2025年『M-1グランプリ』で初めて決勝に進出しためぞん。それまでの最高成績は3回戦、前年は2回戦で敗退していたふたりの大躍進は、お笑い好きの間でも話題になった。
過去のインタビューでコンビの強みについて、「吉野のやりたいことが多く、それを原がすべて受け入れてくれること」と答えていたふたり。“M-1ファイナリスト”となった今、そのバランスや、お互いの夢や目標に変化はあるのか。決勝進出後の変化と、活動の幅が広がった今、お互いのやりたいことを聞いた。
目次
『M-1』との向き合い方に変化は?
──これまで最高成績3回戦だった『M-1グランプリ』で、2025年ついに決勝へ。大会から3カ月(取材時)が経った今、改めて躍進の理由はどこにあったと考えていますか?
吉野おいなり君(以下、吉野) 決勝に行ったタイミングでは、各所で「支えてくれた人、『おもしろい』と言ってくれた人のおかげ」と話していたのですが、今思うのは……普通に実力でしたね。
原一刻(以下、原) ヤバッ!
吉野 「『M-1』に見る目がなかったんだな」という心境に変わっています。「完全に自分の力だったな」って。
原 どう思われたいんだよ! これがコンビの本音だと思われるのが怖いですよ。
吉野 (笑)。
原 僕はついていっただけですが、吉野ががんばってネタを書いてブラッシュアップしてくれたからだと思いますよ。決勝の漫才に関しては、毎回「こういう言い方にしてほしい」「これどう思う?」と聞かれていたので、このネタに懸けているんだなと思っていました。
──吉野さん的にも「絶対に決勝へ行かないと」という思いがあったんですね。
吉野 そうですね。その前の年は2回戦で負けたから、追い詰められていたのかもしれないです。これで結果が振るわなかったら「漫才がダメな人たち」って烙印を押されちゃうので、がんばりました。でも3カ月経って思いますけど……『M-1』側が勘違いしていたし、僕らは何も悪くなかったなって。
原 これ絶対に書かないでください。記事で残ると本当になっちゃうから。
──(笑)。原さんは予選を勝ち上がっていくなかで、どんな心境だったんですか?
原 これまで「『M-1』は俺らみたいなネタを評価しない」という変な理由をつけて正当化していたので、勝ち上がっても怖かったです。「今年行けるかも」と思って落ちると、そのぶんの反動で嫌な気持ちになっちゃうので「まあまあ……」みたいな。
吉野 僕ら『M-1』は好きなんですけど、そもそも「やりたい漫才」とか「したいこと」が前提にあるべきだと思っているので、「『M-1』に向けたネタ」が得意じゃないんです。ただ、2回戦で落ちたときに「好きじゃないからやらなかったけど、もうちょっと向き合ってみるか」とスタンスを変えました。
原 『M-1』がすべてではないというか。自分たちがおもしろいと思うことをやった上で、いい結果が出たら一番いいなとは思っていましたけどね。
吉野 ミキの昴生さんがオフィシャルPVで、「『M-1』のために漫才をするんじゃなくて、漫才のために『M-1』をしてほしい」とおっしゃっていましたけど、僕はむしろ逆で、「漫才のために『M-1』するんじゃなくて、『M-1』のために漫才があってほしい」。昨年はそう切に願っていましたね。
原 逆に行くのヤバイって!
──ご自身が伝えたいことやテーマは芯としてありつつ、『M-1』にアジャストしていくのがいいんですかね。
吉野 そうですね。結局、僕らが『M-1』のためにがんばったことって「アニメの名前を入れない。固有名詞を出さない」っていうレベルなんです(笑)。やりたい漫才の中で「『M-1』でも許されそうなネタ」をブラッシュアップしました。決勝でやった漫才は、ネタの見せ場で「逃げろ」ってうしろに跳ねる場面があるんですけど、そのセリフを入れるかどうか原に相談したら、「え?『逃げろ』?いやそれちょっと……」って冷笑してきたこともありましたね。
原 これも書かないでください。
吉野 ライブでやってみたらウケて、それ以降あそこが覇権を握っていたので、「あ、原のお笑いの感覚ってもう死んじゃったんだな」って思いました。
原 なんてこと言うんだよ!
──2026年の『M-1』は好きな漫才で臨めそうですか?
吉野 これまで『M-1』には見向きもされなかったので、最後に歌うとか盛り上げる必要があったと思うんです。でも、決勝に行って今年は多少『M-1』という概念に前のめりに見てもらえるので、より自分たちがおもしろいと思うネタをやってもいいのかなと思っています。

