写真を撮ることにこだわりを持つアーティストやお笑い芸人による連載「QJWebカメラ部」。
加賀翔(かが屋)、前田こころ&平井美葉(BEYOOOOONDS)、セントチヒロ・チッチ(BiSH)、長野凌大(原因は自分にある。)、林田洋平(ザ・マミィ)が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。
月曜日は、加賀翔(かが屋)が担当。コント師として知られる一方で、芸人仲間などを撮影した写真の腕前にも定評があり、インスタグラムのフォロワーは10万人以上を誇る。そんな彼が、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
8年間で撮った3000枚の賀屋
第2回です。僕はかが屋というお笑いコンビを組んでおり、相方の賀屋(壮也)とはもう8年ほどの付き合いになります。
たくさん写真を撮るのですが、なんだかんだで最も多く撮っているのはやっぱり賀屋で、ざっくり見返すとなんと3000枚以上も撮っていました。さすがに気持ち悪いですよね。
僕のパソコンが顔認識で枚数をカウントしてくれている分だけなので、実際は数え損ねているものもあり、別の人のフォルダから賀屋が出てきたときはまだいるのかよと絶句してちゃんと引きました。
「俺を撮ってくれ!」と頼まれているわけではないので、賀屋からしたら勝手に撮ってるくせになんでお前が引いてんだよという話なのですが、そんな枚数が撮れるくらいお笑いコンビというのは一緒にいるものなのだと驚きます。
写真3000枚というのはいったいどのくらいの数字なのだろうかとあれこれ調べると、今出版されている写真集の平均ページ数は80枚とのことでした。ということは何も選ばずにただただすべての写真を世に出せば、およそ37冊もの写真集を出せる計算です。
憧れのアイドルやアーティストだったら最高ですが、賀屋が1冊出すだけでもあり得ないのに37冊はもう狂気ですよね。
指揮する賀屋、指でフレームを作る加賀

今回の写真は自然豊かな長野でのロケ中、みんなから離れてうろうろしていたのでこっそり見ていたら、賀屋が目をつむって指揮をし始めた瞬間の写真です。
風なのか虫なのかわからないですが、なんかのリズムを取っていて驚きました。賀屋は合唱団に所属していたこともあるので本当に自然に指揮が出たのかもしれないとも思ったのですが、何を?という疑問は拭えません。
これはかっこいい写真とは言えないのでスパイス写真ですね。次に撮れたかっこいい写真はもっとかっこよく見えると思います。下げて上げて下げて上げてですね。
あと人のことを言っておいてあれなんですが、このとき僕も長野の景色に向かって普通に指でフレームを作ってのぞいていたらしいです。 素でやる人なんているのかよと思っていましたが、僕はそちらの人間だったようでとても恥ずかしかったです。かが屋は長野で風を指揮して景色を指のフレームでのぞいてるふたり組ということになってしまいました。どうかこれがスパイスになって次に見る僕らがかっこよく見えますように。
