スタッフと飲みに行かない理由は「敵対視しているから」
──田中さんは、昔こそ「キモかわいい」の印象が強かったですが、今では芸人として「かっこいい」イメージで世間に浸透していますよね。小宮さんも、歯が欠けているころはビジュアル的にマイナスなイメージもありましたけど、今では世間の目も変わってきている気がします。
小宮 あんまり変わらないですよ。今でもかっこいいとかはあんまり言われないし。菅田将暉くんとか見ると、やっぱりモノが全然違いますから……。
──比べるところが(笑)。
小宮 ビジュアルでの困惑はないけど、後輩が出てきて責任を負うようなポジションが多くなってきたところの変化はあります。それが今、大変な部分で困惑してます。一番後方から行ける立場じゃなくなってきたけど、後輩がイジられているのをただ頷くだけっていうのもまだむず痒いというか。
──なるほど。田中さんは未来のポジション的に違うとのことでしたが、ほかにこうなりたいと考える方はいらっしゃいますか?
小宮 BS-TBSの『街中華で飲ろうぜ』っていう、玉袋筋太郎さんが街中華に行って瓶ビール飲んでハシゴするだけの番組があるんですけど、ああいう番組を持ちたいなって思います。……ひとりロケなんだけど(笑)。でも、それって初めてのスタッフさんじゃないだろうし。ゴリゴリのMCとかは、そんなにかな。
──その未来予想図には、相田さんはいない……?
小宮 あぁ(笑)。コンビでもいいっちゃいいけど(笑)。コンビだったら、『モヤモヤさまぁ~ず』(テレビ東京)みたいな感じの番組を、気心の知れたスタッフさんとやりたいですね。
──とにかく気心の知れたスタッフさんとがいいんですね。
小宮 そうだなぁ(笑)。スタジオだったら気心が知れてなくてもいけるけどねぇ……。
──ちょうど、相田さんと小宮さんの人間関係についてもお話ししました。小宮さんは心を許す人の範囲が狭いと。
小宮 狭い……かもしれないなぁ。前は「人見知りなんで」とか自分で言ってたけど、「人見知りではないっしょ」ってまわりから言われることも多くて。ダウンタウンの松本(人志)さんとお話ししたときも「小宮は人見知りとかの次元じゃないよ。……歪んでるんじゃない?」って言われて(笑)。
お笑いが好きなんで、芸人さんと話しててもトークのオチとかがわかるんですよ。だから、予想できないことが起きると僕は笑います。だからこそ、友達は変わった人が多いのかもしれないです。予想つかないことをやってくれたほうが、お笑いっておもしろいから。
──相田さんは、「小宮はお金も、地位的なものも、自分より圧倒的に下な人(なおかつクズ)が好き」とおっしゃっていました。
小宮 ウエストランドの井口(浩之)とか、ともしげも圧倒的に下ではあるけど、今はお金も地位もそんなに気にしないかな? ともしげは、お笑いでは圧倒的に僕のほうが上なのにピンときてないんですよ。だから、ライブでも僕のほうが笑いを取って何度も引き離して「お前とは違うんだよ」って10年間くらいずっと言ってるんですけど、それでも「ライバルだよね」って言ってきて。アイツがポンコツでわからないから、お金でわからせようって思って奢ってるんです(笑)。井口は認めてくれたんですよ、「小宮さんのほうがおもしろい」って。
──友達の上下関係って、わからないといけないんでしょうか?
小宮 僕はわからなくてもいいんですけど、ともしげがライバルって言ってこっちに干渉してくるから、引き離すしかないと思って(笑)。5年くらい前についに認めたんで、そこからはともしげとか仲間は売れてほしいと思ってます。今では、地位が一緒くらいで嬉しいです。地位が低いっていうか、ヤバい人が好きなんですよ。で、ヤバい人って売れないから、地位が必然的に下なのかな?って思ったりね(笑)。
──下の人が好きってわけではなくて、ヤバい人が好きなだけなんですね。
小宮 そうですよ(笑)。高校時代の友達は、めちゃくちゃお金持ちのヤバい人もいるし。そのヤバさも好きなんですよ、だからお金がとかじゃない。
──小宮さんの芸人仲間以外のお友達の話って、あまり聞いたことがなかったです。
小宮 高校時代に留年したとき、唯一しゃべってた友達。そいつもずっと、ちょっとイジメられっ子だったな。まあ、芸人よりもしゃべる量も飲む回数も少ないけど、連絡取ったりします。
──スタッフさんとはあまり飲みに行かないんですよね?