(よしの・おいなりくん)1994年2月3日生まれ、福岡県出身。シェアハウスをしている住岡、竹内とともにやっているYouTubeチャンネル『板橋ハウス』のメンバーでもある

(はら・いっこく)1994年7月22日生まれ、宮崎県出身。趣味は野球観戦やサウナ
新キャッチコピー「今もなお、小さい箱で全力を出しているふたり」
──決勝の舞台に立って、そこで得たスキルはありますか?
吉野 『M-1』後は大人数のお客さんがいる舞台が増えたので、声の出し方とか勉強になっているのかなと思います。
原 『M-1ツアー』で、2000くらいのキャパのところによく行かせてもらうんですよ。
吉野 僕らもともと喉を酷使するネタが多くて、決勝でやったネタも喉が壊れる仕組みになっていたんです。1回やったら3日間はインターバルを空けていたのに、最後のほうは禁忌を犯してネタを叩いていたから、喉が壊れちゃいました。今も変わらず叫んでいるので、「ふたりの喉に未来はない」って感じです。
原 大きい会場でやるときも「ピンマイクで声を拾っているから、ちょっと抑えるか」みたいなのは気持ち悪くて、関係なく全力でやっちゃいますね。
吉野 逆にマイクが生きていない50キャパくらいの舞台で、普段どおりの漫才をやっていると、抜いているような気になって、いつもより大きい声を出しちゃいます。だから、小さいキャパでも声を飛ばすようになりました。全部全力でやっちゃうので、いいあんばいがわからないんですよね。
原 全力でやらないのは違うなって思っています。それでおもしろいと思っていただけたので、全力でしなくなったら終わりだな、と。
吉野 「今もなお、小さい箱で全力を出しているふたり」。
原 見出しつけなくていいわ。

吉野の夢は「善のひろゆき」
──2024年のQJWebで実施したインタビューでは、コンビの強みとして吉野さんが「僕のやりたいことが多いので、それを原がすべて受け入れてくれること」とおっしゃっていました。そのコンビバランスに変化はないですか?
吉野 ひとつも変わっていないですね。現状維持です。
──当時は、ラジオ『めぞんの「ねこ日記」』(stand.fm)が始まったタイミングでした。吉野さんが30分アニメの話をして、原さんがただ聞いている状態だとおっしゃっていましたが、そういう部分も変わらずですか?
吉野 そうですね。最近は鉄筋コンクリートの部屋に目隠しをした原を縛って、アニメの話を延々聞かせる動画を撮っているので、悪化しているのかもしれません。
原 「拘束しないと聞かないヤツ」みたいな扱いをされるんですけど、別に聞くからっていう。
──ファイナリストになり、環境や立場も変化していると思います。そんななかで「昔から変わらずやりたいこと」を教えてください。
吉野 僕は『電車男』にずっと憧れていて、今も変わらずネットのヒーローになりたいです。それこそ『M-1』で「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」(ドラマ『電車男』のED曲)が歌えたのもうれしかったですね。現実世界は無視されていいので、「ネットだったらこいつを応援する人」になりたい。
原 逆行してるやん。
吉野 あとは「善のひろゆき」になりたいです。
原 ひろゆきは別に悪じゃねーだろ。ただマジレスなだけ。
吉野 ネット上でみんなが楽しく集まれる場所を作ったり、ABEMAの番組に呼ばれたり……。
原 めっちゃ、ひろゆきじゃねーか。
吉野 ラノベを書かせてもらっていますけど、机に向かってやる創作も好きなので、そういったこともしていきたいです。仕事とか関係なく、ネットで文字を書き続けたい。公然性のない場所で思想を文字にしたいって感じですね。
──お会いしたい人はいますか?
吉野 大好きなアニメ『マクロスF』のランカ・リーの声を務めている中島愛さんや、ライブに行くほど好きなシェリル・ノームの歌を担当しているMay’nさんには死ぬまでにお会いしたいです。でもお会いする恐怖もあるというか、何かで偶然一緒になれたらいいなと思います。
──仕事ではなく?
吉野 そうですね。流れ星を見に行った丘で出会いたいです。
原 お前が流れ星を見に行くことねーだろ。
吉野 SNSで僕が応援していることをMay’nさんが認知してくださったとき、急激な恐怖が襲ってきて……。普段から過激な発言とか調子に乗ったボケをしすぎているので、そういうのを見られたくないですね。特にこの記事の前半は見られたくないです。
原に嫌がらせをするのが一番おもしろい

