写真を撮ることにこだわりを持つアーティストやお笑い芸人による連載「QJWebカメラ部」。
金曜日はザ・マミィ林田洋平が担当する。『キングオブコント2021』では、準優勝に輝いたザ・マミィの頭脳、林田。そんな彼は、自身のインスタグラムで発信するエモーショナルな写真も話題となっている。林田が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
巣ごもりそば
昨日食べた。先週、こちらの連載でツバメの巣にウキウキしている様子を書かせていただいたが、その興奮冷めやらぬうちに、ふと入ったそば屋で見つけた。

巣ごもりそば。
もう「巣」って聞くだけでワクワクしちゃう身体になっている僕は、メニューにあった「巣ごもりそば」がなんだかわからなかったけど、声高に注文した。
待っている間、どんなそばが来るのか想像をふくらませていたが、そんなことよりも、右斜め前の席でおじさん3人と若い女性ひとりが昼間から酒を飲んでいて、それが気になった。
それぞれの家族の話も出ていて、やましい関係ではないことが容易に想像できた。その女性は、主にそれぞれのおじさんの仕事の話を上手に聞きながら、ただかしこまるばかりでなく、たまに小気味よくイジってみたり、話の振り方も絶妙である。
なるほど、これは長いこと行きつけのクラブのお姉さんに違いない、と結論づけようかとしているところに、巣ごもりそばが運ばれてくる。何がどう巣ごもりなのかはわからないけど、おいしそう! 長芋に昆布、その上に温泉卵が乗っている。夏も近いこの季節にぴったりの、冷やしそば。粘り気がすごくて信じられない大きさの「ズルズル」が出てしまった。
斜め前の、きっとクラブのお姉さんと目が合う。
飲食店のテーブルはひとつの世界だ。ひとりでわからないそばを食べる僕だけの世界。3対1で昼から酒を楽しむおじさんとお姉さんの世界。目と目が合って一瞬つながった。そしてもちろん何があるでもなく、それぞれの世界に戻っていく。
僕は少しズルズルを抑えて、お姉さんはまたおじさんの話に耳を傾ける。
おそばもおいしくて、よいそば屋だった。

加賀翔(かが屋)、中山莉子(私立恵比寿中学)、セントチヒロ・チッチ(BiSH)、長野凌大(原因は自分にある。)、林田洋平(ザ・マミィ)、森田美勇人が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。
関連記事
-
-
「奪われたものは取り返すつもりで生きていく」FINLANDSが4年ぶりのアルバムで伝える、新たな怒りと恥じらい
FINLANDS『HAS』:PR -
牧場バイトからアイドルへ、かてぃが歩んだ多彩な仕事遍歴
求人ボックス:PR