小宮 連絡先をあんまり知らないっていうのもあるのかな。ラジオの作家さんとかとは何回か飲みに行ったこともあるけど……そういえば、なんで僕スタッフさんと飲みに行かないんだろうな?
──そこ、聞きたいです。
小宮 スタッフさんのことを、まだちょっと敵対視してるかもしれないです。番組に出てあんまりしゃべれなかったら、スタッフさんに「ギャラ泥棒」とか悪口言われるんじゃないかな?とか。でも最近、加地(倫三)さんとか佐久間(宣行)さんにそうじゃないってことを教えてもらいました。番組でしゃべれない人がいたら「なんだあいつ」じゃなくて「しゃべる隙間を与えられなくて申し訳ない」と思うって。それを前から思ってくれてる人となら飲みに行きたいなと思うけど、まだちょっとわからないから敵だと思っちゃう。芸人さんは仲間だと思ってます。
小宮が“普通”の話をしなくなったトラウマエピソード
──相田さんが、小宮さんは「共鳴できる人を探している」と。
小宮 まあねぇ~。大悟さんの話に繋がりますね。
──小宮さんの中で、共鳴できる人のトップは相田さんでしょうか?
小宮 それって、笑いのツボが一緒ってことですよね。それはたぶん、相田が一番だと思います。中学からの同級生ってところがかなり大きいと思うなぁ。今まで培ってきたものとか見てきたものが一緒だと、ツボが一緒になるっていうし。笑うツボが一緒の人といると楽しいから、それで一緒にいたっていうのはあります。あと、物事を見てる角度が一緒。
──相田さんが一番話しやすかったですか?
小宮 ファーストコンタクトは、話しやすい感じではなかったかな。真逆な感じの人だと思ってた。地元とか環境も違うし、器用でクラスの1軍の雰囲気を持ってたから、最初は僕的に一個壁があって緊張してたなぁ。でも、しゃべっていくうちにだんだんとツボが一緒になってきて楽しくなって、徐々に仲よくなっていきました。
──帰り道に相田さんが抜けて3人からふたりになった瞬間、カバンから『ジャンプ』を取り出して読み始めたエピソードもお聞きしましたが、一体なぜそんなことを……?
小宮 気まずかったから(笑)。ふたりきりになったらジャンプ読むって……今では考えられない、失礼だもんね(笑)。それこそけっこうモテる人で、どうやってしゃべっていいかわからなかった。相田と僕が仲よし、その人と相田が仲よしって関係だったから。帰り道の妙でふたりきりになっちゃったけど、好きなバンドとかも違うし、取っかかりがなくて大変だったな……。7分くらいなんだけど体感1時間くらいに思えて、本当つらかったですよ。
──小宮さんは今あまり、まわりの人に話しかけないと。
小宮 それは相田にはね? 僕、けっこう不器用な部分があるんですよ。収録前はけっこう考え込んじゃうから、それが大きいかも。
──話すこと自体は、おそらく好きなほうですよね?
小宮 そうなんですよ。意外とおしゃべりで、心許した人とかにはしゃべるからねぇ。
──ただ、スタイリストさんとかが……。
小宮 “普通”の話のくだりね(笑)。これ、けっこう根が深いんです。中学時代、おもしろくないと仲間外れにされるトリッキーなグループにいたんです。普通の話してもオチがないと、仲間外れにされるのよ。そこからずっとそういうのを考えるようになった。
──すごいグループですね。お笑いの養成所みたいな……。
小宮 そうそう(笑)。8人で歩いてて、角曲がったら誰もいないみたいな。「あいつおもしろくないから、もういらない」って。
──それが、トラウマのような?
小宮 そうなんだよ……。それが大きいです。「で?」みたいな。
──怖い(笑)。
小宮 そう、怖過ぎるよ今思っても(笑)。でも、あれが嫌だったってわけじゃなくて、あの経験があったから今があると思うからいいけどね。
──でも、今となっては逆にまわりから小宮さんがそう思われることもあるのではないでしょうか?
