お笑いコンビに、相方の魅力を語ってもらう連載「魅惑の相方」。
第4弾は中学校からの同級生コンビ・三四郎。ふたりから醸し出される幼なじみならではの空気感は非常に心地よく、8年続くラジオ『三四郎のオールナイトニッポンシリーズ』(ニッポン放送)も大人気だ。
先手は相田周二。長年連れ添う小宮に些細な不満をポロポロと漏らしつつも、話せば話すほど、魅力が解き明かされていった。
目次
結婚後、天気の話をちょっとだけするようになった
──1時間、小宮さんの魅力について聞かせてください。
相田 長いですよ~(笑)。今日このあと、ライブで新ネタもやらなきゃいけないんですよ。まだ覚えてないし、この取材は巻きで終わらせましょう?
──新ネタとこの取材、どちらのほうが重量ありますか?
相田 こっちですよ! 1時間ってまあまあ長いですからね?(笑)
──今日はよろしくお願いします。相田さんは、普段から小宮さんのことをよく褒めているような気がします。
相田 まあそうですね。褒めるというか、悪いところ言ったってしょうがないですからね。でも、イライラするときは多々ありますよ? たとえば、楽屋で荷物を置く場所と座る位置がすごい遠いとか。小宮がかなりスペースを使うから、俺とマネージャーのスペースが狭くなるんです。意味わかんなくないですか? 変じゃない? 荷物と自分の居場所のストロークいる?(笑)
──それはご本人には言わないんですか?
相田 言ったってしょうがないですもん。あと、貧乏ゆすりがすごい(笑)。飛行機でうしろの席が小宮のときなんて最悪なんですよ。「この飛行機すごい揺れる……怖い怖い!」って思ったら、「お前かい」って(笑)。
──なんだか、出てくる嫌な部分がしょぼいというか……。
相田 そう、ただの文句だから言わないんです。人間として嫌いになるようなことじゃないけど、イラつきはしますよ? ロケバスだって揺れるんだから! ヴゥ~ンって揺れて、止まって、また揺れて、止まって……ってなると、「あれ? 止まってる時間長い……まだ揺れない……あっ揺れた」とか「揺れの波長が変わってきたな……」とか、気になるのも嫌なんですよ(笑)。なんでこんなに気にしなきゃいけないの、俺が(笑)。
──三四郎さんは、仲のよさが世間に伝わっているコンビだと思うんです。『三四郎のオールナイトニッポン0(ZERO)』での相田さんへのサプライズ結婚報告回が、それの最たるものだったなと。
相田 僕はただただビックリしただけですけどね。「あなた結婚して大丈夫?」っていう心配もあるんですよ。女の子と一緒に住むとか想像つかないし、基本的に彼女と遊ぶときはだいたい後輩連れて行くんです。小宮・小宮の彼女・俺の3人で遊んだこともありますし。
──どれくらい前のお話ですか?
相田 10年くらい前かな……そこから俺の情報がアップデートされてないっていうのもあるんですけど(笑)。でも、人ってそういうところはあんまり変わらないじゃないですか。奥さんと“普通”の会話できるのかな?って。楽屋では、だいたい俺とスタッフさんがしゃべるんですよ。スタイリストさんが言うには、「小宮さんとはなかなか“普通”の会話ができない」と(笑)。天気の話とかね。小宮はほぼ黙ってるから、奥さんと、ましてや子供ができたら子供との会話どうすんだろ……?と。 そんで、全然奥さんのことも紹介されてないんですよ。ご祝儀あげたのに。
──裏では紹介されているのかと思っていました。
相田 ないない! 「出待ちで並んでたことある人だよ、3年前くらい」って言われるけど「覚えてるわけねぇだろ!」って(笑)。小宮は自分のことをあんまり言わないから、ヒントが少ないんです。だから俺もラジオでいろいろ聞いたけど、結局何もわからなかったですし。
──聴けば聴くほどわからなくなるラジオでした(笑)。
相田 そうそう。濁すでしょ? なんなのあれ(笑)。
──相田さんはビックリしただけとおっしゃっていますが、驚きと同じくらい嬉しそうな雰囲気も感じました。
相田 嬉しいは嬉しいです。そりゃあ、めでたいですからね。
──あんなに幸せなラジオなかなかないです。結婚してから、小宮さんに変化はありましたか?
相田 それこそ、天気の話をちょっとだけするようになりました(笑)。穏やかになった感じはあるかも。「雪降ってる」なんて会話今までしなかったですから(笑)。小宮からじゃなくて、俺らから話しかけることが多くなったのかな? マネージャーも小宮に会話を投げかけたり、いい動きをしてくれています。
──小宮さんって“人見知り”ともまた違いますよね。
相田 人に興味がないんだと思います、たぶん。
──興味がある人とない人の差が激しいというか。
相田 うん、激しいです。気心の知れた人だとすごいしゃべりますよ。(モグライダー)ともしげがいるときはすごい楽屋に行きますから。
──その、小宮さんのテリトリーに入っている人ってアップデートされていますか?