──原さんはいかがですか?
原 やっぱり野球少年だったので、松井秀喜さんに会いたいです。もっとがんばって野球の仕事とかいただけるようになったらお会いしてみたいです。
──野球仕事だと、『M-1』で活躍したエバースさんやバッテリィズさんが始球式をされていました。
原 僕、横浜DeNAベイスターズが好きなんですけど、ドンデコルテの小橋(共作)さんも好きなんですよ。小橋さんがベイスターズ戦で始球式をすると聞いたとき、「『M-1』以外でも競争ってあるんだ」と思いました。
──芸人になってできた「新しい目標」があれば教えてください。
原 東京で成功した人が、地元で仕事をしているのは憧れでした。親も喜んでくれると思うので、地元・九州でテレビ番組やラジオ番組をやってみたいです。
吉野 僕は最近、横になった原を3人で持ち上げて、ギリギリ痛くない高さから落とすことにハマっています。これが人生でトップクラスにおもしろいので、これに絞っていこうかなと思っていますね。
原 絞んな! 全然痛いところから落としちゃってるから。
吉野 コンビだとやりづらいんで、これからふたり増やして4人組になることも視野に入れています。『M-1』では、ネタの最後に新メンバーのふたりに出てもらって原を落とそうかなと。
原 『M-1』をナメるなよ。
吉野 原はこうやって言いますけど、「逃げろ」を否定したヤツなんで。
原 もしこれがお笑いの正解なら、僕はこの世界を辞めます!
吉野 コンビを組んだときから、原に嫌がらせするのが一番おもしろいし、それが9年経ってもマジで変わらないんですよ。今は縛ってアニメの話を聞かせるとか、ギリギリの高さから落とすだけですけど、まだ使えるものがいっぱいあるんで、幅を広げていきたいです。
原 吉野はめぞん以外にも『板橋ハウス』だったり、ラノベを書いたりしているので、僕もひとりでも何かやりたいなとは思っています。最近、好きなサウナのお仕事をいただいたときに「こんなことになるんや」と思ったんですよ。ファイナリストになったことで、いただけたお仕事もあるので、『M-1』ってすごいなって改めて思います。

家族で見ていたステージでついに単独ライブ。のはずが…
──そんな『M-1』を経て、5月24日(日)、ルミネでは初となる単独ライブ『吉野原ペアvs地獄の三人衆』が開催されます。
原 僕、家族旅行のスケジュールに必ずルミネtheよしもとが含まれていたので、「テレビに出てルミネに出るのが芸人」というイメージがあったんですよ。芸人になったときに「ルミネに立ってみたい」と思っていたので、本当にうれしいです。
吉野 原の思い入れのあるルミネで単独をやれるのがうれしいです。それなのに地獄の三人衆が来ちゃった……本当に悔しいです。ただ、「芸人としてのステージ」を上げる上で、ヤツらと戦うのは絶対に避けられなかったので仕方ないです。
原 避けられるだろ。
吉野 内容的には、地獄の三人衆の中からひとり出てきて原と漫才、その次に僕たち吉野原ペアが漫才をして……と交互にネタをしていくので、原が6回も漫才をしなきゃいけない。原の負担が大きい単独になっちゃうんで、それは申し訳ないなと思っています。
原 お前も6回するんだよ! しかも着替えとメイクを高速でやらないといけないから、お前のほうが負担デカいだろ。
──夢見てたルミネの初単独が地獄の三人衆とのバトルになりました。原さんの心境も教えてください。
原 予想だにしなかったです。かっこいい音楽と映像が流れて漫才を6本やる。最後グッズのTシャツを着て、アフタートークして客席と写真を撮る。ロビーには、僕らの等身大パネルがあって、みなさんがそこで記念撮影をする。新宿駅には、めぞんグッズを持って帰る人があふれている! そんなイメージをしていました……。
吉野 原のルミネ初単独をめちゃくちゃにしやがって! 絶対に許さないです。
原 どんな単独になるんだよ……。

めぞん単独ライブ『吉野原ペアvs地獄の三人衆』
日時:2026年5月24日(日)開場18:30/開演19:00/終演20:15
会場:ルミネtheよしもと
配信チケット:2,000円(税込)
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