小宮 確かに(笑)。「怖い」って言ってくる後輩もいます。普通の話したらやばいかもって。「で、オチは?」こそ言わないけど、そういうような目をしてるって(笑)。
──そんなことはないですか?
小宮 そんなことはないですよ、まったく。でも「なんで聞いたの?」とかは言っちゃうかも。天気の話も「このあとどこどこに行かなきゃいけないんですよ」とか続きがあるならわかるけど、ないなら生産性がないって思っちゃう。
──それが「で?」に繋がると。
小宮 「で?」って言ったほうがおもしろいと思うんだよね。「そこまで求めてないから!」でオチるじゃないですか。だからそこに食いつくんですけど、その感覚ってみんなにはない。でも、そこが僕の昔からの武器だと思うんですよね。童心があって、ガキっぽい性格。
──ちっちゃい子の「なぜなぜ期」のような。
小宮 そうそう。大人数でいても、ひとり笑ってなかったら気になって「あれ? 笑ってないね?」とか聞いちゃう。これはナイーブだからっていうのがあるかもしれない。
──気遣いな性格?
小宮 気遣いというか、臆病なんですよね。昔のその経験があったから、相手が笑ってないと怖いんです。今まで、この性格は「なんでだろう?」って思ってたけど、今日しゃべってみて気づきました。あの経験があるからだ……って。
相田はタレントとしての自覚が足りない?
──相田さんが、ムチャ振りされたときには小宮さんが助けてくれるとおっしゃっていました。
小宮 それはお互いそうじゃない? コンビですから。
──逆に、相田さんに助けられた経験はありますか?
小宮 けっこうありますよ。収録中、「これ、ウケるかな?」って思いながらオチに向かって話してる最中、ちょっと早めに相田が笑ってくれる。僕があんまり表情が豊かじゃないのもあって笑いどころがわからないときに、相田が笑ってくれることによって合図になるんです。
──相田さんって、小宮さんの話で本当によく笑いますよね。では、相田さんから出てきた小宮さんに対する不満に対して聞かせてください。楽屋での場所取りについて、小宮さんが場所を取りすぎだと……。
小宮 本当に不器用なんだよ。一個何かを考えるとすべてどうでもよくなっちゃう。収録のこととか考えてると、荷物の場所とかまで配慮できない。
──そういう理由だったんですね。
小宮 言われてみたらわかるもん。わざとなわけないし(笑)。
──相田さんの衣装の上に、小宮さんが衣装を置くのもその理由でしょうか?
小宮 それもそう。もうちょっと器用だったらいいんだけどね。マジで「収録で仲間外れにされないかな?」しか考えてないんです。おもしろくないと思われたら友達になってくれないかもっていうのをずっと考えてるから、そうなっちゃう。
──だいぶ根深いですね、その思い出が……。
小宮 そうなんですよ。中学高校で形成されたものがずっと続くって言いますもんね。
──小宮さんの貧乏ゆすりもだいぶ気にされていました。
小宮 それはストレス(笑)。飛行機の話ね……ふふ(笑)。
──逆に、相田さんへの不満はありますか?
小宮 前までは「テレビで全然しゃべらない」とかは思うときあったけど、もう慣れてきたからそんなこともないし、今はいいバランスになってるから不満はないかも。でも、フランクだからこそスキャンダル的なのが心配になるときはあります。なんて言うか……欲に忠実? ストレートっていうか、かわいい子がいたらかわいい子と飲むし。普通は「大丈夫かな?」って思うじゃん(笑)。
──タレントとしての自覚みたいなものが、悪い意味でない?
小宮 そうそう。ちょうど昨日スタッフさんと相田がしゃべってたのを聞いてたんですけど、居酒屋で男ふたりで飲んでたら相田のことを見てくる綺麗な方がいて、サインを求めてきたらしいんですよ。そしたら箸入れる袋にサインしたらしくて、それを聞いてたマネージャーが「もうちょっと値打ちこいたほうがいいですよ、そんなことまでしてるんですか?」ってちょっとキレてました(笑)。それでその後DMで繋がって……。
──記事にできないです(笑)。
小宮 別にいいんじゃない? 大丈夫ですよ(笑)。
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