東京吉本の若手芸人が所属する「神保町よしもと漫才劇場」から、今押さえておくべき芸人を紹介する連載「レコメンド神保町」。前途有望な若手芸人が日々、切磋琢磨しているこの劇場の中でも注目の芸人とは。
第8回は、11月9日に行われた『マイナビ Laughter Night 第10回チャンピオンLIVE』で「マイナビ賞」を受賞しためぞんが登場。最近、ラジオも始めたふたり。コンビの主導権を握る吉野裕介の暴走は勢いを増しているという……。
めぞん
吉野裕介(よしの・ゆうすけ/1994年2月3日生まれ、福岡県出身)と原一刻(はら・いっこく/1994年7月22日生まれ、宮崎県出身)によるコンビ。東京NSC22期出身
めぞんの決定権は変わらず100:0
──まずはおふたりのコンビとしてのアピールポイントを教えてください。
吉野裕介(以下、吉野) そうですね……僕のやりたいことが多いので、それを原がすべて受け入れてくれるっていうのはコンビとしての強みですね。
原一刻(以下、原) 芸人になったときは僕もこういうことをやりたいとか、こういう芸人になりたいみたいなのがあったと思うんですけど、なんか吉野の方向性を受け入れていくうちに、どんなことをしたかったのか思い出せなくなってしまいましたね。
吉野 お互い同じくらいやりたいことがあったら衝突すると思うんですけど、僕らは本当に衝突することがないです。原の自我がないのは本当にありがたいし、うれしいですね。
原 自我がないわけではないです。
──2024年1月に発売した『神保町よしもと漫才劇場4周年記念ブック「大舞台で響かせたい」』でお話を伺ったときも、コンビとしての方向性は吉野さんがすべて決めているとおっしゃっていました。それも変わらないですか。
吉野 そうですね。7月からコンビでラジオ(『めぞんの「ねこ日記」』/stand.fm)を始めたんですけど、40分ぐらいあるうち、たぶん30分は僕が好きなアニメの話をしてます。原も全部聴いてくれるんで、アニメに興味ない人とかはラジオを聴くのをやめちゃったりもしてるんですけど……。
原 本当だったら僕が止めなきゃいけない立場だと思うんですけどね。でも、活動していく中で大事なことかなとも思っていて。自分たちの好きなことを好きでいてくれる人の濃度を上げたいというか……。たとえば漫才を見ておもしろいなって思ってくれた方がほかの姿を見たときに、ネタをやってるときのほうがいい、みたいに思ったりするじゃないですか。でも、できれば僕らは僕らの全部を受け入れてほしいんですよね。
吉野 かなり時代と逆行してますよね、僕はそうは思わないです。
原 おい(笑)!
ようやくバレ始めた原の変な部分
──原さんはこれまで何かに熱中した経験はないんですか。
原 ないですね……。学生のころも中高の6年間で部活を5個やってるんです。ラグビーを半年で辞めて野球をやって、高校に入ってからは空手を1年で辞めて、ロボコン部も半年で辞めて演劇部に入って……。
吉野 本当にありがたいです。隣にいるのがこういうやつでよかったなと思いますね。
──吉野さんは学生時代から変わらずアニメやゲームが好き。
吉野 そうですね。最近、僕が中高生ぐらいのときに書いてたなろう系小説(『小説家になろう』に投稿された小説)がファンの人に発掘されたんですけど、何ひとつ変わってなかったですね。「威蘇迅(いそじん)」っていう名前でネット上に生息してたんですけど、それをラジオで話したら、ファンの人が見つけて。
原 僕はそれを読んだとき、こいつはやりたいことがすっとブレずにあるんだなってうらやましくなりました。自分が好きなものにこんなにもずっとまっすぐな人間がいるんだって。
──でも、その違いがコンビのバランスのよさにつながってるいんですね。アニメ好きな吉野さんのイメージがそのまま、めぞんのイメージになっていますし。
原 吉野も最初は自分がオタクだっていうのを言っていいのかな、ネタにしてウケるのかなって思ってたんですけど、それを笑いにしていく技術がどんどんついてきて、最近はよりここを武器にしていこうっていう覚悟を感じますね。
吉野 自分が好きなことをしゃべってウケなくて場が凍りつく、みたいなのも怖くなくなりました。大前提、ウケると思ってしゃべっているんですけど、最悪ウケなくてもいいかなと。
原 僕も吉野は凍った空気に耐えられるメンタルを持ってると信じてるんで。
吉野 凍りついた先が見たいみたいに思っちゃいがちではありますね、ふたりとも。でも、原も優しい顔して、僕がスベってるところを見たいって言ってるのも変じゃないですか(笑)。
──たしかに(笑)。自分もめぞんなのに。たまたま隣にいた人みたいな温度ですよね。
原 (笑)。なんか刺さりました。
吉野 そうですよね。普通、一緒に焦るはずなのに、勝手に僕をワイプで見てるみたいな。最近はこういう原の“変”な感覚がイジられるようになってきて、原が変なことを言っても、ちゃんとおもしろくなるんで、よかったなと思いますね。
原 たしかに変な人だってイジってもらえたことで、自分のツッコミが間違ってても、変なやつだからな、みたいなフェーズになったんで怖くなくなったかもしれないです。
──原さんのおもしろがり方もお客さんに伝わってきたんですね。
原 でも、変な人って思われるのはちょっと嫌ではありますよ。まともな人間だと思って、僕は生きてきたんで。
吉野 原は僕が変だよって言っても理解してくれなかったんで、昔、「まともな人を見て、その人のマネしてくれない?」って言ったことがあって。
原 僕は僕で吉野のことを変だと思ってるんでそれは全部無視しました。人格を強制しようとしてくるやつが「普通の人になってくれ」って言ってくるの、矛盾してるじゃないですか。
吉野 でも、それで揉めることは一切なかったですね。お互いちゃんと無視するんで。
『マクロス』は神
──続いておふたりから読者におすすめしたいことを伺いたいのですが……。
吉野 これはやっぱり『マクロス』シリーズ。
原 前回取材してもらったときもその話ばっかりしてたやん。
吉野 『マクロスF』でシェリル・ノームの生誕祭が、11月23日にあるんですけど、配信とかでいいんでぜひ、観てほしいです。声優の遠藤綾さんと歌を歌ってるMay’nさんがトークライブをするんですけど……。
原 全然関係ないじゃん。
吉野 会場の受付はもう終わってるんで……。
原 じゃあよけいに意味ねえじゃん!
