オズワルド、『キングオブコント』に出ていないのは「空気階段にコントで勝てないと思った」(てれびのスキマ)


テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日欠かさず更新中。

【関連】空気階段、優勝の秘策は「トイレ掃除」。『キングオブコント』決勝直前に語っていた哲学「最後は“便所の差”です」


『かまいガチ』

1時間SPの今回は通常回でとてもよかった企画「下積みメシ」を再び。芸歴11年目のヒコロヒーが「10年目まで全然食えてなかった。それまで年収2万とか」と明かすと、オズワルド伊藤「年収2万は松竹が悪い(笑)」。

オズワルドの同期には空気階段がいる。「もぐらなんて劇場の地下室みたいなところに隠れて暮らしてた時期があって、社員さんにバレて鼻血出るくらい怒られてた」と下積み時代を振り返り、「(空気階段の)コントはずば抜けてて、僕らは『キングオブコント』にはいっさい出てないんですけど、それは完全に空気階段がいたから。コントで勝てないと思ったから漫才1本に絞った」という。

ヒコロヒーが作った下積みメシは「金もない仕事もない女らしさも愛嬌もないなんにもないのに腹はへる かさ増し炒めし」。それをひと口食べると「当時のこと思い出して、なんか……ぐっと来ますね」と涙ぐむヒコロヒーにもらい泣きする山内。

「32歳まで給料10万円超えたことなかった」というケンコバは「女性芸人の姉さん方がボディーラインを気にして残す弁当の白飯を何とか有効再利用できないかと考えついた安メシ」こと「揚げチャーハン」を手際よく調理。「いまだにバッファロー吾郎A先生が『これ作って食べんねん』って言ってくれる。『コバ、昨日も揚げチャーハン作ったわ』って」と語り、「A先生は自分ががんばった日にこれを食べてる。A先生のご褒美メシが俺の下積みメシ」と笑う。そのエピソードに、経済的にはツラく苦しい下積みの中に楽しさと幸福感が溢れていたというのがあらわれていてジーンとしてしまった。

『ゴッドタン』

アンガールズ田中による「勝手にお悩み先生」。今回最初に、本人も自覚してない悩みを解決されるのは、事務所の後輩・はなしょー。彼女たちは結果を残してきているのに仕事がない。本人は「実力がないから仕事がない」からだと思っているが、田中は「ダサいコンビだと思われている」と看破する。今どきの女性芸人は本音がバンバン言えるのがカッコいい。そういうトークがはなしょーは得意ではないと分析。これに養成所の先輩だったカカロニすがやも、笑いの取り方が「大っきい声」「ジャンプして後ろにすっ転ぶ」の2点だけでやってるという。「それでBOOMERさんに教わっている」とはなが反論。

田中がその解決策として提示したのは「自分がおもしろいと思う人と一緒にいろ」というもの。オススメは人力舎の芸人だと。自分も小木、鈴木、ザキヤマなど人力舎の芸人とよく遊んでいた。「ホントにクソ人間なんですよ」と笑ってつづけた「ワタナベにないものはすべて人力舎にあり」という言葉はもはや格言のよう。きっちりした人間を育てて売り出しましょうというワタナベの社風に対し、人力舎は礼儀とか礼節がない、と。そこに芸人的魅力があるということだろう。そこから、はなが性欲が強く、女性用風俗へ行ったなどといったエピソードが出てくるのがおもしろかった。

カカロニに対しては「ゴッドタン初登場時のハネ方を超えられない」という悩みを言い当てる。栗谷のキャラがおもしろいけどチャンスでゴールを決められないからだと。以前、ヒコロヒーに告白したことで、番組で女性に告白することが求められるが「32年の人生がバカにされてるような気がする」から本意ではないことはしたくないという栗谷。

そんな彼に「必ずウケる得意パターンを作る」という解決策を提示する。「自分から気持ち悪いで行くと、あざとさが見えて決まんなかったりする」と語る田中は「キモナルシストを極めていく。告白のときも、誰にも邪魔されずに自分の必殺シュートを打てる状況」だと説明。「そのときに自分は本意じゃないとか思ってたら、体重が乗っからずに絶対ボールをふかしちゃう。『俺はキモくてナルシストなんだ!』って体重乗っけて打ってみ! ボールが曲がって落ちるから! その快感覚えたら本意じゃないなんて(思いよりも)快感のほうが突き抜けるから」と助言。本当に実践的でいいアドバイス。


明日観たい番組:ドラマ『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』最終回

『激レアさんを連れてきた。』(テレ朝)「超人的な山歩き能力を持ち、日本海から太平洋まで山脈約415kmをほぼ寝ずに最短5日で歩き切る人」「あごにある物をのせたら世界一になり人生が激変しちゃった人」。

『イグナッツ!!』(テレ朝)「2021年を振り返る」。

『トゲアリトゲナシトゲトゲ』(テレ朝)「おいでやす小田のツッコミを引き出す夜」。

『もう中学生のおグッズ!』(テレ朝)「ついに番組初のおグッズ試作~あのからし坊やも再び」。

『ファミリーヒストリー』(NHK)田中美佐子。

『徹子の部屋』(テレ朝)に岩下志麻。

『アバランチ』(フジ)、『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』(NHK)最終回。


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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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