相田 されてないと思います。なかなかアップデートされないんですよ。
──小宮さんが「好き」と思う人って、どんな人なんでしょう?
相田 お金も、地位的なものも、自分より圧倒的に下な人……で、なおかつクズ! クズ人間はやっぱりおもしろいですから(笑)。
──(千鳥)大悟さんや狩野英孝さんなど、先輩とのお付き合いもありますよね。
相田 それは苦じゃないんでしょうね。千鳥さんは尊敬してるから飲みに行きたいんだろうし、狩野さんは事務所の先輩だし。それ以外はたぶん、呼ばれたりするのが“苦”なんだと思います。小宮は気を遣ったりするから、しゃべれなくなるし。だいたい、スタンダップコーギーの奥村(うどん)、ウエストランドの井口(浩之)、モグライダーのともしげ、鬼ヶ島のアイアム野田さん、開発くん……。
──開発さん……。
相田 彼マジでやばいんですよ(笑)。開発くんの『アウト×デラックス』の話知ってます? オーディションで自慰行為したやつ(笑)。ハハ、おもしろ過ぎるだろ(笑)。クク……。
──開発さんの話は、もう大丈夫です。
相田 開発くん本当やばいんですよ。というか、もうだいぶ魅力出ましたよね?
──いえ、全然です。
相田 え?
ずっと遊んでるのは小宮だけ。一番仲がよかった
──小宮さんは、自分にないものを持っている人に惹かれやすいのかな?と。
相田 あぁ~、意外と常識人ですからね。変な行動はあんまりしないかな?
──人が本当に嫌だと思うこととかは、しないような。
相田 ……そうですか? 俺の荷物の上に着替え置くとか、俺はされてますよ(笑)。なんなのコイツって思いますよ? 怖くない? なんでそこなの。この前、俺の衣装の上に小宮が脱いだエアリズム置いてて、俺、それも衣装なのかと思って着ちゃったんですよ。「こんなところに置くなよ!」って伝えても、小宮は「いや、まぁね、でもね、ぅん……」みたいな(笑)。たぶん、俺とマネージャーに言われたのが気に食わなかったのか、言い訳をずっと言ってました。
──謝らない(笑)。
相田 そう! 本当に謝らない! 責めはするけど謝らない(笑)。
──裏がある人のことを見抜く力があるのかな、とも思いました。
相田 うまく見極めてるっていうよりかは、自分のテリトリーに入れる人が少ないって感じだと思います。スタッフさんとも飯行かないし……俺が行き過ぎっていうのもありますけど。
──その部分は、おふたり両極端ですよね。
相田 でも、俺も一緒に飯行ける人がどうかはしゃべって見極めてるんで、そこは小宮と同じです。気遣う人とは絶対行かないから、だるい飲み会はあんまりないんですよ。
──こんなにテリトリーが狭い方と一番長く近くにいるのが、相田さん。
相田 そりゃあそうです。26、7年一緒ですからね。
──なんで小宮さんは、相田さんといるんでしょう?
相田 えぇ~。まあ、学生時代からこんなに長くいる人がいないし、共有できる思い出がある人ってあんまりいないじゃないですか。だからエピソードを補足し合えるし……。「なんで」って考えたことないなぁ、当たり前だからなぁ。
──小宮さん以外にも、中学からのお友達はいますよね?
相田 ほかに友達はいるけど、ずっと遊んでるのは小宮だけかな。一番仲良かったですから。俺が大学生のときも、結局小宮と一緒にいたし(笑)。
──なぜ、小宮さんと一緒にいたいと思ったんでしょう?
相田 一緒にいておもしろかったから。気が合うっていうか、小宮といると何かしら起きるんですよ。おもしろいのもあれば、怖いエピソードもありますし(笑)。
──怖いエピソード?
相田 ふふ……めっちゃ怖かったんですよ(笑)。高校時代、電車で部活に向かってる途中、隣の車両にマネージャーがいたから小宮と一緒に「おーい」って手振ったんですよ。そしたら、マネージャーは気づかなくて、その奥にいたティアドロップみたいなサングラスをかけた怖い人がこっちを見てきて。ヤバいと思って手振るのをやめてふたりで下を見てたら、その怖い人が俺たちの目の前に立って、何も言わないでずっと顔をのぞき込んできたんです。5駅くらい我慢して最寄り駅に着いた瞬間に、小宮がめっっっちゃ早く降りたんです。バーーーン!って。「ずる、コイツ!」って思いました(笑)。
──(笑)。
相田 逃げ足早かったですね……。「お前逃げるの早過ぎだろ!」って言ったら、なんかヘラヘラ笑ってました(笑)。
──そんな思い出も、“楽しい”の感情が勝ってるんですね。相田さんが怒ることもなく。
相田 そうですね。今になったら楽しいです(笑)。別に何されたってわけではないから、ケンカにはならないですよ。怒るといえば、ふたりでマネージャーに対して「なんで気づかないんだよ!」って怒りました。
──この話、誰も悪くはなさそうですが……。
相田 いや、マネージャーが悪いですよ(笑)。