吉野 たしかに『マクロス』はもう俺が言うまでもないか。
──吉野さんは新しいアニメとかも観るんですか。
吉野 観ますね。前期だと『負けヒロインが多すぎる!』と『アトリ(ATRI-My Dear Moments-)』がとんでもなくおもしろかったですね。
──なるほど。ちなみに原さんは何か熱を持っておすすめしたいことは……。
吉野 原はないですね。
原 15分ください(笑)。
吉野 あ、じゃあ僕からもう一個。『マクロスΔ』にワルキューレっていう5人組の音楽戦術ユニットがあるんですけど、その闇バージョンの闇キューレっていうのが出てきて。
原 したって! 『マクロス』の話!
吉野 それがとんでもなくて。ワルキューレと闇キューレのグッズを売ってるイベントが京都であったんですけど、通常バージョンに闇バージョンを足したことで、その倍の売り上げを図ろうとするっていうやばい攻撃を受けて、10万使っちゃいました。
原 攻撃じゃないから! なんの話してんだよ。
──さすがですね(笑)。
原 僕のオススメ決まりました。日光浴です。
吉野 「ぽかぽかして気持ちいい」って書いておいてください。
鈴木バイダンのデカさを見てほしい
──最後に11月に行われる公演について伺いたいのですが、まずは9月から始まった新しいユニットライブ『チームバイブスデカマグマ2次元ギャルズ』についてお聞きできればと。
吉野 アケガラスのキング(King Boy)とエルフの荒川さんと生ファラオの石川さんが朝まで飲んでたときに「みんなでユニットしたいね」みたいな話になって発足されたらしいです。そこで誰呼ぶ?みたいな話になって、めぞんと(鈴木)バイダンさんを呼んでくれたみたいな感じですね。だけどキングに「めぞんさんのほうが主催の申請も通りやすいんで、通してください」って言われて、気がついたら僕が発起人みたいになってました。
──9月に初回が行われましたが、いかがでしたか。
吉野 めっちゃ楽しかったっすね。エルフさんとか生ファラオさんとか、みんなきらめいてるというか、テレビスター感が強いじゃないですか。だからかっこいいユニットになれ!って思ってます。
原 1回目が終わった直後、楽しすぎて楽屋で荒川さんが「いつか沖縄でやりたい」って言ってたのはびっくりしましたね。でも、それぐらいみんな楽しんでるんだなと思ったらうれしかったですね。
──ちなみユニット名はどのように決まったのですか。
吉野 これはキングが考えてくれたんですけど、「バイブス」「デカ」「マグマ」「2次元」「ギャル」っていうそれぞれの特徴ですね。
原 バイダンさんは怒ってました。俺の特徴デカなの?って。
吉野 本当にとんでもないくらいデカいんでね。それも観に来てほしいです。たしか今、体重が302キロくらいあるって言ってたんで。
原 映像で観ると100キロ前後かなって感じだと思うんですけど、実際は300キロあるんで。
吉野 『チームバイブス300キロマグマ2次元ギャルズ』でもいいです、正直。
──(笑)。11月18日には『シンクロニシティ×めぞんツーマンライブ「時々ボソッと敬語でボケる隣のヨシオカさん」』もありますね。
原 神保町の中でもツーマンライブをめっちゃやってるふた組なので、ここでもやりたいねみたいな話をしてて、ついにやらせてもらうことになりました。
──おふたりはツーマンライブを開催するとき、どういう方にお願いすることが多いんですか。
吉野 基本は僕がやりたい人とやってますね。原からこの人とやりたいとかは聞いたことないかも。
原 いや、ありますよ! ただ、好きな人の感覚とかも合うんで、吉野がやりたいって思った人は僕もいいなと思うんで……。
吉野 やってみたい人とかいないの?
原 やってみたい……。令和ロマンとか。
吉野 ほら。
原 ほらってなんだよ!
吉野 たぶん理由とかは特になくて、この瞬間に言ったらおもしろいコンビを探したコンピューターの返答でしたね。
原 そんなことないです。
──では、いつか原さん主催で令和ロマンさんと……。
原 (苦笑)。
『シンクロニシティ×めぞんツーマンライブ「時々ボソッと敬語でボケる隣のヨシオカさん」』
2024年11月18日(日)開場20:45/開演21:00/終演22:00
オンラインチケット:1,200円(税込)
詳しくはこちら
『チームバイブスデカマグマ2次元ギャルズ』
2024年11月25日(月)開場20:45/開演21:00/終演22:00
オンラインチケット:1,200円(税込)
詳しくはこちら
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