吉田拓郎が絶賛する、木村拓哉とあいみょんのギターの持ち方(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。


『LOVE LOVE あいしてる』

KinKi Kids、吉田拓郎らによる“伝説”の番組の復活にして最終回。ゲストは、吉田拓郎が指名したという木村拓哉やあいみょん。「僕はとにかくカッコいいこととかが大好きなわけ。ギターをカッコよく弾かない奴は嫌いなの、正直言って! その意味から言うと、木村拓哉という人はなんか知らんけど形がいいんだよ」と吉田。あいみょんに対しても同様に「あいみょんはギターの持ち方がいい」「楽器は格好だもん。カッコつけなきゃダメ! あいみょんはカッコいい」と、「カッコいい」へのこだわりをうかがわせる。

木村がメンバーと一緒に歌うのは「硝子の少年」。だが、歌メインではなくバックダンサーとして参加するのがモチベーションだそうで、当初スタッフやKinKi Kidsが提案した歌割りを変更したそう。木村に加え、当時バックで踊っていた生田斗真と風間俊介も参加。超豪華なバックダンサーチーム「ジャニーズシニア」がすご過ぎた。 

メンバー全員で歌う曲を剛は「人生を語らず」を選びリハーサルもしたそうだが、カットになったという。その理由を「本当のこと言うの? ふたつの答えを持ってる」と答える吉田拓郎。番組用の答えは、リハの出来が悪かったこと。剛のカヴァーバージョン風にやっていくには時間がかかると思ったから「やめない?」と言ったという「これぞ吉田拓郎」という回答だが、本音は「もうこの曲、飽きてるのよ!(笑)」。

結局、光一提案の「落陽」を歌ったが、これも当日の朝、吉田から「半音上げよう」という突然の提案があったため、2回撮り直したそう。結果、50分押しで明石家さんまがサプライズで登場。吉田の気まぐれっぷりを表すエピソードして、『さんまのまんま』に出演するはずが入り口まで来てUターンして帰ったという伝説的な話をさんまが紹介。光一「そういうのがあったから、番組が始まるときにすごい言われたんですよ。拓郎さんに粗相がないようにって」さんま「(俺たちに)粗相はないよ!(笑)」。

このさんまも含め、KinKiや篠原ともえらから語られるエピソードの端々に吉田拓郎のこだわり(や、ときに気まぐれやわがまま)で番組が形作られていっていたのだなというのがよくわかる。そのまま30分以上しゃべっていたそうだが、長すぎると登場した木村拓哉に抱きかかえられながら「まだやー!!」と叫びながら連れて行かれるさんまが楽しそう。。

この日に印象的だったのは、吉田拓郎による若い世代への賛辞。

あいみょんに対しては「吉田拓郎の詞って絵日記だって言われたの。作詞ってそれまでは月がどうした、星がどうとか、花鳥風月みたいなので大袈裟な詞が多かったんだけど、急に自分の身の回りのことばっかりをテーマにするようになったから、絵日記みたいでつまんないって言われた時期があったの」と自身のことを回想した上で「その日常をすごくうまく描く人。その上で見方がやっぱ現代なわけ。それが鋭いんだよね、この人の詞は」と絶賛。

最後の新アルバムを作ったのは「彼女たちの刺激を受けたのは間違いない。言葉遣いが僕らの時代より自由。自由っていうのはやってみると気持ちいいもんだなあって作りながら思って。そういうのをあいみょんから教わった」などと最上級の言葉を贈る。

KinKi Kidsに対しても「君たちに恥ずかしいものを作っちゃいけないっていうのが芽生えて、君たちがもしかしたら喜んでくれるかもしれないっていうのが大テーマになってる。そう考えたときから、音楽が降りてきた」と語り、番組最終回のために詞を書き下ろし、KinKi Kidsが作曲した「Sayonaraあいしてる」について「光一と剛が俺に書かせてるのよ。これは断言しとく。俺に詞を書かせてるの、君らは。自分たちはそういう意識はないと思うけど、間違いなくKinKi Kidsが僕に曲を作らせてる」「俺にとって君たちは、ホントに大きい存在なんだよ。感謝の気持ちはものすごく大きい」とまっすぐ言う。とても素敵な時間だった。

そして最後に披露された「Sayonaraあいしてる」。それを演奏する吉田拓郎が自身のこだわりのとおり、たまらなくカッコいい。素晴らしい「最終回」だった。


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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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