覚では、グズグズよりグダグダのほうが、もっとグズグズな感じがする」という松本の独特で鋭い言語感覚はやはりずば抜けている。

『このランキング異議アリ!』

世の中にさまざまあるランキングに異議を唱える者が、自分がランクインさせたいものをプレゼンし、司会で審議委員長のバカリズムが「認定」か「却下」を下す番組。

「金八先生名シーンランキング」は1位から「私は女じゃない!」「腐ったミカン加藤の逮捕」「ドラッグを憎め!」「十五歳の母出産」「健次郎の涙」というものだが、これに異議を唱えるのがなんと武田鉄矢本人。彼は「十五歳の母(その3)」をランクインさせたいと主張する。

「十五歳の母」といえば4位にランクインした杉田かおるが出産したシーンが有名だが、武田は出産後をチョイス。金八は「説教とかしていて、とある瞬間から人相が変わる」のが特長のひとつだが、「それを初めてやったシーン」だという。金八先生のセリフの言い回しがアドリブになった初めてのシーンだそう。それをプロデューサーが絶賛したため、演技の方法論が変わり「金八先生像が芽生えてきたんじゃないか」と武田は言う。実際、第6シリーズで生徒役だった斉藤祥太は「全部、同じニュアンスのことを台本とは違うセリフで言う」と武田の演技を語っている。

武田が言うその場面は「愛の授業をすべき」と主張する金八と、性教育など早過ぎるとベテラン教師が対立し議論を交わすシーン。標準語で語っていた金八が途中から「今逃げ出したらいかんのです。何が悪いか? なんを大事にせないかんか」と博多弁になっていく。博多弁になったことで「言葉が持っているキザさがなくなっていく」と武田は言う。この本人からの意義をバカリズムはなんと「却下」。「この回はやっぱ杉田かおるさんだと思う」とその理由を語る。

すると「もう一個だけ異議申し立ていい?」と武田はなおも異議申し立て。金八と脇役生徒たちがトイレ掃除するだけのコメディ回「クソまみれの英雄達」を挙げる。「物語が劇場型じゃなくてささやかなエッセイでも成立し得る」と示した回だと主張。これにはバカリズムも「僕、連続ドラマの脚本とか書いたことあるからわかるんですけど、狭間の回というか何も進展しない回がある。まさにそれ。何も進展しないんだけど現場が一番楽しそうな回」と自身の体験も踏まえて語り「僕は1位でもいいと思います。金八先生好きなんですけど、重いテーマの回があんまり好きじゃなかった。どっちかって言うと楽しそうにしてる回が好きだった」と「認定」。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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